ブリザード社は現地時間の10月16日に、自社のゲーム統括サービスである「Blizzard Battle.net」(以下Battle.net)において、日本、カナダ、ニュージランドの各国の現地通貨を取り扱うことを発表しました。
このことによってBattle.netは、以下の各通貨に加えて、新たに日本円(JPY)、カナダ・ドル(CAD)、ニュージランド・ドル(NGD)にも対応することになりました。
日本、カナダ、ニュージランドの各国においては、Battle.netのショップで購入できる商品やサービスの価格表記が、アメリカ・ドルからそれぞれの国の通貨になります。
また、「Battle.net バランス」――Battle.netに登録できるブリザード・ゲームに特化した仮想通貨――も、アメリカ・ドルに変換することなく、各国の通貨で直接購入できるようになります。
この仕様の変更は、2017年度中(詳細な日程は未定)に実施されるとのことです。公表された内容の全文転載(※クリックで開く)
日本、カナダ、ニュージーランドでは、今年中にBlizzard Battle.net®での価格が米ドルから各国の通貨に変更され、お支払いも各国通貨でできるようになります。これはサービスのグローバル化に向けた大切な一歩であり、対象地域のプレイヤーの皆様は購入やアカウント管理が現在よりも簡単にできるようになります。
この変更が実施されると、Battle.net内とすべてのBlizzardのゲームショップでの価格はそれぞれの現地通貨となります。対象となる地域のプレイヤーの皆様が保存しているBlizzardバランスの残高も、すべて同じく現地通貨に換算されます。自動継続のWorld of Warcraft®アカウントをお持ちの方には引き続き米ドルが使用されますが、新規や更新の場合、またはプリペイドのGame Timeカードは各国の通貨で課金されるようになります。
正確な日付は未定ですが、現在のところ、対象地域では今年中にこの変更が予定されています。その時点で、すべての製品の価格と保存されているBlizzardバランスの残高が、主要取引所のレートに基づき米ドルから現地通貨に換算されます。
ニュージーランドでは、価格に付加価値税(GST)が含まれる予定です。
私たちは、できるだけ多くの皆様が、どこからログインしていても、Blizzardのシステム内でわかりやすく、心地よく操作していただきたいと考えています。また、購入に関する操作もより簡単なものにしたいと思っています。今回の現地通貨への切り替えは、そのための一歩です。一部のお客様は、銀行や金融機関に手数料を支払う必要がなくなります。さらに、今回の変更によって、弊社が対応するお支払い方法の種類を増やし、取引が米ドル建てであることを理由にこれまでお客様に提供できなかったお支払い手段を追加することが可能となります。
日本、カナダ、ニュージーランドのプレイヤーの皆様には、各通貨への切り替えが正式におこなわれた時点で更新情報をお伝えします。それまでは、この変更に関する詳細につきましては「よくあるご質問(FAQ)」を掲載いたします。
日本、カナダ、ニュージーランドの現地通貨に変更されるのはいつですか?
本日、この変更が予定されていることと、それを年末以前に予定していることを発表させていただきました。変更の詳細時期については切り替えが行われた時点で、改めて更新情報をお知らせさせていただきます。
この変更の対象となる製品は何ですか?
現地通貨への切り替えは、Blizzard Battle.net®内のすべての製品の価格、ゲーム内ショップ、保存されているBlizzardバランスが対象です。自動継続のWorld of Warcraft®アカウントをお持ちの方には引き続き米ドルが使用されますが、新規や更新の場合、またはプリペイドのGame Timeカードは各現地通貨で課金されるようになります。
私のBlizzardバランスの残高はどうなりますか?
お客様のBlizzardバランスの残高は、お住まいの地域で通貨の切り替えが実行された日に現地通貨に換算されます。
米ドルから私の通貨への両替でBlizzardが使用する為替レートを教えてください。
主要な取引所のひとつが提供している、通貨の切り替えを実施した日の為替レートを使用させていただきます。
私の地域で米ドルから現地通貨に切り替えるのはなぜですか?
これは、弊社のサービスがグローバルに成長するための重要な一歩であり、世界各地のプレイヤーの皆様にとって購入やアカウント管理をさらに簡単にするためのものです。まだ、一部のお客様は銀行や金融機関が課す手数料を支払う必要がなくなります。そして、米ドル建ての取引に対する制限が理由で以前は提供できなかったお支払い手段にも対応できるようになります。
Blizzard Battle.netはどの通貨に対応していますか?
現在Blizzard Battle.netが対応している通貨は、米ドル(USD)、ユーロ(EUR)、イギリスポンド(GBP)、ロシア ルーブル(RUB)、中国人民元(CNY)、韓国ウォン(KRW)、台湾ドル(TWD)、アルゼンチン ペソ(ARS)、チリ ペソ(CLP)、ブラジル レアル(BRL)、メキシコ ペソ(MXN)、豪ドル(AUD)です。日本円(JPY)、カナダドル(CAD)、ニュージーランドドル(NGD)が、これからの対応が予定されています。
私の地域ではBlizzard Battle.netは米ドルを使用しています。私の通貨に切り替わるのはいつですか?
