カードの「バリュー」とカード・アドバンテージの内容を転載して、「カード・アドバンテージ」の項に追記しました。
ハースストーンを含む一般的な対戦型カード・ゲームには、両プレイヤーの間で増減する3種類のアドバンテージが存在します。
カード、テンポ、ライフです。
それぞれのアドバンテージが意味することと、3者の関連性についての情報をまとめました。
相手よりも効率的にカードを消費することで得られる優位性です。
カード・アドバンテージが増えるほど、相手よりも行動の選択肢が広がり、相手よりも多くのカードを使用できる可能性を持つことになります。
ハースストーンは、手札カードの枚数が限られるゲームです。
よって、各カードをより有効に活用するプレイヤーが勝利に近づきます。
通常は、所有するカード1枚で相手のカード1枚を処理する行為が繰り返されます。
ですが、時として1枚のカードが相手の2枚以上のカードを処理することがあります。
相手がミニオンカードを2枚使用して、2体のミニオンを召喚したとします。
そこで、あなたがフォーク・ライトニング(2体の敵のミニオンに2ダメージ)でその2体を破壊したら、1枚の呪文カードで相手の2枚のミニオンカードを処理したことになります。
この場面でのフォーク・ライトニングは有効に活用されたとみなされます。
なぜならば、1枚で2枚を処理したあなたが1枚分のカード・アドバンテージを得たからです。
所有するカードを1枚消費して、相手の2枚のカードを処理することは「2 for 1」と呼ばれます。
所有するカードを1枚消費して、自身が2枚のカードを得ることも「2 for 1」と呼ばれます。
いずれも、相手よりも1枚分のカード・アドバンテージを得る行為です。
カードを消費してカードが手札から取り除かれたり、カードを消費して召喚したミニオンが場から取り除かれると、1枚分のカードを失うことになります。
ゲームから取り除かれるカードやミニオンの数が相手よりも少ないと、その分だけカード・アドバンテージが増えたものとみなされます。
カード・アドバンテージを得ると、それだけ自由に使えるカードの枚数が相手よりも多くなります。
自由に使えるカードが多いほどプレイの選択肢が広がり、自分が有利となるようなアクションを起こしやすくなります。
カード・アドバンテージを与えてくれる可能性が高いカードは、価値が高いカードです。
その価値の指標を示す単語が「バリュー」です。
「バリューが高いカード」とは、プレイヤーにアドバンテージを与えやすいカードであることを意味します。
特殊能力を持たないチルウィンドのイェティの人気が高い理由は、「2 for 1」を実現しやすい、高い「バリュー」を持つカードだからです。
第4ターンに召喚される4/5のチルウィンドのイェティは、それまでに召喚されたコスト3以下の敵のミニオンを倒し、かつ生存できる可能性が高いミニオンです。
チルウィンドのイェティが1体の敵のミニオンを倒した後、場に残ったとします。
そのチルウィンドのイェティへとどめを刺すのに、相手が呪文カードやもう1体のミニオンの犠牲を必要とするならば、チルウィンドのイェティは「2 for 1」を成立させることになります。
アジュア・ドレイクの人気が高い理由も考えてみましょう。
アジュア・ドレイクは、召喚されると同時にプレイヤーへカードを1枚与えます。
この時点で、所有するカードを1枚消費して1枚のカードを得る「1 for 1」が成立します。
さらに呪文ダメージの能力や4/4のステータスが、少なくとも相手の1枚のカードを消費させることでしょう。
最低でも「1 for 1」、ほとんどのケースで「2 for 1」を成立させるから、「バリュー」が高いことになり、人気も高くなるのです。
武器カードがよく用いられるのも、それらの「バリュー」が高いからです。
ハースストーンのほとんどの武器は、2体以上の敵のミニオンを倒す力があります。
1つの武器で2体の敵のミニオンを倒せたならば、その武器を生産した武器カードは「2 for 1」を成立させたことになります。
何の考えもなく武器で相手のヒーローを攻撃するのは、もったいない武器の使い方と言えます。
なぜならば、相手のヒーローを攻撃しても相手のカードを処理することはできず、ミニオンを倒すことで得られるはずのカード・アドバンテージを放棄することになるからです。
人気が低いカードは、もちろん「バリュー」が低いカードです。
コスト1のミニオンたちの評価が総じて低いのも、「バリュー」の低さが理由です。
コスト1のミニオンは、相手のカードを処理できるような能力を持たず、攻撃力か体力の値が1であるものばかりです。
攻撃力が1では相手のミニオンを1体も処理できないまま倒される確率が高く、体力が1ではカードを消費しないヒーローパワーで倒されてしまいます。
ミニオンが相手のカードを何も処理しないまま倒されると、ただ1枚のミニオンカードを消費しただけの「0 for 1」が成立することになります。
「2 for 1」が1枚分のカード・アドバンテージを与えるのに対し、「0 for 1」は1枚分のカード・アドバンテージを失わさせます。
コスト1のミニオンカードの多くは「0 for 1」を実現しやすいために「バリュー」が低いのです。
ダメージを与える呪文カードを相手のヒーローに対して使用すると「0 for 1」です。
体力を回復する呪文カードを自分のヒーローに対して使用すると「0 for 1」です。
盾持ちの召喚は、何らかの効果と組み合わせなければ「0 for 1」が確定します。
カード同士の相乗効果をあまり期待できない闘技場では、カードを効率よく運用し続けることが重要となるため、「0 for 1」が発生するごとに勝率が低くなってしまいます。