「DreamHack Austin」の人種差別問題が起こる3か月前には、高い人気を誇る女性プレイヤーのHafu選手の発言が話題となっていました。
メディア・サイトのFusionの特集で登場し、「e-Sportsの女王が語るハラスメント」と題された動画に出演したのです。
ここでHafu選手は、これまでに信じられないほどの量と酷さの、言葉によるセクシャル(性的)・ハラスメントを受け続けてきたことを打ち明けています。
中でも強烈な印象を与えたエピソードは、プロ選手として活動するゲーム・タイトルをハースストーンに変更した理由です。
Hafu選手は、以前はBlizzConの大会で3位にも輝いた、World of Warcraftの強豪選手でした。
メディアへの露出と共に人気も高まりましたが、それに比例して彼女に対する中傷や脅迫も過激化したようです。
数少ない女性選手であったため、言葉の嫌がらせのほとんどは、性的な意味を持つ言葉のハラスメントが含まれていたとのことです。
当時17歳の少女であったHafu選手には、到底耐えられるような「口撃」の嵐ではありませんでした。
そして彼女は、World of Warcraftにおける活動の休止を決断しました。
ゲーム内の闘技場において、実際に遭遇した対戦相手のチーム名が以下であったことも、休止を決断した要因の一つだったそうです。
「地区大会でHafuをレイプしてやる」
Hafu選手は、活動再開後も性的ハラスメントが途絶えないために、ハースストーンもやめることを一時期に考えたと告白しました。
そして、女性のプロ選手としてではなく、実力が高いプロ選手として認知されたいのだという本心を語りました。
e-Sportsの選手生活を送るうえで、女性であることばかりが注目されて、尊厳が不当に損なわれる事態がなくなることを、彼女は心から願っています。
このFusionの特集記事は、以下の文面で締めくくられています。
「現代のゲーム社会に関わる成人女性は、人数で成人男性を上回っているにもかかわらず、そのトップ・シーンのe-Sports界においては、未だに男性の割合が95%も占めている」
「e-Sportsが開放的となって受け入れられやすくなるまで、女性のプロ・ゲーマーはもの珍しい部外者のように扱われていると感じ続けるだろう」
e-Sportsを今よりさらに発展させるには、女性プレイヤーから性差別と疎外感を取り除く必要があるようです。
Polygonが女性ゲーマーの事情について特集した「Smite, sexism and the soul of esports」の記事の一部を紹介します。
アクション・ゲーム「Smite」の女性プロ・ゲーマーであるMogee選手は、Polygonのインタビューに応じて以下のように発言しました。
「私が女性であることを思い知らされたのは、配信で自身の姿が映ったときであり、それからは周囲の反応が一変した」
「女性プレイヤーに対する反応は、とても好意的であるか、とても下劣であるかのいずれかで、その中間の程よい反応は存在しない」
「女性というだけで、まず『女だから男と一緒にはプレイしないのだろう』と勝手に判断され、他の大多数のプレイヤーと同じ条件でプレイできなくなる」
実力で頂点を目指そうとする女性選手は、みな一様に、性別が特別視されて扱われたり侮辱されることに苦悩しています。
続く第3回では、ハラスメントがスポーツの理念に反する理由について掲載します。
- Fusion – The trials of a female eSports champion
- Polygon – Smite, sexism and the soul of esports