新たにどの通貨をBlizzard Battle.netで使用するか検討を続け、適宜プレイヤーの皆様に更新情報をお伝えしていきます。
Blizzard Battle.netで私のアカウントに登録する国を間違えていたので地域と通貨を変更したいのですが、どうすればよいですか?
Blizzard Battle.netアカウントの地域を変更するには、以下をご覧ください。
https://battle.net/support/article/7656
将来に関する記述についての注意:明示的に記載されていない限り、将来に関する情報を含み、すべての情報は2017年10月16日現在のものです。ブリザード・エンターテイメント社(Blizzard Entertainment, Inc)とアクティビジョン・ブリザード社(Activision Blizzard, Inc.)は、ここに記載されている将来に関する情報について、更新または修正をおこなう義務を負いません。さらに詳しい情報については、アクティビジョン・ブリザード社の報告書および米国証券取引委員会(SEC)の記録をご覧ください。
国内のハースストーンに限るならば、それほど大きな影響がもたらされることはなさそうです。
なぜならば、多くのプレイヤーが利用しているモバイル端末において、各携帯電話会社を通じた日本円による支払いがすでに実現されているからです。
普段はPC版でプレイしていても、有料コンテンツを購入するときにはコインバック(コインの還元)が存在するAmazonコインで支払うというプレイヤーも少なくないでしょう。
ブリザード・ショップから購入できるハースストーンの各有料コンテンツも、現在のアメリカ・ドルから日本円での販売に切り替えられることになります。
通貨の切り替え後における、各コンテンツの価格はまだ公表されていません。
それがモバイル版と同じ価格設定(1ドル=120円)になるのであれば、Amazonコインや各プリペイド・カードの割引を利用しない人にとっては、現状の相場(1ドル=約112円)の内に購入しておく方が、わずかに得をすることになります。
モバイル版と異なる価格設定になるのであれば――特に安価になる場合は――、モバイル版の各種割引制度を含めて照らし合わせて、どちらが得をする購入方法になるのかが熟慮される必要が生じます。
ハースストーン以外のサービスも含めた、ブリザード・ショップで販売されている各コンテンツが、日本国内からより購入しやすくなる可能性もあります。
「支払い方法の種類を増やし、取引が米ドル建てであることを理由に提供できなかった支払い手段を追加できる」と、併せて発表されているからです。
現状では支払い方法がクレジットカードかPayPalしかない、「ワイルド」のカードセット、「BattleTag」の変更手数料、「BlizzCon 2017」のバーチャル・チケットなども、国内で販売されている各種電子マネーによる決済で購入できることになるかも知れません。
個人的には、ブリザード・ゲーム専用の電子マネーである「Battle.net バランス」のギフト・カードが国内で流通される様子を、ぜひ見てみたいところです。
この仕様変更は、主にカナダ国内で大きく取り沙汰されている模様です。
「World of Warcraft」の課金に関する疑問が残される仕様変更であり、上記3か国の中で「World of Warcraft」をプレイする人口が最多であるのがカナダだからです。
毎月にプレイ料金が必要な「World of Warcraft」の支払いを自動継続のままにしていると、仕様変更後もアメリカ・ドル建てで決済されることが表明されているため、カナダ・ドル建てのプレイ料金の価格設定によっては自動継続の維持または即時解消の必要性が、今から議論されています。
南北アメリカ地域ではアメリカ・ドルとオーストラリア・ドルしか決済手段がない「WoWトークン」――ゲーム内ゴールドまたは30日分のプレイ権に変換できる有料アイテム――に関する公式発表もなく、カナダ・ドルによる決済手段が「WoWトークン」に用意されなければ、その都度にアメリカ・ドル、カナダ・ドル、ゲーム内ゴールドの3つもの相場を照合する面倒が生じると訴えるプレイヤーもいます。
そもそもハースストーンがリリースされる前からも、リリースされた後においても、カナダのプレイヤーはブリザード・ゲームにカナダ・ドル建ての決済手段を要望してきた背景があります。
その声はカナダ・ドルの価値がアメリカ・ドルを急激に上回るたびに強まり、「10ドル=8~10カナダ・ドル」で購入できたコンテンツが「10ドル=13~14カナダ・ドル」に高騰したことが嘆かれました。
カナダ国民向けにカナダ・ドル建ての決済手段を設けているアメリカの企業が多数存在する事情もあるようで、ライバルのゲーム・サービスの「Steam」においては、カナダ・ドルによる販売価格がアメリカ・ドルの1.0~1.2倍程度に設定されているゲームが少なくありません。
もしかすると、「ゲーム業界を代表しているはずのブリザード社がようやく、今さらながらもカナダ・ドル決済を設けた」という印象がカナダのコミュニティにはあるのかも知れませんし、自国の通貨による価格設定を今から最も気にしているのもカナダのプレイヤーたちなのかも知れません。