ミニオンが最も効率がよい攻撃手段となるために、場の制圧、すなわちテンポを稼ぐことこそが一般的には勝利への近道となります。
よって、カードやライフのアドバンテージを増やす行為は、後にテンポを追加したりテンポを持続させるための手段となることが多分にあります。
手札が増えると、ターンごとにマナを余らせてテンポを失う機会を少なくすることができます。
また、行動の選択肢が広がることから、相手のテンポを失わせる最善手をプレイしやすくなります。
1枚のカードでマナを消費し尽くせなくなる終盤では、手札の多さがテンポの損失を防ぎます。
試合途中でカード・アドバンテージを増やす行為の多くは、その後のテンポ・アドバンテージの維持が目的です。
長期戦用のデッキでは、序盤の敵軍の攻撃を耐えしのげば、終盤に大型ミニオンを連続投入することでテンポ・アドバンテージを二度と譲り渡すことがなくなります。
ヒーローの武器による攻撃はライフを犠牲としますが、相手のテンポとカードのアドバンテージを著しく失わさせます。
ただ、いずれのテンポを得る戦法においても、ライフが尽きてしまえば元も子もありません。
このような戦法におけるライフ・アドバンテージを増やす行為(ヒーローの体力の回復)の目的は、テンポ・アドバンテージを引き寄せるために損失したライフを補填し、不意に倒されるのを予防することです。
魔力なる知性のプレイは、自軍を強化することなくマナを消費して、1枚分のカード・アドバンテージを増やす行為です。
テンポをコストにしてカードを得ています。
練気をプレイして高コストのミニオンを召喚するのは、カードを1枚消費して、追加のテンポ・アドバンテージを増やす行為です。
カードをコストにしてテンポを得ています。
骨董品のヒールロボのプレイは、コストに比してはステータス値が低いミニオンを召喚して、自分のヒーローの体力を回復する行為です。
テンポをコストにしてライフを得ています。
炎のインプのプレイは、自分のヒーローにダメージを与えて、コストに比してはステータス値が高いミニオンを召喚する行為です。
ライフをコストにしてテンポを得ています。
このように、3種のリソースは、他のリソースを得るための手段として消費されることがあります。
3種のリソースは全て、その量が多いときよりも少ないときに変動する方が、戦局に与える影響が大きくなります。
例えば、残りの手札カードが7枚のときに滋養の能力でカードを3枚引くよりも、残りの手札カードが1枚のときにカードを3枚引く方が、その後の展開に大きな差異を生じさせます。
敵のヒーローの体力が27のときにファイアーボールを放ってそれを21にするよりも、敵のヒーローの体力が7のときに放って1にする方が、お互いの判断やプレイに大きな影響を及ぼします。
試合開始直後の各リソースの量は以下のとおりです。
・ライフ … フル
・カード … 先攻はやや少なめ、後攻はやや多め
・テンポ … なし
従って、序盤はライフやカードよりも、全くないテンポを増やすことが大きく有利に働きます。
序盤で「バリュー」が高いコスト1~3のミニオンを召喚できるか否かが、試合の勝敗を決めることも少なくありません。
テンポで優位に立ちやすい先攻側は、第1ターンの手札カードの枚数が4とやや心もとなく、どこかでテンポを犠牲にしてでも追加のカードを得ないとテンポの維持が難しくなります。
逆に後攻側は、手札カードの枚数がやや多いために、余分にカードを消費してでも序盤でテンポを引き寄せる必要があります。
コインをプレイして高コストのミニオンを召喚する行為がその代表的な例です。
試合開始直後の時点で量が最大となるライフは、序盤に変動してもあまり影響はありません。
序盤ではお互いにとどめを刺す手段もないことから、この時点でテンポを無視してライフ・アドバンテージを広げても大きな利益となることはありません。
むしろ序盤では、多すぎるライフをコストにしてテンポやカードへ変換するほうが得策でしょう。