@bandzero氏が算出した、レジェンド出現確率の表のツイートを添付しました。
カードパックの開封時におけるレジェンド(最高のレアリティ)・カードの出現率には、どうやら以下の隠し要素が適用されているらしいことが大きな話題となっています。
- レジェンド・カードが現れるまで、カードパックを開封するごとにレジェンド・カードの出現率が徐々に高くなる。
- レジェンド・カードが現れないまま40回目のカードパックの開封を迎えると、必ずレジェンド・カードが出現する。
- レジェンド・カードが現れると、レジェンド・カードの出現率は初期値にリセットされる。
briel_hsさんがこの発見をRedditに掲載し、その後にPi143さんがこれを裏付けるデータを掲載しました。
briel_hsさんによって、この隠し要素は「救済タイマー」(Pity Timer)と名付けられています。
今回は、このカードパックの救済タイマーに関する詳細を掲載します。
特定のアイテムやイベントが、長期にわたって出現しない不運を軽減する保証システムです。
出現条件を満たすアクションを起こしたにもかかわらず、特定のアイテムやイベントが出現しなかった場合、次回にその出現率を少し高め、最終的には100%にするという内容です。
「World of Warcraft」におけるクエスト・アイテムの出現率や装備品の能力の発動率、「Diablo 3」におけるレジェンド・アイテムの出現率などにも採用されています。
これらは低確率であっても、いずれ訪れる定められたタイミングにおいて100%になるよう保証されています。
「Pity Timer」という呼称は、「Diablo 3」においてコミュニティによって名付けられました。
Diablo3 Guide jpの「レジェンダリーアイテムの入手の仕組み」の記事で掲載された「救済タイマー」が秀逸な和訳だと感じられたので、当サイトもこれにならい、「救済タイマー」と表現することにします。
この救済タイマーが、ハースストーンのカードパックにも存在するというのです。
判明したきっかけは、15,000以上ものカードパックを開封したAdysさんが掲載した開封データです。
このデータによると、カードパックの開封時におけるレジェンド・カードの出現間隔は、開封40回を上回ることがないとのことです。
すなわち、40回続けてカードパックを開封し、レジェンド・カードが1枚も出現しないということはないのだそうです。
また、データの解析の結果として、開封の際にレジェンド・カードが出現しないことが続くと、徐々にレジェンド・カードの出現率が高くなるらしいことが指摘されました。
ベースとなるレジェンド・カードの出現率は3~4パーセントですが、出現しない開封が続くごとに、その確率は少しずつ高くなるようです。
そして、ついには40回目の開封でこの確率が100パーセントとなり、
どの時点であろうとも、レジェンド・カードが出現すると、出現率は初期値にリセットされるとのことです。
開封数 | 出現率 | 開封数 | 出現率 | 開封数 | 出現率 | 開封数 | 出現率 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 4.06% | 11 | 5.04% | 21 | 6.99% | 31 | 12.86% |
2 | 4.14% | 12 | 5.17% | 22 | 7.30% | 32 | 14.17% |
3 | 4.22% | 13 | 5.32% | 23 | 7.65% | 33 | 15.80% |
4 | 4.30% | 14 | 5.47% | 24 | 8.03% | 34 | 17.89% |
5 | 4.39% | 15 | 5.64% | 25 | 8.46% | 35 | 20.69% |
6 | 4.48% | 16 | 5.82% | 26 | 8.95% | 36 | 24.60% |
7 | 4.58% | 17 | 6.02% | 27 | 9.51% | 37 | 30.46% |
8 | 4.68% | 18 | 6.23% | 28 | 10.15% | 38 | 40.24% |
9 | 4.79% | 19 | 6.46% | 29 | 10.91% | 39 | 59.80% |
10 | 4.91% | 20 | 6.72% | 30 | 11.80% | 40 | 100.00% |
Reddit (Hearthstone) – Pity Timer on Packs Opening, and the Best Strategy
Reddit (Hearthstone) – Pity Timer on Packs Opening analysis
HearthSim – The Grand Tournament Card Pack Opening
以前の@hearthstone_exp さんの「救済タイマー」の記事で紹介されていたレジェンド開封確率を基に、何パック開ければレジェンドが出るのか表にしました!
