本日の未明に「凍てつく玉座の騎士団」の公式ライブ放送が配信され、そこでデスナイト・カードという特別なカードが新たに発表されました。
デスナイト・カードは、プレイヤーが実際にコレクションとして収集することができないカード群です。
イセラがもたらす「夢カード」、エリート・トーレン・チーフテンがもたらす「ロックなカード」、「ゴブリンvsノーム」セットがもたらす「スペアパーツ・カード」のように、デスナイト・カードは特定された種類の中からランダムで1枚が手札に入る性質を持ちます。
そのデスナイト・カードを生成する能力を有するカードは、本日に発表された新カードであるアーファスとリッチキングです。
いずれも、能力が発動されると8種類あるデスナイト・カードの中から1枚をプレイヤーの手札に加えます。
デスナイト・カードの8種類の内訳は、武器カード1種と呪文カード7種です。
武器カードは、リッチキングを象徴する武器のフロストモーンです。
Warcraftのファンならば誰もが知っているこの有名な武器を、全てのクラスが扱えることになります。
そして、興味深いポイントは、7種中の6種の呪文が「World of Warcraft」におけるデスナイト・クラスのプレイヤーが扱うスキルそのものであることです。
今回は、デスナイト・カード各種の能力をそれぞれ、原作オリジナルのスキルとの比較を交えて解説します。
回復能力の方の強度は瞬間回復に及びませんが、攻撃能力の方は溶岩爆発やファイアーボールなどと比べれば相当に強力です。
敵のヒーローを対象として、その止めを刺すこともできるので、多くの場面で活用できる呪文です。
どうやら、敵のキャラクターを選択すればダメージに、味方のキャラクターを選択すれば回復に、それぞれ自動で使い分けられて発動される模様です。
「World of Warcraft」におけるDeath Coilの能力は、現在でこそ「単体ダメージ+ペットのグールのエナジー回復」ですが、変更前は「ターゲットが敵ならばダメージ、ターゲットがアンデッドの味方ならば回復」でした。
その当初の能力がそのままハースストーン版に反映されています。
1997年リリースの「Warcraft 2」時代から存在する、伝統あるデスナイトのスキルでもあり、この頃も「ダメージ+回復」の両面性を持つ能力でした。
ただコスト2を消費してカード1枚の内容を変えるというテンポ・ロスの結果となりますが、このカードの本質は対戦相手のデッキ内に残っているミニオンを失わさせることにあります。
その盗んだミニオンがもし、相手の戦略の鍵となるカードであったならば、相手は勝ち筋を大きく損うことになります。
相手のデッキのカード枚数も減らすために、長期戦においては相手のデッキ切れを早めさせるプレイにもなります。
「World of Warcraft」におけるDeath Gripは、自分から離れている敵1体を自分のそばへ強制的に引っ張ってくる効果を発動します。
引っ張った敵のNPCは自分に攻撃を向けるために、盾役のデスナイトはこれを挑発(Taunt)能力として利用できます。
呪文の詠唱を中断させることもできるので、特に後方から攻撃してくるキャスター系のNPCの捕獲に最適です。
対人戦においても、距離を置く魔法使いやヒーラーたちに対する急襲手段として有用であり、ドルイド・クラスのタイフーンなどと組み合わせて崖から落とさせるなど、使用するタイミングのセンスが見て取れるスキルです。
ライフ・アドバンテージを犠牲にして、大きなテンポを得ることができる除去能力です。
体力が8や12である大型ミニオンを破壊しようとすると大きな痛手となりますが、それでもわずかコスト2で破壊できてしまうというのは脅威的です。
シャドウブレードなどの、自分のヒーローに無敵を与える能力との相性がよい呪文です。
「World of Warcraft」におけるObliterateは、細かな仕様変更を何度も経てきたものの、猛烈な一撃を単体の対象に与えるダメージ・スキルであることは一貫し続けています。
ハースストーン版のように自分が傷つくことはありませんが、当初のObliterateには、対象の敵に付与されていた病気を取り除いてしまうデメリットがありました。
付与した病気の数だけ威力が上がる代償ということだったのですが、とにかく「デメリットを持つ強力な単体攻撃能力」という特徴がハースストーン版でも反映されています。
地獄の炎と異なる点は、自軍側には一切の被害を及ぼさないことです。
強さに比してはコストが異様に低いこと以外は、特筆することがありません。
敵のヒーローにもダメージを与えます。
「World of Warcraft」におけるDeath and Decayも範囲攻撃用のスキルであり、対象がいる地面を広範囲に赤く染め上げ、範囲内にいる敵全体にダメージを与え続けます。
「DnD」という略称で親しまれ、盾役のデスナイトは敵の集団をキープする用途でこれを発動し、攻撃役のデスナイトも複数の敵を早期に全滅させるために活用します。
Death Coilと同様に「Warcraft 2」から存在するデスナイトの伝統的なスキルであり、複数の敵に対する全体攻撃という特徴はハースストーン版でも受け継がれています。
自軍のミニオンを多数展開する戦術と非常に相性が良い全体強化呪文です。
