大手のゲーム報道サイトである「IGN」が、ハースストーンの開発陣2名に対してロング・インタビューを実施しました。
相手となる開発スタッフは、現在のゲーム・デザインの主要担当者であり、今後のハースストーンの発展を主導するピーター・ウェイレン(Peter Whalen)とディーン・アヤラ(Dean Ayala)の両氏です。
「IGN」の多岐に渡る質問が、的を得ていて、かつコミュニティを代弁する内容であったために、高い関心を持たせる応答となりました。
その模様を掲載します。
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1. 現環境におけるパラディンとウォーロックについて
Dean Ayala
- パラディンのデッキが3種類(偶数・奇数・マーロック)も、それぞれ異なるランク帯において高い人気を得ている。
ウォーロックも大変人気が高いクラスであり、ウォーロックのほとんどの人気デッキは上位ランクでも常連となっている。 - 偶数パラディンと奇数パラディンのデッキの構成内容は、確かに「ウィッチウッド」のリリース前と似ているが、それぞれのメカニズムは以前と比べて大きく変化している。
これらは、新しいタイプのデッキであると感じている。 - よって、パラディンに関しては、パワー・レベルが全体的にやや高いことだけが問題の焦点とされた。
いまのメタ環境において、パラディンのデッキ群を他の大多数のデッキと同等のレベルまでに近づけることが、修正の議題の一つになった。 - ウォーロックに関しては、試合中の序盤戦で起こり得る常軌を逸した現象が、プレイヤーに悪い心象を与えてしまっている。
第5~6ターンあたりで繰り出される取り憑かれた従者と暗黒の契約のコンボや、「ワイルド」環境におけるナーガの海の魔女を介した巨人連投のコンボは、それぞれ対処することが相当に困難であるため、こちらも修正の議題の一つになった。 - 現在のメタ環境における、パラディンとウォーロック以外のクラスおよびデッキの様相については、おおむね満足している。
バランス調整の指標の一つである「勝率が5割以上の戦術が何種類存在するか」が、現在は12~15ほどである状況について、喜んでいる。 - 今回のバランス調整によって、メタ・ゲームが活性化することを見込んでいる。
パラディンやウォーロックに抑圧されていたデッキ群に活躍の機会が与えられるようになったら、対戦環境が新鮮に感じられることになるだろう。
2. メタ環境の変遷の不足について
Dean Ayala
- 確かに、対戦環境に新鮮さを呼び起こすことが、「スタンダード」のローテーションや新カードセットのリリースを行う理由の一つである。
しかしながら、それまで培われ(つちかわれ)てきたストラテジーの全てを根絶することが目的ではない。 - 「ウィッチウッド」がリリースされた際に、「コボルト」セットのカードを満載したデッキを扱うプレイヤーに対して、「はい、これからは『ウィッチウッド』仕様のデッキだけが有力になります」と宣言することが目標でも決してなかった。
だからこそ、いくつかのデッキが既存の環境から持ち越されることは、健全なコンディションであると思っている。 - 全体の40~60%ものデッキが前環境から引き続き持ち越された場合は、私たちは対戦環境がリニューアルされていないと捉えて問題視する。
現在の対戦環境がそのような事態に陥って(おちいって)いるという確信はないが、今回のパラディンとウォーロックの調整が、それぞれに存在するはずの「ウィッチウッド」スタイルの特色を強める大きな助力となるだろう。 - プリーストも、前環境から引き続いてドラゴン・デッキを極めて高いランクで活躍させているが、その内容は以前とは少し様変わりしていると思われる。
ハドロノックス・ドルイドは、「ウィッチウッド」のカードを多用していないが、新たな常連デッキとして環境に新鮮さを与えている。