ハースストーンの原作であるWarcraftの物語が、映画「ウォークラフト」で実写化されます!
日本でも7月1日に公開される予定です。
すでに海外では公開されています。
その観覧者や評論家によるレビューのほとんどには、以下のいずれかの批評が記述されています。
「Warcraftの予備知識がなければストーリーを把握しきれず、置いてけぼりとなってしまう」
――そうなのです。
高品質なファンタジー映画であるものの、「原作や前作を知らなくても楽しめます!」などという作品であるとは必ずしも言い切れないのです。
Warcraftシリーズは20年以上もの歴史があるゲームで、日本で言うところの「ドラゴンクエスト」や「ファイナル・ファンタジー」なみの大作です。
無理矢理に国内ドラマでも当てはめると、「相棒」なみの人気と息の長さを誇ります。
そうした大作シリーズの1作目、すなわち「Warcraft 1」の物語が、映画「ウォークラフト」で描かれるのです。
「ドラクエ1のゴーレムと妖精の笛」「FF1のマトーヤとほうき」「相棒シーズン1のバーテンダーとカクテル」などの要素が、説明もなしに頻出するということです。
シリーズのファンならば、たとえ昔の1作目を直接体験していなくても、こうした各要素を「あ、聞いたことがある」程度には認識してくれるでしょう。
しかしながら、ファンでなければ「え?何それ」を多発させ、ただただファンタジー世界の闘争を眺めるだけに終止してしまうでしょう。
「Warcraftファンでなければ混乱するかもしれない」という海外の評判が非常に多かったことは、正直に打ち明けておかねばなりません。
私はWarcraftおよびブリザード社の大ファンなのですが、ハースストーンとは異なり、映画「ウォークラフト」が万人向けであるとは断言できません。
ただ、不評点が「Warcraftの予備知識がないと把握しきれない」の一点だけであったということは、「予備知識があれば文句なく楽しめる」ということです!
ファンは総じて満点に近い評価を下していたので、Warcraftに慣れ親しんでいる方はもちろん、ハースストーンだけがWarcraftとの接点という方も必見の映画となることでしょう。
そこで今回は、Warcraftの知識が全くない方でもファンと同等程度まで楽しめるように、7回にわたる連載を設けて、予備知識となる映画「ウォークラフト」の舞台設定を徹底的に解説します。
Warcraftの世界ではおなじみとなる風景やキャラクターなどが、圧倒されるほどに高いクオリティで迫ってくる模様を、100%の理解度でもってお楽しみください。
Warcraftの世界観を知るにあたって、欠かすことができない必修項目が、ホード陣営とアライアンス陣営の対立です。
「Warcraft 1」および映画「ウォークラフト」では、その両陣営が創設された経緯が描かれます。
初代のホード陣営は、凶暴化したオーク種族の集団です。
オークとは、「ウォークラフト」以外のファンタジー世界でも登場する、人間よりも体が一回り大きい種族です。
緑色の肌や鋭い牙を見た目の特徴としています。
オークたちは、ドラエナという惑星の大自然の中で独特の文化を築いていました。
そのオークたちを操って手駒にしようと企んだのが、全人類の最大の敵である、悪魔の軍団「バーニング・リージョン」です。
悪魔は、野心あふれる一人のオークに対して、絶大な力を授ける代わりに悪魔の手下となるよう呼びかけました。
グルダンという名の若きオークの魔術師は、それに応じ、同胞のオーク種族たちが悪魔の配下となるよう企てます。
グルダンの企みが成功すると、オークたちは尋常ならざる力を得た代わりに、精神を悪魔に支配されてしまいました。
授かった強大な力でもって、オーク以外の種族を殺りくする、狂気の集団に変貌したのです。
とうとうドラエナの世界で敵がいなくなり、オークたちが戦いに飢えるようになった時点で、グルダンが再び動きます。
ドラエナの世界と、別の惑星であるアゼロスという世界を結び、双方からテレポートの移動ができるダーク・ポータルを開いたのです。