こう見ると「もっと当たってもいいはずなのに(´・ω・`)」と思えますが、皆さんはどうでしょうか?参考にしてみてください pic.twitter.com/kiDmLdYRNO— 0 (@bandzero) 2017年4月25日
- この救済タイマーに関する公式情報は一切なく、掲載されている全ての情報が正確であるとは限りません。
- レアリティがエピックのカードにも救済タイマーがあるようです。
エピック・カードが現れないまま10回目のカードパックの開封を迎えると、必ずエピック・カードが出現するとのことです。 - ゴールデン版のカードにもあるようです。
データが足りないので不確定とのことですが、ゴールデン版のコモン・カードは25回、同レア・カードは30回に救済タイマーが設定されているのだそうです。 - ゴールデン版のエピックやゴールデン版のレジェンドの出現は、おそらくは通常版のエピックやレジェンドの救済タイマーをリセットしていないであろうと推測されています。
- 救済タイマーはパックの種類ごとに別々に記録されていて、パックの開封やレジェンド・カードの出現は、他の種類のパックに影響を及ぼさないそうです。
「クラシック」からレジェンド・カードが出現したとしても、「ゴブリン vs ノーム」や「グランドトーナメント」の救済タイマーはリセットされない模様です。 - おそらくは、パックを購入した際の支払い方法(ゴールドか現金か)は救済タイマーに影響を与えないであろうと推測されています。
- カード開封の画面から退場したり、ログアウトしても、救済タイマーの記録は変わらず維持されているものと推測されています。
- 「タイマー」という名称ですが、実時間は関係ありません。
カードパックの開封という行為だけが回数としてカウントされるようです。 - おそらくは、この救済タイマーは「グランドトーナメント」のリリース(2015年8月下旬)頃から適用されているのだろうと推測されています。
すなわち、これ以降にハースストーンを始めたプレイヤーは、既存のプレイヤーよりも得をしています。 - なお、現在は、カードパックの開封時にその中身が決定されます。
「それぞれの開封は、他の種類のパックに設定されているタイマーに影響を及ぼさない」
この2点が真実であるとすれば、救済タイマーを活用したからといって、特定の種類のカードパックからレジェンド・カードを多く入手できる訳ではありません。
という活用法を推奨する声が少なくありませんが、これはレジェンド・カードの出現時期を早めるだけの行為です。
「クラシック」「ゴブリン vs ノーム」「グランドトーナメント」の各パックを、種類ごとに立て続けに開封しようが、1種類ずつ開封しようが、それぞれが他の救済タイマーに影響を及ぼさない限りは、各種類のレジェンド出現数の期待値は同じです。
長年にわたってプレイし、多くのカードパックを開封し続けるのであれば、どのように開封するとしても総合的なレジェンド・カードの出現率は変わりません。
新規にプレイする人にとっては、この
より少ない投資で最初のレジェンド・カードを入手できることになるからです。
不要でも400の魔素(Arcane Dust)に還元することができるので、資産が少ない時点では心理的にも大きなプラス要素となります。
あるレジェンド・カードを作成することを決断した際に、それが属する種類のカードパックからしばらくレジェンド・カードが出現していなかったならば、数個を開封してレジェンド・カードを出現させてみるのもいいと思います。
例えば、ドクター・ブームを作成する際に、「ゴブリン vs ノーム」の開封において35回連続でレジェンド・カードが出現していなかったら、「ゴブリン vs ノーム」を数個開封するだけでレジェンド・カードが、ドクター・ブームが出現するかもしれません――
この救済タイマーに関する公式の発表はないのですが、存在が事実であるならば、公表する方がいいのではないかと個人的には思います。
不運によってカード資産の内容が他人よりも大きく劣るという、不公平感を与える事態を抑制する、ユーザー・フレンドリーなシステムだからです。
ゲームのアピール要素となるはずです。
最近は、モバイル向けのゲームにおける、いわゆる「ガチャ」システムが、社会問題として取りざたされるようになっています。
特定のレア・アイテム1つを「ガチャ」から引いて入手するために、一度に何万円ものお金をつぎ込む「廃課金」と呼ばれる行為が問題視されています。
それほどのお金を費やしてまで入手したいと思わせるコンテンツを制作したことには敬意を表しますが、プレイヤーに寄り添うユーザー・フレンドリーとは程遠い課金システムではないかと思います。
熟練したプレイヤーではなく、多額のお金を支払ったプレイヤーだけが有利や優越感を得るゲーム・システムは、品がなく、面白みを感じさせません。
出現率が低い同じアイテムを獲得するのに、たった数回の支払いで済ませたプレイヤーと、何万円もの支払いを要したプレイヤーがいるのでは、多大な不公平感を生じさせます。
好みのカードを作成できるハースストーンにおいては、数万円も購入費用にあてると、流行するデッキのほぼ全てを組めるだけのカード資産を即座に築くことができてしまいます(もちろん資産だけでは勝てませんが)。
ハースストーンは、ランダム封入のカードパックを開封するという楽しみを与えながら、各プレイヤーのカード資産の格差をゆるやかに補正するシステムを持つ、任意課金制のカードゲームです。
プレイヤーの意向とはかけ離れた、まるでお金を搾り取ることが目的であるかのような一部の「ガチャ」ゲームとは対極にある、良心的で、ユーザー・フレンドリーなゲームだと思います。