ハースストーンから「激怒」の能力のキーワードが取り除かれることが発表されました。
「激怒」は、これを持つミニオンがダメージを受けた際に発動する能力です。
しかしながら、その能力の内容はこれまで通りに継続されます。
「激怒」のキーワードは排除されますが、代わりに「ダメージを受けている間○○となる」のような説明文がカード・テキストに記述されることになります。
例えば、「激怒: 疾風、攻撃力+1」というカード・テキストを持つ激昂のウォーゲンは、そのテキストが「ダメージを受けている間は疾風と攻撃力+1を得る」に変換されます。
「ダメージを受けた際に能力を発動する」を一つの単語で言い表していた「激怒のキーワード」がなくなるだけであって、「激怒」を持つ既存のミニオンはこれまでと全く同じ働きをします。
「激怒」のキーワードの撤廃に伴い、「激怒」ミニオンを召喚することが達成条件であるデイリー・クエストの「激怒の時代」もゲームから排除されます。
※クリックで閉じる
ハースストーンのカード・テキストにある太字の単語は、特定の能力の内容を一言で表す「キーワード」です。
このキーワードについて、ハースストーンのゲーム・デザイナーであるPeter Whalen氏が以下のように説明しています。
- キーワードは、カードの能力を直感的に認識させる プレイヤーは、一度キーワードの意味を覚えたら、それを持つカードの内容をすぐに理解できる。
- キーワードは、ストーリー性をゲームに付与する 探検家がテーマのセットにおける「発見」や、妖しげな森がテーマのセットにおける「木霊」などは、その語感自体がゲームの舞台設定を彩る。
- キーワードは、カード・テキストを短縮させる カードの能力を説明する文章が短くなることで、それが理解しやすくなり、見た目もスッキリする。
- キーワードは、シナジー効果の作成を容易にさせる 「挑発を持つミニオンに+2/+2」など、特定のカテゴリーの能力を持つカードと相互作用するカードをデザインしやすくなる。
それを踏まえて、「激怒」のキーワードの使用を継続しない理由について、同氏は以下のように説明しています。
「激怒」という単語は、それを言い表している内容を直感的に連想させづらい。
「ダメージを受けている間」と明確に表記する方が、その能力はよほど理解しやすくなる。
確かに「激怒」もゲームの世界を彩る単語。
これに関してだけは、キーワードとしての「激怒」が継続されるに足る事由となる。
「ダメージを受けている間 = while damaged」を「激怒 = Enrage」の一言に簡素化しても、省略できるテキストの文字数は少ない。
ハースストーンがリリースされてから、「激怒を持つミニオン」と相互作用があるカードが発行されていない。
Peter Whalen氏は続けて、そもそも激怒の能力は活躍させづらく、デザインが難しいものであると説明しています。
ハースストーンのミニオンたちは長くは場に生存せず、特にダメージを受けて能力を発動させた激怒ミニオンなどは、耐久度が落ちるばかりか敵の排除目標と化して短命になることは免れないからです。
そのために、その代わりとして、苦痛の侍祭やドグサレガオなどの、ダメージを受けるたびに能力を発動するようなミニオンのデザインが推し進められたそうです。
生かしながらダメージを受ける機会を最大限に増やすような工夫をプレイヤーが試行錯誤できる能力であり、短命の運命をもたらす激怒よりもゲーム性を向上させやすいからです。
しかしながら、Peter Whalen氏も激怒のメカニズム自体は気に入っていて、今後も同様の「激怒系」のカードは継続して発行されるとのことです。
その際には、カード・テキストには「激怒」の単語は用いられず、「ダメージを受けている間は能力を発動する」という内容の説明文がそこに記述されることになります。