2体に強化できればコスト相応の能力であり、3体以上に強化できたならば多大なテンポ・アドバンテージがもたらされます。
獰猛な咆哮や血の渇きのように、敵のヒーローへラッシュをかける手段としても用いることができます。
「World of Warcraft」におけるAnti-Magic Shellは、魔法ダメージの被害を緩和し、敵から受けるあらゆる魔法の効果を打ち消す防御用のバリア・スペルです。
ハースストーン版での味方全体へ効果が及ぶ様子は、デスナイトのタレント能力であるAnti-Magic Zoneという対魔法のバリア・ゾーンの方によく似ています。
前者は「AMS」、後者は「AMZ」という略称で親しまれ、デスナイトはこれらを交互に発動して魔法の被ダメージを軽減し続けることで、魔法使い系の敵に対して優位を得ることができます。
自分のデッキからカードが破棄されていくというのは地味に嫌なデメリットですが、能力自体はコストに比しては強力です。
対戦アドバンテージの側面から考えると、実際に消費するコストは5マナとこのカード1枚だけとなります。
もちろん、長期戦においては早期のデッキ切れへの配慮をする必要があります。
デスナイト・カードの中で、Doom Pactだけは「World of Warcraft」で登場していない、ハースストーンのオリジナルのスペルです。
以前は、似た名前のDeath Pactというデスナイトのタレント能力がありましたが、これは自分自身を回復するスキルであり、ハースストーンのDoom Pactとは直接的に関連がないものと思われます。
ヴァリアン・リンと似た効果を持つカードで、それと異なる点は7/7のヴァリアンが確定で召喚されないことと、ミニオン以外のカードは全て手札に入らずに破棄されることです。
カード・アドバンテージを得ることはなく、6マナの消費で0~5体のミニオンを――デッキの構成内容に基づいた確率で――ランダムに召喚する呪文ということになります。
ミニオンをたくさん起用しているデッキでは大変有用となりますが、鍵となる呪文やヒーローカード、あるいは重要な雄叫び能力を持つミニオンがデッキに残されている場合には、使うことがためらわれます。
「World of Warcraft」におけるArmy of the Deadは、大量のアンデッド軍を召喚してバースト・ダメージを与える能力です。
長いクールダウン(再使用不可時間)と強力な効果を併せ持つ特徴は、高コストであるハースストーン版のArmy of the Deadにも反映されています。
アンデッドを使役するデスナイトを象徴する能力でもあり、デスナイト・クラスがアナウンスされた際に最初に紹介されたスキルです。
どのクラスでも扱える強力な武器です。
消費しきった際にはミニオンを召喚するという、これまた強力な効果をもたらします。
召喚の効果を活用する上で重要な点は、何のミニオンをこの武器で破壊したのかを覚えておき、適切なタイミングで断末魔を発動させることです。
自陣営が空の状態であるならまだしも、敵に全体除去能力がありそうなときに必要以上の召喚を果たすのは得策とは言えず、もっと言えば自陣営がフルの状態で発動させても無意味となります。
突撃ミニオンをフロストモーンで倒していたら、武器交換等で無理矢理にフロストモーンを破壊してでも突撃ミニオンを召喚させた方が、体力によっては敵の止めを刺せるかも知れません。
もう一つは、なるべくであれば、自軍に引き入れたいミニオンだけをフロストモーンで破壊することです。
自軍に来るとデメリットの方が大きい爆弾部隊などは、フロストモーン以外の手段で処理するようにします。
引き入れたい対象を自軍のミニオンと協力して破壊する際には、最後にフロストモーンで止めを刺して破壊するようにします。
「World of Warcraft」におけるフロストモーンは、大型ダンジョンのアイスクラウン城砦の最終ボスであるリッチキングが装備している魔剣です。
リッチキングは強烈な通常攻撃をこの魔剣で仕掛けてくる他、体力が10%に到達すると魔剣からほどばしるFury of Frostmourneでプレイヤーたちを全滅させます(続けざまにティリオンとの一騎打ち → 全員蘇生 → 勝利の流れに)。
フロストモーンという武器自体はゲーム内に存在しませんが、リッチキングが敗れた際に残されたフロストモーンの破片から製造された、その名もBlades of the Fallen Prince(堕落した王子の双刀)というデスナイト・クラス専用のアーティファクト武器が最近に登場しています
原作のフロストモーンは、初代リッチキングの魂の一部となる武具であり、これを直に触ったアーサス王子はリッチキング配下のデスナイトに変貌しました。
この魔剣の悪しき特徴は、殺した生物の魂を吸い取って内部に封じ込めることであり、ハースストーン版フロストモーンの能力の由来となっています。
ティリオン・フォードリングが持つアッシュブリンガーの一撃によってフロストモーンが破壊されると、内部に吸入されていた何千もの魂が一斉に解放され、その一つであるアーサス王子の父・テレナス王の魂がアーサスの最期を見届けました。
テレナス王の他に、ハースストーンでも登場するウーサー・ライトブリンガー、シルヴァナス・ウィンドランナー、アントニダス、サファイロン、ブラッドクイーン・ラナセル、デスブリンガー・サウルファングなども、このフロストモーンの犠牲となりました。