日本の公式フォーラムでも活発に議論されているように、今回の弱体化のアナウンスについては、近年まれに見るほどにコミュニティ全体がヒートアップしています。
ハースストーンのコミュニティは、どのように反応したのでしょうか。
まずは選手たちの意見を以下にまとめます。
※敬称略※Team SoloMid所属。「2016年公式世界大会・春季アメリカ地域予選」優勝。「2016年公式世界大会・決勝」ベスト8。「2017年グローバル・ゲーム」ベスト16(カナダ代表)。
- まず、低コスト帯のカードの弱体化について念頭に置くべきことは、それが序盤でプレイされるマナ・カーブを満たすカードである場合は、総じてトップ・シーンから退場してしまうことだ(精霊の爪やレプラノームなど)。
逆に、低コストだけれど特定のタイミングでしかプレイされない止めの一撃などは、弱体化されても使用され続ける。 - 烈火の戦斧は序盤のカーブを満たす最たるカードであり、弱体化の衝撃度は凄まじい。
海賊ウォリアーは、これを3マナでプレイするために、ブラッドセイルの狂信者、泡を吹く狂戦士、南海の船長のプレイを諦めなければならない。
全てのウォリアーのデッキに組み入れられる、強すぎるカードであったことは認めるが、古くからハースストーンをプレイしてきた身としては、ウォリアーの象徴の弱体化は寂しいものだ。 - 偽造コインと同等になる練気は、ドルイドのデッキでは使われなくなるだろう。
アグロ・ドルイドが練気をからめて第1ターンで決着をつけるような、イライラする事態がなくなることは歓迎するけれども。 - 大問題となっている翡翠ドルイドは、拡がりゆく虫害のコストが1つ増加されても、あまり影響を受けないと思う。
翡翠ドルイドは、必ずしも第5ターンばかりにこれをプレイする訳ではないし、相変わらず2枚組み入れられるのではないか。
むしろ、ミッドレンジ型のトークン・ドルイドが、練気の弱体化とともに大きな影響を受けるのだと思う。 - 呪術は、最近ではあまり使われないけれど、十分に強すぎた除去呪文であったことは確かだ。
おそらくブリザードは、呪術を動物変身と同等にしたかったのだろう。
止めの一撃が弱体化されても使われ続けているように、将来的にはミッドレンジ以上のシャーマンは相変わらず使うのだと思う。 - 海賊ウォリアーとドルイドが弱くなると、猛威を振るっているマーロック・パラディンの歯止めが効かなくなるから、マーロックの戦隊長にも手をかけたのだろう。
興味深い点は、体力の強化だけを除いたことで、「ワイルド」環境におけるAnyfinパラディンは存続することになるし、いい調整だと思う。
平等でマーロックたちの体力が1にならない現象がなくなることもスッキリする。
※Cloud9所属。「CN vs EU Season 2」優勝他、受賞歴多数。「2014年公式世界大会・決勝」ベスト8。「2017年公式世界大会・春季選手権」準優勝。「2017年グローバル・ゲーム」準優勝(ウクライナ代表)。ヨーロッパ地域・シーズン累計ランク1位。
- 練気は偽造コインと同じ内容になるけれど、ローグにはコンボ能力との作用があるから、それと同等であるとは言えない。
練気の弱体化によって、ミッドレンジ以上のドルイドは、アグロ・デッキへの対抗手段が狭まることになる。 - 3マナになった烈火の戦斧を、代用品がなければ海賊ウォリアーは使わざるを得ないだろうけれど、マリガンでキープするべきかは怪しいし、「烈火の戦斧 → ブラッドセイルの狂信者」の強力な連携もなくなってしまう。
展開は遅れるけれど、2マナの魂の鍛冶場を運用して武器を引きまくる手も。
挑発ウォリアーは全く使わなくなる武器になるだろうね。 - 呪術については、いま使われていないカードだし、現時点における修正の重要性も不明。
- マーロックの戦隊長が体力を上昇させなくなっても、マーロック・パラディンの構成は変わらないだろうし、他の弱体化に伴って同デッキはむしろ勝率を上げると思う。
- 拡がりゆく虫害は、公式サイトで高い効能を誇っていると説明されていたが、自分の経験上からはそうは思えず、挑発ドルイドやテンポ・ドルイドにおいて優れているだけに過ぎない。
