「World of Warcraft」におけるチェス・イベントは、大型ダンジョンのカラザンを象徴するボス・エンカウンターの一つです。
「カラザンといえばチェス」と認識されるほどに有名であるため、ハースストーンでのチェス戦は、原作の経験者に対するアピール力が最も強い目玉企画となりました。
その戦闘の内容は実際のチェスを模していて、「World of Warcraft」の中でも大変にユニークなエンカウンターです。
プレイヤーたちは、それぞれが自陣営のチェスの駒に搭乗して、敵陣営のキングを倒すことを目指します。
実際のチェスを模してはいますが、ルールは大きく異なり、RPGらしく各駒には体力と特殊能力が設定されています。
ナイトは騎士らしく高い機動力と防御能力を備え、ビショップは司祭らしく回復能力に長けています。
体力がゼロになった駒は戦闘から取り除かれます。
プレイヤーは任意の駒に搭乗して操作し、駒を移動させたり能力を発動させたりします。
搭乗したプレイヤー・キャラクターの装備品レベルの高さによって、駒の体力が変動します。
誰も搭乗していない駒は、敵陣営の駒と同様に、自動で移動と能力発動を繰り返します。
難度はカラザンのボス・エンカウンターの中では最も低く、プレイヤー・キャラクターが死亡することもないため、「ボーナス・ステージ」と位置づけられています。
強力な駒であるキングとクイーンを適切に操作し、それらを中心にビショップできちんと回復していれば、まず負けることがありませんでした。
勝利すると宝箱が現れ、他のボスのドロップ品と同等レベルの装備が報酬として与えられます。
各駒が「Warcraft 1」に登場するユニットとなっていることも独特な仕様です。
アライアンス陣営のキングは元ストームウィンド王国のレイン王であり、ホード陣営のキングは元ブラックロック氏族のブラックハンド族長(レンド・ブラックハンドの父)となっています。
いずれも映画「ウォークラフト」で登場したキャラクターです。
一般歩兵のポーンは、「Warcraft」シリーズ全般で登場する、人間のフットマンとオークのグラントです。
ウォーター・エレメンタル(ルーク)、ドゥームガード(ルーク)、ウルフライダー(ナイト)など、ハースストーンで登場するユニットもいます。
カラザンは、城主であったメディヴの亡霊がキャラクターとして登場することも大きな特徴の一つです。
そして、このチェス・イベントでは、敵陣営を操作する対戦相手がメディヴの亡霊となります。
拠点となる城内にこのような巨大チェス盤が設置されていたことから、メディヴはチェスを好んで親しんでいたと予想されています。
「WoW」のチェス・イベントのメディヴが発するセリフの「Let the game begin」「Hmm…Interesting…」「Must not complacent」などは、英語版ハースストーンのヒーローのメディヴも発するセリフです。
また、英語版ハースストーンのメディヴは、降参時に「チェックメイト」というチェス用語を発言します。