「ダークポータルの開通」によって引き起こされた、ホード軍とアライアンス軍の戦争は、第一次大戦(First War)と呼ばれています。
「ハイジャル山の戦い」で終結した、アゼロス軍が悪魔の二回目の侵略に抵抗した戦争は、第三次大戦(Third War)と呼ばれています。
その第一次大戦と第三次大戦の間には、第一次対戦で敗北していたアライアンス軍が逆襲を成し遂げた、第二次大戦(Second War)が発生しています。
第二次大戦で敗れたホード軍のオーク種族たちは、アライアンス軍の人間種族の捕虜となりました。
第三次大戦においてはオーク軍を統率する立場であったスロールも、第二次大戦の直後には人間の捕虜の一人として過ごしていました。
彼は、ダーンホールドという砦(Durnholde Keep)に収容され、そこで剣闘士として人間種族を楽しませることを強要されていたのです。
乳児の頃からダーンホールドの砦に引き取られていたスロールは、成長するにつれて人間の乳母とその娘タレサ(Taretha)と親しい間柄になり、やがてはタレサの手引きによってダーンホールドからの脱走を果たしました。
こうして自由を得たスロールが、最終的にはホード軍の総大将の地位まで昇りつめて、アゼロスの英雄の一人になる契機となった事件です。
やがてホードの長になった彼は、恩人のタレサの安否がどうしても気に掛かり、ダーンホールドに住む家族とは離れられないというタレサと今一度接触しています。
そのときの面会が発覚したことによって、オークとただならぬ関係があるという容疑で投獄されたタレサは、酔っ払った上官によって収監中に不意に斬首されてしまいました。
結局ダーンホールドの城主と直接対面したスロールに向かって、城主がこれ見よがしにタレサの首を放り投げると、恩人が処刑されていたことを悟ったスロールは怒りが抑えきれなくなりました。
その場で城主を一撃で葬ったスロールは、その直後に、オークの軍を率いて廃墟となるまでダーンホールドの砦を――いまわしい奴隷時代の記憶と共に――粉々に打ち砕き尽くしました。