近い将来に適用されるパッチ「9.1」の内容に、カードの修正が含まれることが公式に発表されました。
修正対象となるカードは5種類であり、全て弱体化の内容となっています。
そのうちの3種は、誰もが使用したことがある強力な「基本」セットのカードであるため、それなりに対戦環境へインパクトを与える、重要なゲームの変更となりそうです。
「新環境はドルイド一強の様相を呈している」とコミュニティから絶え間なく訴えられていた影響もあるのか、ドルイドのデッキにほぼ100%組み入れられてきた練気が、とうとう弱体化修正されることになりました。
以前にもプロ選手たちから、ハースストーンのマナ・ブースト能力の練気、野生の繁茂、段取りは膨大なテンポをもたらす存在として問題視されてきました。
今回は野生の繁茂ではなく練気が対象となったため、序盤におけるテンポ稼ぎが重要なアグロ・デッキは、とりわけ大きな損失を被ることになりそうです。
この修正によって練気は、後攻側に与えられるコインや、ローグの偽造コインと同等のカードになります。
ハースストーンが発行してきた全1324種類のカードの中で、いつの時代でも変わらず「最強のカード」と呼ばれ続けてきた烈火の戦斧が、ついに弱体化を受けることになりました。
そもそも3/2の武器とはコスト3相当であり、ようやくコスト相応の武器になったとも言えるのですが、「武器=ウォリアー」を象徴付けていた代表的なカードであるため、その修正には深く感じさせられるところがあります。
ドルイドの練気と同様に、ウォリアーのほぼ全てのデッキに組み入れられてきた武器であり、コントロール・デッキにおいては敵のミニオンの排除手段として、アグロ・デッキにおいては序盤から敵のヒーローを叩く用途で扱われています。
ウォリアーを代表するカードを、開発陣側が見過ごすことができなくなった背景には、「仁義なきガジェッツァン」から強化された海賊種族の台頭もあることでしょう。
それまで日の目を見なかった唯一の種族である海賊たちは、この最強の武器を持つウォリアーには、過度な武器のシナジー効果を提供してしまったようです。
この修正によって烈火の戦斧は、イーグルホーン・ボウ、勝鬨の剣、シャドウブレード、パワーメイス、王の護衛と同じステータス値となりますが、この中ではただ一つだけ特殊能力を何も持たない武器です。
呪術は大変使い勝手がいい除去手段で、以前まではほとんどのシャーマンのデッキで用いられていました。
わずかコスト3で、どんな厄介なミニオンでも無力化できるので、相手のテンポを大きく損なわせることができるのです。
今回の変更により、メイジの動物変身とほぼ同等のカードになります。
興味深い点は、公式の説明に「シャーマンは大型ミニオンに対して少々弱いクラスにしたい」という記述があることです。
また、シャーマンは「柔軟性が高くて明確な弱点を持たないクラス」であると開発陣から見なされているようです。
すでに問題視されているドルイドやウォリアーのコア・カードたちとは異なり、呪術の弱体化は、将来を見越した措置であるとも説明されています。
現環境で高ランクを目指せる唯一のシャーマン・デッキである進化シャーマン(トークン・シャーマン)は、この弱体化される呪術を扱わず、天敵である翡翠ドルイド、アグロ・ドルイド、海賊ウォリアーたちが総じて弱まるため、ある程度地位が向上するのではないかとコミュニティから予想されています。
現状ではパラディンだけがマーロックを好んで扱いますが、マーロックの軍団の鍵となる存在であるため、将来も含めた全てのマーロック・デッキに影響を与える変更です。
「スタンダード・フォーマット」で永続的に使用できる「クラシック」セットのカードなので、今年の「スタンダード」の開幕前と同様に、「栄誉の殿堂」セットに移して「ワイルド」専用にすることも検討されたそうです。
「栄誉の殿堂入り」は「スタンダード」の切り替え時だけに行いたい意向があるようですが、それでもマーロックの戦隊長の修正に踏み切ったということは、今それを行わなければならない事情が発生していると公式に判断されたことを示しています。
体力の上昇効果が、体力の変動効果と合わさるとプレイヤーに混乱をもたらしやすいことも修正の理由だと説明されていますが、同じく「クラシック」セットで体力を上昇させる南海の船長は手付かずのままとなっています。
コミュニティの多くが「究極の侵蝕じゃなくて、こっちかよ!」と叫びましたが、拡がりゆく虫害もまた、「ドルイド一強」をサポートする防御用ツールであるとして話題に挙がっていました。
公式の統計によると、「翡翠ドルイドで最も活躍しているカード」であるとのことです。
ゲーム・デザイナーのDean Ayala氏はRedditで、拡がりゆく虫害は多数の敵のミニオンに対する全体攻撃をドルイド向けにアレンジしたカードであると説明しましたが、トークン系のアグロ・デッキが流行する現環境で役に立ち過ぎているとも同時に指摘していました。
コストを7にまで増加することも検討されたそうですが、練気も弱体化されるという理由でコスト+1にとどまりました。
一応、修正後も強殻のクズ拾い(4マナ)の併用は可能となっています。
今回の弱体化の対象にならなかったものの、コミュニティの間で大きく議論されている究極の侵蝕とアイスブロックについても言及されていました。
究極の侵蝕、拡がりゆく虫害、練気などではなく、翡翠ドルイドの元凶は、無限に増殖と召喚を行う翡翠の偶像のメカニズムにあるというコミュニティの声は少なくありません。
アイスブロックは何度も公式サイドが触れているため、来年の「スタンダード」切り替え時における「栄誉の殿堂入り」の可能性がますます高まっています。
修正される5種のカードのうち、マーロックの戦隊長と拡がりゆく虫害は、修正後の2週間だけ、還元した際の魔素(Dust)の獲得量が作成時と同等まで増えます。
ただし、それは実際にカードが変更された後からであって、パッチが適用される前に還元しても魔素の獲得量は増えないことに注意してください。
なお、作成も還元もできない「基本」セットのカードは、この措置の対象になりません。