※G2 Esports所属。「Esport Superstars」優勝他、受賞歴多数。「2015年公式世界大会・決勝」ベスト4。「2016年公式世界大会・決勝」ベスト16。「2017年グローバル・ゲーム」ベスト8(オランダ代表)。ヨーロッパ地域・シーズン累計ランク17位。
- そもそも練気は「ぶっ壊れている」カードであったから、その変更は素直に嬉しい。
早期の究極の侵蝕や、第1ターンでの獰猛なヒナのプレイといったイライラから解放される。 - 烈火の戦斧の変更も歓迎だ。
大体からコストが3マナであるべき武器だったけれど、実際に3マナとなった後でも積極的に使われるかは怪しいけれどね。 - 練気も烈火の戦斧も、これまでドルイドとウォリアーの全てのデッキに入っていただけに、その事態の解消には喜んでいる。
ドルイドとウォリアーはいずれも、デッキの構成に大きな影響を受けることは間違いない。 - 呪術がなぜ今のタイミングで弱体化されるのかはわからないけれど、これまで呪術が大きなテンポ・アドバンテージを与えてきたことは確かだ。
動物変身と同等になる訳だが、除去を必要とするコントロール系のシャーマン・デッキにおいては、コストが1増えても相変わらず使われると思う。
安易に「栄誉の殿堂入り」されなくてよかったと思うカードの一つ。 - 体力を1増やすというメカニズムが少々わかりづらさをもたらしていた、マーロックの戦隊長の弱体化は、いい内容だと思う。
それでも、いまのマーロック・パラディンにはインパクトがないと思うけれどね。 - 拡がりゆく虫害はめちゃくちゃ強いカードなので、弱体化は必須だったし、結果として完全に使われないほどの弱体化ではなかったし、これもいい内容の変更だったと思う。
- 「究極の侵蝕の弱体化は見送る」という公式の見解だけには反対の意を表する。
※G2 Esports所属。「DreamHack Summer」優勝他、受賞歴多数。「2017年公式世界大会・春季選手権」ベスト8。「2017年グローバル・ゲーム」ルーマニア代表。
- 「スタンダード」での練気のプレイを抑止したいなら、なぜこれを「ワイルド」に落とさない?
このような大胆な修正や改革については推奨している立場だけれども。 - 海賊ウォリアーだけを弱体化させたいならば、烈火の戦斧をいじる他にも手段があっただろうが、烈火の戦斧が問題あるカードであったことは賛同する。
他のウォリアーは可哀想だけれども。 - マーロックの戦隊長の弱体化は、マーロック・デッキを死滅させることがない、ちょうど良い調整だ。
ちなみにマーロック・パラディンは、海賊ウォリアーが廃れる分だけ、むしろ強くなると思う。 - 拡がりゆく虫害が6マナになっても、これは相変わらず使われることもあるだろうし、その弱体化によってドルイドの全体的な強さが急落するとは思えない。
- 今のシャーマン・デッキで多用されていない呪術の修正は謎。
将来を見越した修正というが、デジタル・ゲームはいつでも修正可能なのだから、今のメタで問題あるカードだけを修正するべきだ。 - 究極の侵蝕と、台頭してきたプリーストこそ弱体化されるべきだ。
- デッキ・スロットの増設時もそうだが、初心者に対する配慮が強すぎるあまりに、各種の変更に対する説明書きが侮辱的になりがちではないだろうか。
「気付かれやすいからマナコストを変更した」とか言うより、単に「長期にわたって支配的なカードだったから」などと、問題を呼び起こさない言い方で無難に説明すればいいのに。
※コントロール・ウォリアーのスペシャリストで、ウォリアー・クラスで2万勝達成。ラダー月間ランクでトップ10入り多数。
- あと8か月で「スタンダード」から消える海賊ウォリアーの烈火の戦斧を弱体化した訳だが、そのために他のタイプのウォリアーは永遠に全滅する。
弱体化の理由も馬鹿にしている。
※闘技場のレビュアーの第一人者。現在は闘技場ランク・サイトの「Lightforge」の執筆メンバー。
- 烈火の戦斧も呪術も、Lightforgeでスコア200以上を叩き出す強力過ぎるカードであり、それらの弱体化は歓迎するところ。
