「デザイナーの洞察」シリーズが公式サイトに掲載され、そこで開発陣のクリス・ジアフット(Kris Zierhut)氏が闘技場のカード・ドラフトについて説明しました。
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※闘技場のカード・ドラフトとは
闘技場のプレイ・モードで用いるデッキを作成する際に実施される、ランダム・カードの提示です。
プレイヤーは闘技場の入場時に、ランダムに提示される3枚のカードから1枚を選ぶことを30回繰り返し、30枚のカードから成るデッキを構築します。
※「デザイナーの洞察」シリーズとは
ゲームのシステムやバランスの所感を開発陣が述べるコーナーです。
ハースストーンの開発の展望に関する知識をコミュニティと共有することが目的とされています。
※クリス・ジアフット氏について
2005年にブリザードへ入社。
同社の看板タイトル「World of Warcraft」のリード・クラス・デザイナーとして、PvP(対人戦)向けのクラス調整等を担当しました。
現在はハースストーンのリード・システム・デザイナーとして闘技場の調整に携わり、3月には「デザイナーの洞察: 闘技場の変更について」に出演しています。
以前より闘技場のプレイヤーから、ドラフトの仕組みに関する詳細な情報の公開が求められており、そうした要望に応える発表となっています。
その記述された内容の要点をまとめ上げて掲載します。
1. カードのグループ分けについて
- 現在の闘技場のドラフトで提示されるカードはそれぞれ、7つに分けられたグループのいずれかに属している。
レジェンド・カードは、別途に3つのグループに分けれられている。 - それぞれのカードが闘技場の各試合で含まれていた場合の勝率を統計し、その勝率の高さの順序にしたがって、まず最初のグループ分けが行われる。
「バケット1」から「バケット7」までの各グループにはそれぞれ、勝率が同程度であるカード群が属している。 - パッチ「10.4」の時点(2018年3月)における、最高グループの「バケット1」には、53%以上の勝率を記録したカード群が属していた。
- その最初のグループ分けに続いて、ドラフトにおける各カードに対するプレイヤーの選択頻度が反映される。
例えば、人気が過剰に高かった黒曜石の像は「グループ2」から「グループ1」に昇格し、あまり選択されることがなかったファイアフライは「グループ2」から「グループ3」に降格した。 - レジェンド以外のグループ分けには、カードのレアリティが影響することはない。
- 30回繰り返されるカード・ドラフトにおいては、各ドラフトごとに7つのグループからランダムに1つが選ばれる。
それから、そのグループに属しているカード3枚がランダムに提示される。 - 各グループが選ばれる確率はカードのウェイトによって定められており、そのウェイトについては次章で説明する。
※要点
- カードは、強さの順に「バケット1」から「バケット7」までのグループに振り分けられる。
- ドラフト時には、まずグループがランダムに選ばれ、その選ばれたグループに属するカード3枚がランダムに提示される。
2. カードのウェイトについて
- 闘技場のドラフトで登場する全てのカードにはウェイト(加重値)が個別に定められている。
- ウェイトは、各カードのドラフトにおける出現率に影響する。
例えば、ウェイトが1.5であるカードは、ウェイトが1.0であるカードよりも、ドラフトで提示される確率が1.5倍高くなる。 - ウェイトの既定値は以下のとおり。
中立カード … 1.0
中立カード(基本/クラシック) … 0.5
クラスカード … 2.0
クラスカード(呪文/武器) … 3.5
※もし仮に中立の呪文カードと武器カードが存在するならば、それぞれのウェイトは1.75となる。 ※最新のカードセットのウェイトが高くなる措置は直近のパッチで撤廃済み。
- 前章で説明したグループはそれぞれ、属しているカード全てのウェイトの合計値が算出されている。
そのウェイトの合計値によって、各回のドラフトでグループが選択される確率が定まる。 - 例えば、ウェイト合計値が200であるグループは、ウェイト合計値が100であるグループよりも、ドラフトで選択される確率が2倍高くなる。
- 勝率が低いグループは、さらに出現率が低くなる調整が施されている。
※要点
- 各回のドラフトでランダムに選択されるグループは、そのグループに属する全てのカードのウェイト合計値によって、選択される確率が定まる。
- グループが選択されると、そのグループに属するカードが、ウェイトの値に比例する確率によってランダムに3枚提示される。
3. ウェイトの微調整について
- 各カードセットのリリースから数週間後に、ドラフトで登場する全てのカードのウェイトに調整が施される。
クラス間の勝率を平均化するため。 - 各カードの勝率に基づいて、0.7~1.3の範囲内で追加のウェイトが乗算される。
例えば、クラス専用の呪文カード(ウェイト3.5)に0.7の微調整の評価が与えられたら、そのカードのウェイトは「3.5 × 0.7 = 2.45」となり、出現率が3.5倍から2.45倍に下がる。 - その微調整の後に、さらにレアリティによるウェイトが乗算される。
「基本」カードとコモン・カードは、レア・カードよりも高いウェイトがかけられて出現率が高まる。
同様にレア・カードは、エピック・カードよりも高いウェイトがかけられて出現率が高まる。 - 前述のとおりに、各カード・グループのウェイト合計値は、そのグループがドラフトにおいて選ばれる確率を定めている。
そのため、ウェイトの微調整は、カード自体の出現率だけでなく、各グループの出現頻度にも影響する。 - カード総数が少ないグループがドラフトで選ばれた場合に、相対的にレアやエピックのカードが出現しやすい問題を現行のシステムは抱えている。
パッチ「12.0」において、その問題を改善する予定。
※要点
- 新セットのリリース後は、メタ確定後に改めて全カードに微調整のウェイトがかけられる。
- 「基本&コモン > レア > エピック」の順で出現率が高くなるよう、レアリティ用のウェイト調整も施される。
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