「Team 5」の初期メンバーの1人であるヨン・ウー(Yong Woo)氏が、2009年にブリザードへ入社するための面接を受けた際に、彼はベン・ブロード氏からも歓迎されました。
そのときにベン・ブロード氏は、「ギター・ヒーロー」のイベントに出演するための「ハード・ロック」な格好をしており、彼はその姿のままで自分との初対面を果たしたのだとヨン・ウー氏は回想しています。
このように、元来ベン・ブロード氏は陽気で明るいキャラクター性の持ち主であったため、メディア等への露出を重ねるたびに、彼のユニークな挙動は世間の注目を集めるようになりました。
そのパーソナリティが一気に周知された決定的な「事件」は、2014年末に開催された公式世界大会で起こりました――
第1回「ハースストーン世界選手権・決勝大会」のグループ・ステージが放送された際に、ハースストーンの開発陣を代表して、ベン・ブロード氏がゲスト出演をしていました。
そこでベン・ブロード氏は、試合の合間に選手たちと触れ合う最中に、ことあるごとに爆笑を連発したのです。
彼のカードのテキスト「音量が常に最大になる」が表現するとおりに、大きな声量による笑い声を何度も発するその姿に、コミュニティは騒然としました。
それ以来、大きなリアクションを伴う爆笑はベン・ブロード氏の象徴となり、同氏が笑うたびに「HAHAHAHAHA」という投稿が飛び交うようにもなりました。
ベン・ブロード氏を語るうえで欠かせない、彼のもう一つの「大事件」は、拡張セット「大魔境ウンゴロ」が発表された直後に起こりました。
「今作の予告動画には歌が挿入されていなくて寂しいから、ベンさんが代わりに歌ってよ」というコミュニティの訴えに応えるかのように、ベン・ブロード氏はラップ調の「大魔境ウンゴロ」のプロモーション・ソングを自作したのです。
まさかのラップ調による熱唱が披露されると、凄まじい勢いでコミュニティの反響が巻き起こり、その配信動画は現在に至るまでに100万回以上に渡って再生されました。
このラップを真似たり替え歌を披露したり、ラップ動画を素材にするいわゆる「MADムービー」が制作されたり、「1.5倍速ならベター」という多数の意見を採用した1.5倍速版のラップ動画を配信するなどの、二次創作の映像が乱発するまでに騒動は発展しました。
数々の強烈な個性が認められたベン・ブロード氏は、いつしかハースストーンのコミュニティ全体を虜(とりこ)にして、単なる開発スタッフにとどまらない人気を博するタレントへと変貌したのです。