Warcraftの世界には、The Darkness(クライヤミ)という名のクリーチャーは存在しません。
しかしながら、コボルトたちとの関連性を踏まえると、The DarknessはDevouring Darknessを由来としたキャラクターであると考えられます。
「World of Warcraft」におけるDevouring Darknessは、固有なレア・モンスターの1体であり、普遍的なデモンハンター・クラスのクエストの討伐対象です。
ヴォイドウォーカーの亜種だと目されているこのクリーチャーは、かつてマイエヴが率いていたウォーデン(Warden)の組織の捕獲対象であったこと以外には、特別なストーリーがありません。
コボルトが活動する洞窟内において、地面に設置されているロウソクを全て消すことによって出現するという性質が、ハースストーンのクライヤミを連想させるのです。
ハースストーンでもWarcraftの世界でもコボルトたちは、地底や洞窟で活動する際には必ずロウソクを灯して(ともして)照明としますが、その理由は単に彼らが暗闇の中で物が見えないだけにとどまりません。
彼らは、ロウソクの明かりを持参しないで闇の中に侵入すると、その闇に飲み込まれると信じているのです。
コボルトの発掘チームの一つであるブルーワックス・グループは、その昔に、活動拠点であった洞窟を野蛮な半獣人の種族に力ずくで乗っ取られ、そこから追い出されてしまいました。
しかしながら、ロウソクを持たないままの状態であったその半獣人たちが、暗闇に覆われた洞窟の内部に入ると、まるでその暗闇に取り込まれたかのように消息を絶ったのです。
それまでコボルトたちはロウソクを明かりとしながら洞窟内で活動していたことから、このロウソクこそが、今まで「闇の吸収」から身を守っていたのだと認識するようになりました。
実際に、消息を絶った半獣人たちは、照明を持参していなかったがためにDevouring Darkness(クライヤミ)と遭遇してしまい、それに襲われたのだと考えられます。
その詳しいメカニズムは不明ですが、「World of Warcraft」のゲーム内においても、洞窟内部で何かを封印しているかのように見受けられる点灯済みのロウソクを全て消すと、Devouring Darknessが出現する仕組みとなっているからです。
この言い伝えを胸に深く刻むようになったコボルトは、洞窟を拠点とする自分たちの活動においては、ロウソクこそが何よりの「お守り」であることを伝統的に心得ています。
「You no take candle! = ロウソク、盗る、ダメ!」という定番のセリフからも伺えるとおりに、彼らは現代においてもロウソクに対する執着心を強く保っています。
発掘したお宝を売りさばいて得た、彼らの収入の大半は、より多くの、より高品質なロウソクの原料のワックスに費やされます。
ロウソクの質と量はコボルトの社会におけるステータスの象徴でもあり、より大きなロウソクを拠点に構えることは、そのコボルトのグループの権威を誇示することにつながりました。