Joustカード
ヒーローに焦点をあてた「グランドトーナメント」セットは、ヒーローパワーの使用をテーマとし、それに関連する能力を多数提供しました。
その象徴が激励で、ヒーローパワーの使用によって効果が発動される能力です。
もう一つ「グランドトーナメント」セットが提供した象徴的な能力が、Joust(ジャウスト)です。
お互いのデッキのカード1枚をランダムに参照し、自分側のカードのマナ・コストが高ければ効果が発動されるという内容です。
共にユニークで興味深いメカニズムを有していたのですが、残念ながら、定着したり支持されたとは言い難い能力でした。
激励ミニオンの難点は、結局は召喚と同時にヒーローパワーを発動させる2マナが余分にないと、コストに比しては弱くて排除されやすいミニオンに過ぎないことです。
毎ターンに能力を発動し得ることから効果の強度が全体的に抑えられていたり、「手札に戻す」「双方のミニオンを破壊する」などの謎仕様である能力が複数あったことも、大きなインパクトを残せなかった要因でした。
サンダー・ブラフの勇士以外は、ランク戦のトップ・シーンや大会で常用されることがなく、闘技場で活躍するにとどまりました。
一方のJoustは、いくら高コストのミニオンを多用するデッキであっても能力が不発に終わることがあり、失敗すると(癒しの波以外は)何の特殊能力も発動されない不確実性が不評でした。
能力が不発となっても、最低限はコスト相応の働きを見せる王のエレクや癒しの波などが、かろうじて散見された程度でした。
その後に激励やJoustの能力を持つカードが発行されることはなく、これらはマンモス年より一斉に「スタンダード」の環境から退場することになります。
序盤戦で、第1ターンからして手札で腐ることがない、汎用性がある低コストの呪文です。
登場時から常に高い起用率を誇りました。
コスト3であっても強い部類に入る3/4のミニオンが、コスト2で、第2ターンから召喚できてしまうのです。
後に登場するトンネル・トログとの相性もよく、当時のシャーマンは最弱ながらもバケモノ級のミニオンをまず手にしていました。
呪文のプレイとの作用能力を活用するテンポ・メイジにとっては、便利な低コストのダメージ呪文でした。
後に登場するカルトのソーサラーと併用すれば序盤から4ダメージを与えることができるため、クトゥーンを扱わないデッキでもセットで起用されました。
ランク戦における活躍は限定的でしたが、ステータス値を含めた基本性能は強いミニオンです。
闘技場ではなぎ払い、木立の番人、爪のドルイドなどと肩を並べたほどの、屈指のドルイド専用カードでした。
アグロ系のデッキで多用された突撃ミニオンです。
コストとステータス値が全てアージェントの司令官の半分であることは、ハースストーンの豆知識の一つです。
3/2の獣として序盤に配置できるので、能力が発動する確率が高くなくても、ハンターは好んで起用していました。
純粋なブラッドフェン・ラプターの上位互換カードです。
「グランドトーナメント」で登場した激励カードの中で、唯一トップ・シーンにおいても活躍が認められたミニオンです。
放置しておくと大惨事となることから、優先して排除せねばならない潜在的な挑発ミニオンとして、対戦相手にプレッシャーを与える存在でした。
序盤戦に最大マナをブーストさせる用途で、一時期にミッドレンジ・ドルイドのデッキで常連となっていました。
コンボが失われたことによるミッドレンジ・ドルイドの衰退、古代地の番人の登場、中盤戦や終盤戦においては虚弱であることなどの理由によって、姿を消していきました。
相手も回復させるデメリットがあるものの、そもそも序盤戦では積極的に攻勢に出ないコントロール・デッキにおいては現在でも起用されている、頼もしい回復用ミニオンです。
コミュニティの間に「ファンネル・ケーキ」の名を浸透させた第一人者でもあります。
除去能力が乏しいドルイドに、なるべくであれば1枚は携帯したいと思わせる抹殺手段です。
自然への回帰と比べるとデメリットが随分と小さく、リサイクルと比べるとコストが随分と低いカードです。
過去最高のオーバーロードと、派手な威力が話題となった全体攻撃です。
シャーマンのコントロール向けのデッキにおいて、ロックされたマナを解放する溶岩の衝撃などと併用されました。
ランダム攻撃ながらも、召喚時点で遠隔1ダメージを確定させるミニオンです。
主に速攻系のデッキで用いられました。
マーロックに特化していなくても、パラディンのコントロール・デッキにおいて用いられることがありました。
放置されると続々とマーロックを召喚し続けるので、闘技場においてはそれなりの起用率を誇りました。
遠隔攻撃と装甲の獲得を同時に行う、攻守両面の能力を発揮するカードです。
長期戦用のコントロール・デッキで多用されました。
ランク戦や大会では、とうとう見かけることがほとんどありませんでしたが、単体で見れば強力なミニオンです。
闘技場における評価は常に高く、ランク戦とは打って変わって、こちらではかなりの頻度で登場しました。
ヒーローパワーを多用するという「グランドトーナメント」のテーマのもとでデザインされた能力でした。
ただ、実際にはプリーストとウォリアーだけが、長期戦を耐えるために活用していたミニオンでした。
トーテム・ゴーレム、炎の舌のトーテム、マナの潮のトーテムなどをも召喚し得るため、戦術タイプを問わずにシャーマンのデッキで常連となる存在でした。
さすがにそれはやり過ぎたとして、基本トーテムだけを召喚する能力に弱体化されてからは、姿を消しました。
仇討が退場する「旧神のささやき」のリリースまで、ミッドレンジ・ドルイドと双璧を成していたシークレット・パラディンを誕生させたミニオンです。
ドルイド・コンボは弱体化によってゲームから排除されましたが、「スタンダード落ち」にとどまったシークレット・パラディンは、その後に「ワイルド・フォーマット」で長らく天下をとるほどに猛威を振るい続けました。