多種多様な種族と文化が存在するアゼロスの世界は、戦いに飢えていたオークたちにとっては待ちわびていた標的となりました。
凶暴化したオークたちをアゼロスに仕向けることは、実は悪魔の軍団「バーニング・リージョン」の策略でした。
あらゆる惑星の文化を破壊しようとする悪魔たちは、1万年前にアゼロスに侵攻しましたが、古代の守護者の抵抗を受け、まさかの敗戦を喫していました。
その「復讐」に燃える悪魔は、今度こそは確実に侵略するべく、オークたちを派遣して事前にアゼロスを疲弊させる作戦をとりました。
ホードと呼ばるようになった、悪魔仕様のオークの軍勢がダーク・ポータルから押し寄せたことにより、アゼロスを舞台としたWarcraftの戦闘と物語が始まります。
アゼロスの世界に元から住んでいた種族の連合軍が、アライアンス陣営です。
人間であるヒューマン種族、やや小柄でがっしりとした体格のドワーフ種族、長身で長寿の精霊使いであるエルフ種族などで構成されています。
アライアンスの結成前は、それぞれの種族がそれぞれの文化を独自に築き上げ、発展させていました。
その中でも大きな発展を見せていたのが、ヒューマン種族のストームウィンド王国です。
豊かな資源に恵まれたストームウィンドは、経済、文化、軍事などのあらゆる国力を大きく強化し、神聖なる聖職者や誇り高き騎士団を多数従えていました。
その誰もが認める大国・ストームウィンドは、誰もが予期していなかった破滅を突如として迎えることになります。
悪魔の力に支配されたオークの軍勢が、突然現れて猛攻を仕掛けてきたのです。
組織化されていないオーク軍を甘く見ていた国王・レインのそばで、尋常ではない力を持つ敵に違和感を抱いていたのが、ストームウィンドの英雄・ローサー卿(きょう)です。
ローサー卿は、このオークの侵攻と、オークの発生直前に様子がおかしくなった親友のメディヴを結びつけました。
メディヴは、アゼロス全土の高僧たちによって出生時から育成された、アゼロスの守護者として選ばれた最強の魔法使いです。
そのメディヴを追う過程でローサー卿は、オークの発生、悪魔の力、そしてメディヴ自身が関連する、衝撃の事実を知ることになったのです――
メディヴの件を片付けたローサー卿が、帰還したときに目にした光景は、まさかのストームウィンド軍の惨敗でした。
ストームウィンド軍とオーク軍は一進一退の争いを繰り返していましたが、オークの英雄であるオーグリムが指揮官となったことを機に、ストームウィンド軍は壊滅していたのです。
生存した仲間とともに逃げ延びたローサー卿は、ストームウィンド軍の再起を誓います。
そして、アゼロス全土に対する脅威が発生したことを広く呼びかけ、連合軍の結成を求めました。
七つの王国とヒューマン以外の種族までもが招集に応じ、アライアンスと呼ばるようになったアゼロスの一大連合がローサー卿の下に集いました。
これまで「予備知識がなければ~」などと述べてきましたが、映画「ウォークラフト」のストーリーの内容は、把握できれば単純明快です。
あらすじを要約すると、以下の二点に絞ることができます。
敵側を利する行為に及ぶ者が複数いて、その関係者との感情のぶつかり合いが発生する。
映画「ウォークラフト」の見どころの一つは、オークの一部が人間と共闘しようとすることです。
徐々に仲間が邪悪な力にさらされることを苦慮していたオークのデュロタンは、グルダンがそれに関与していることに気づきました。
このままグルダンを放置すると、オークやアゼロス側の世界もろとも破滅すると確信した彼は、グルダンを討伐するために人間と手を組もうとします。
このデュロタンの「反逆」は、原作にはない、映画「ウォークラフト」のオリジナル・ストーリーです。
仲間のオーク軍を裏切る行為になるとしても、オークと世界を守るために、決意してグルダンに立ち向かおうとするデュロタンの勇敢さが描かれます。
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