これらの「歴史的大事件」は、「World of Warcraft」のコアな古参プレイヤーにとっては馴染み深い出来事です。
いずれの事件も、「WoW」の拡張セット「The Burning Crusade」と「Wrath of the Lich King」で用意されたダンジョンにおいて大々的に再現されたからです。
「ダークポータルの開通」はダンジョンの「The Black Morass」で、「ハイジャル山の戦い」は大型ダンジョンの「Hyjal Summit」で、「ダーンホールドからの脱走」はダンジョンの「Old Hillsbrad Foothills」で、「ストラトホルムの虐殺」はダンジョンの「Culling of Stratholme」で、それぞれメイン・イベントとして展開されました。
以上のダンジョンは全て、過去のアゼロスの世界が舞台となっているコンテンツです。
アゼロスの時系列を保全するブロンズ・ドラゴンたちが、過去の「歴史的大事件」の結果が不当に操作されることを感知したために、それを阻止するべくプレイヤーたちを過去の各時点の事件現場に送り込んだという訳です。
ブロンズ・ドラゴンから史実の保全の協力を要請されたプレイヤーたちは、ブロンズ・ドラゴンによって過去の世界に移送され、アゼロス史における代表的な出来事を「World of Warcraft」仕様の戦闘スタイルで体験することになります。
その過去の「歴史的大事件」の史実をねじ曲げようとしていた集団は、インフィニット・ドラゴン(Infinite dragonflight)と呼ばれるドラゴン種族です。
旧神のささやきによって洗脳され、精神の破綻(はたん)をきたして旧神の配下になった、ブロンズ・ドラゴンたちの成れの果てです。
彼らは、アゼロス全土が旧神勢力に汚染されたバージョンの未来のタイムラインに存在していて、そこから現在や過去のアゼロスの世界にタイム・ワープしてくるのです。
インフィニット・ドラゴンはブロンズ・ドラゴンの派生版であるからこそ、ブロンズ・ドラゴンと同様に、タイム・ワープやアゼロスの時系列を操作する能力を有しています。
インフィニット・ドラゴンたちの目標は、他の旧神配下たちと同じく、あらゆる手段を講じても旧神たちを復活させることです。
時空操作が可能な彼らは、旧神の復活の妨げになったと考えられる出来事を異なる結末に導くため、その当時の時点にタイム・ワープして干渉することを試みました。
そうすることによって、旧神が復活するバージョンのタイムラインがアゼロスの史実に成り代わると考えていたのです。
インフィニット・ドラゴンが最初に試みた計画は、青年時代のスロールの「ダーンホールドからの脱走」を妨害し、彼の運命を操作することです。
スロールは後に、最強の旧神配下であるデスウィングを葬るほどに成長するなど、旧神の復活の大きな障害になる存在として捉えられています。
そのスロールが過去に遂げた奴隷身分からの脱出を失敗させれば、スロールはずっと奴隷として埋没し続けて、現在のように世間で大きく活躍することがなくなると考えられました。
結局は、過去の世界のダーンホールドまで追跡してきたプレイヤーたちの尽力によって、インフィニット・ドラゴンの妨害は見事に阻止され、スロールの脱走は史実通りに果たされることになりました。
ダーンホールドでのたれ死ぬ恐れもあったスロールは、史実通りに英雄への道のりを歩み始め、一方でスロールと関与した罪の発覚が消失する可能性もあったタレサは、史実通りに処刑される運命を歩み始めることになります――