ただ、それらを扱うウォリアーとシャーマンが、現状の闘技場におけるワースト2のクラスであるのは不幸なことだ。 - 闘技場における練気は、バランス・ブレイカーでもなく、ドルイドにとって程よい効果の呪文だったので、それが失われることは少々残念。
※Team SoloMid所属。主に闘技場の配信で人気を博す。「2013 Blizzard Stream Awards」における「Favourite Hearthstone Stream」部門と「Most Engaged Viewers」部門でそれぞれ大賞を受賞。アメリカ地域・闘技場累計ランク40位。
- 練気の変更は全てのドルイドに影響を与えるし、練気は対戦環境から取り除かれていくだろうね。
それより何より、ゲーム上最高の武器である烈火の戦斧が、かつての王の護衛よりも劣る最低の武器になることが大きな衝撃だ。 - 呪術については――
いまのシャーマンが三流クラスである上に、呪術を使っていないのに、ねえ…(笑)
※ハースストーン初年度から日本を代表する選手。「2016年公式世界大会・アジア地域ラストコール」準優勝。2016年アジアHCTポイント総合3位。アジア地域・シーズン累計ランク26位。アメリカ地域・シーズン累計ランク30位。「2017年グローバル・ゲーム」日本代表。
- ドルイドは結構弱くなるけれども、修正後も相変わらず環境のトップクラスであり続けると思う。
- 代わりにTier 1になるクラスは何かと言われると、真っ先に思いつくのはプリーストだ。
アグロとドルイドが弱くなる一方で、プリーストは一切の弱体化を受けない。
自分は影刈アンドゥインもついでに弱体化されると思っていた。
※日本人選手。「2016年公式世界大会・春季日本地区予選」ベスト16。
- 本当は練気を弱体化したくなかったのだろうけれど、アグロ・ドルイドを抑制するためには仕方がなかったのかも知れない。
ただ、効果はそのままで、何らかのデメリットをプラスするような調整にしてほしかった感じがする。
得たマナはミニオンにしか使えないとか、1~2ターン目では使えないとかでも、だいぶ弱体化になるはず。 - 呪術が弱体化されたら、退化を代用としよう。
- クラス固有の強いカードは、各クラスの個性であるから、それらには手をかけないのではなかったのか。
※ハースストーン初年度から日本を代表する選手。DetonatioN Gaming所属。「JCG Hearthstone Pro League S1/S2」連覇他、国内大会の受賞歴多数。
- 烈火の戦斧の弱体化自体はいいと思うけれど、武器クラスでないハンターのイーグルホーン・ボウの劣化版になるなど、他の武器と比較して見劣りするようになったことについては、やや引っかかる感じを受ける。
これは「雑な弱体化」とも評されることがあるが、低コストのカードほど微調整が難しいことは考慮すべきだ。 - 呪術の弱体化は、いま特別に必要ではないだろうが、基本的には強いカードなので、将来を見越すならば納得だ。
シャーマンが強くなってからの弱体化だと、プレイヤーの反発を買う恐れがあるので、この時点で行ってしまおうということなのだろう。 - マーロックの戦隊長は、そもそも敵側を強化しなくなった時点でデメリットがなくなっていて、体力上昇効果を削除するぐらいの修正は妥当。
場にいるだけで体力を増加させるような「オーラ・バフ」は、初心者にとってもわかりにくい要素なので、南海の船長にも同様の修正を施せばいいのに。 - 練気の弱体化は、人々が想像しているより、はるかに大きな打撃をドルイドへ与えることになる。
とりわけアグロ・ドルイドへの影響は凄まじく、第1ターンから獰猛なヒナやビタータイド・ヒドラを召喚することが、ほぼ不可能になる。
翡翠ドルイドに一番響くことは、練気と滋養の併用で展開をかっ飛ばすことができなくなる点。 - 拡がりゆく虫害はもっと弱体化(7マナにするなど)させてもよい感じを受けたが、今回はコントロール・ドルイドだけでなく、それと対峙する各種アグロ・デッキも同時に弱くなるため、そのことを含めて考えると妥当な変更内容ではないか。