日本時間の9月22日未明に、ブリザード社は、自社のオンライン・ゲームを統括するサービスである「Battle.net」の名称を変更することを公式に発表しました。
今後「Battle.net」に関する全てのサービスの名前は、ブリザード社名と同じ「Blizzard」に統一していくそうです。
実施予定日は未定です。
公式発表の内容を以下にまとめます。
- 現状の「Battle.net」の基本的な内容および機能が変化することはない。
変わるのは名称だけで「Blizzard」というブランド名に統一される。 - すでに「Blizzard Streaming」「Blizzard Voice」という名称のサービスが最近に開始されている。
( → すなわち「Battle.net App」という名称のランチャーも「Blizzard App」に改名?) - もともと「Battle.net」という名前は、マルチプレイ・ゲームのサービスであることを端的に表し、かつ特徴的な呼称とするために名付けられた。
- ブリザード社のゲーム・サービスのブランド名を「Battle.net」と「Blizzard」の2つに分けることは、ときに混乱や非効率を生じさせてきた。
2つのブランド名を同時に展開することは有用でないと判断したため、「Blizzard」に統一することにした。 - 今後、数か月にわたってこの名称の統一作業を進めていき、報告すべきことがあれば随時発表する。
今回の告知には、「Battle.net」の全ユーザーにあらかじめ留意してもらうことで、この名称変更をスムーズに行いたいという意図がある。
1996年11月30日に初代「Diablo」がリリースされると同時に、ブリザード社の「Battle.net」のサービスが開始されました。
当初は簡素なチャット・ルームとゲームのホスト機能を提供するだけのサービスでした。
その「Battle.net」はやがて、ブリザード社の全てのオンライン・ゲームを統括する一大ネットワーク・サービスに成長しました。
登録した「Battle.net」のアカウントが、そのまま「Diablo」「World of Warcraft」「StarCraft」の各ゲームのログイン・アカウントになりました。
各ゲームの有料コンテンツの支払い手続きやゲーム内報酬の引き渡しも、アカウントが統一されたことによって、「Battle.net」のサイトから容易に処理されるようになりました。
「Battle.net」は20年近くもの運営実績を積み重ね、世界中のゲーマーに知れ渡ることになりましたが、その知れ渡った名称が消え行くことになります。
社名の「Blizzard」に名称を改めて、ブリザード社のブランド名をより強固にしたい狙いがあるものと思われますが、真意のほどは図りかねます。
「ブランド名が2つに分かれたままだと混乱を生じさせる」という公式に発表された変更理由については、多くの既存ユーザーから一斉に「今さら誰が混乱しているんだ」と指摘されており、懐疑的に受け止められています。
ブリザード社にとってこの名称の変更が有益なのであれば一向に構いません。
しかしながら、初代「Diablo」よりブリザード社のゲームに魅せられ、20年にわたって「Battle.net」のサービスを利用し続けた私には、慣れ親しんだ名称がなくなることは小さくない寂しさを感じさせます。
ブリザード社の重役であるクリス・メッツェン氏が退社したことを先日にお伝えしましたが、その後にも「World of Warcraft」や「StarCraft」の開発で大きな貢献を果たしてきたスタッフが相次いでブリザード社を離れたというニュースが海外で報じられました。
それ以前にブリザード社は、この2年半の間に「ハースストーン」「Heroes of the Storm」「オーバーウォッチ」と立て続けに新作ゲームを3つもリリースしていて、一方では日本を含めた未開拓の諸外国へ積極的に営業するなどの大きな動きを見せています。
「Battle.net」の名称放棄は、ブリザード社がさらなる変革や再編成を迎えていることを表す事象の一つであるのかもしれません。