ハースストーンの大会で発生した今回の人種差別問題は、様々なゲーム・メディアで大きな話題となりました。
その特集を組んだPolygonは、ハースストーンを開発したブリザード社にも意見を求めました。
それに対してブリザード社は、最高経営責任者であるMike Morhaime氏自らが声明することで応じました。
Polygonに掲載されたMike Morhaime氏の声明文を、日本語に訳して以下に無断で転載させていただきます。
先週末に開催された「DreamHack Austin」のイベントにおいて、配信の視聴者が憎しみに満ちた攻撃的な言葉を発信したことについて、極めて失望しています。
私たちは企業価値として「公明正大」や「フェアプレー」などを掲げています。
その私たちのゲーム・コミュニティで、人種差別、性差別、ハラスメントなどの行為を受け入れる余地は全くないと考えています。
このようなライブ・イベントにおける蛮行と争うために、私たちは選手、配信者、配信運営者、パートナー企業などと、意見を調整して共同で対処することを取り決めています。
現在私たちは、Twitchで用いられたパイロット・プログラムを参照して、「DreamHack Austin」の事件の調査をしています。
また、私たちはe-Sportsの大会に関連するパートナー・ポリシーを改定し、チェック機能などが強化された高品質のチャット・システムが提供されることを求めていく所存です。
これは、様々な層の人々に影響を及ぼしている、とても大きな社会問題です。
今回のような出来事が、人々に(ハラスメントについて)考慮することを促し、卑劣な言葉が完全に拒絶される契機となることを、私たちはただ願うばかりです。
ハースストーンを始めとしたブリザード社のオンライン・ゲームには、世界中にいる大勢のプレイヤーが接続しています。
そのオンライン上における、他のプレイヤーに対するハラスメント行為は、禁止事項として利用規約に定められています。
言葉で傷つける行為はもちろんのこと、無言の行為であっても、プレイヤーへの嫌がらせとみなされればハラスメントとなります。
中でも人種差別とみなされる行為は、厳罰の対象となります。禁止事項を行うと、アカウントの一時停止や永久停止の処罰を受けることがあります。
このことを新規プレイヤーに向けて喚起するべく、当サイトは不定期に、ハースストーンにおける違反行為を繰り返し掲載しています。
以下はいずれも処罰の対象となる違反行為であることを、改めてお伝えします。 ・ハラスメント(嫌がらせや人種差別など)・ゲーム・プログラムの改ざん
・チート行為
・Bot(プレイ自動化プログラム)の使用
・ランク戦における八百長行為
・ブリザードのゲームのプレイや観戦を無断で賭博の対象にすること
PC Gamerのインタビューに応じたTerrenceM選手は、自身が対象となった人種差別問題について、以下のように語りました。
「私の知名度が上昇したことによって、私を攻撃しようとする集団が増えることになるのでしょうが、それと対向する心構えはすでにできています」
続けて、
「この問題が実際に大きく取り扱われた事実や、この問題の解決法が広く模索されることになった事実と比べれば、そのようなことは小さな代償に過ぎません」
と、ポジティブな側面を強調しました。
容易には排除されない人種差別問題を現実的に受け入れ、自分の中で消化して、前向きに次の段階を見据えているTerrenceM選手には敬服せざるを得ません。
「DreamHack Austin」で準優勝を果たしたTerrenceM選手は、来月に開催される「Dreamhack Summer」を始めとした、数々のオープン制の大会に出場することが見込まれています。
PC Gamerの特集記事は、「今後の彼のパフォーマンスが『DreamHack Austin』と同じ程度である限り、彼の運勢は上昇し続けることになるだろう」という一文で結ばれています。

Terrence Miller / 22歳 / Gale Force eSports 所属
・2014 Collegiate Hearthstone Open 2 – ベスト8
・Dreamhack Austin 2016 – 準優勝
・ランク戦 最高位 – 22位(アメリカ地域 / 2014年7月期)
Twitter – terrencem_hs
Twitch – terrencemhs