開発陣の説明
サム・ブレイスウェイト
(Sam Braithwaite)
(Sam Braithwaite)
- これまでの大会はBest of 5(3試合先取制)だったので、1つの対戦が3時間に及ぶこともあり、観客は長時間観戦し続けることを強いられてきた。
このたびは対戦フォーマットをスペシャリスト形式に変更しただけでなく、Best of 3(2試合先取制)を採用したので、対戦のペースがどれほど短縮されることになるのかをとても楽しみにしている。 - 大会を少しばかり簡素化させることこそが、スペシャリスト形式がもたらす利点なのだと思う。
いつものラダーに誰もがいるような状況が、そこで作り上げられることになる。
バン(デッキの使用禁止指定)もないし、4つの異なるクラスのデッキを用意する必要もない。 - 特定のデッキやクラスとの対戦を見込んでいるプレイヤーが、そのデッキの勝算を潰すための特化した調整を施そうとして、数枚のカードを入れ替えて臨む――このようなラダーの経験が、大会にそのまま反映されることになるのだ。
グランドマスターズの大会の配信を介して、一般プレイヤーのスキルをより向上させて、ラダーの対戦環境をより向上させたいと私たちは望んでいる。
サム・ブレイスウェイト
(Sam Braithwaite)
(Sam Braithwaite)
※4月26日
- 公式大会の参加の高いハードルを排除することが、コンクエスト形式の撤廃の理由だ。
これまではハースストーンの競技シーンへの参戦が非常に難しく、多くのコレクションの所有が必要となるなどの障害が多数存在していた。
今後も競技シーンで繁栄し続けるためには、その参加者を増やすことが必要不可欠である。 - 公式大会の視聴そのものが、通常のラダーの実力を向上させる参考メディアとなるように仕立てたかった。
85%以上のハースストーンのプレイヤーたちが、自分の実力を向上させるためにe-Sportsの動画コンテンツを視聴していることが判明している。
コンクエスト形式で使用されるデッキ群は、ラダーで用いるデッキとはあまりにもかけ離れていて、さらには参考されるべき最強のデッキがバン(使用禁止)に指定されてしまう。 - 参加のしやすさと奥深さを両立させて、優れたデッキ構築能力を披露する機会を大幅に増やすことが、新しい公式世界大会の様式の目標であった。
コンクエスト形式の対戦フォーマットのままでは、とてもそれらを確立できるとは思えなかった。 - これまでの公式世界大会における出場者たちのデッキについては、彼らが持ち込んだデッキのラインアップが話題となり、実際の対戦ではお互いのラインアップの比較が論点となっていた。
その話題を「1つの試合の後に、対戦相手よりも優位に立つために、どのような戦術的な判断を下したのか」というようなテーマに変えたかった。 - そして、出場選手と会話し、その声を配信に乗せるシステムを構築したい。
第1試合から第2試合に移行したときに、「なぜデッキをスイッチしたのか?」「交換で入る5枚のキー・カードの意義は?」などと質問して、応答内容を視聴者たちに聞かせたい。
そのインタビュー内容は、視聴者たちのプレイの実力を高めることになるだろう。 - 公式大会の視聴が教育的な経験となり、ラダーにおける経験を向上させて、もしかするとマスターズ予選の出場を促すことになるかも知れない――
こうしたサイクルこそが、私たちがプレイヤーに提供したいハースストーンのe-Sportsのコンテンツである。
- (スペシャリスト形式は)採用し始めた直後であり、評価を下すには早急すぎる状況にある。
人々はまだ、その特徴を探っている最中だろう。
ラスベガスのマスターズツアーが真のテスト環境になると思う。 - 私たちe-Sports担当チームは、10年以上のカードゲームのプレイ歴を有しており、350以上もの参加者が集う大会で対戦フォーマットがどのように機能するのかについて、非常に深く理解している。
スペシャリスト形式のメタは、最高のデッキが台頭し、そのデッキを打ち破るデッキが現れ、さらにそのデッキを打ち破るデッキが現れ、中にはどのデッキに対しても可もなく不可もないデッキが登場する――そのような環境になるだろう。 - そのようなメタが、マスターズツアーのイベントでも実際に発生することになると思う。
3つから4つのクラスが環境を支配するだろうが、その環境の中から分け入ってくる、その名の通りの「スペシャリスト」を私たちは目の当たりにするだろう。 - マスターズツアーに参戦する人々は、これまでの公式大会の出場者ほどには深い洞察を持ち合わせていないことを、視聴する際にはどうか理解していただきたい。
彼らは3種のデッキを極めた訳ではなく、彼ら自身がメインに据えているデッキだけを扱って予選突破を果たしたのだ。
そして、特定のクラスの「スペシャリスト」として勝利することを目指している。 - 交換可能なサイドボード・カードの枚数の調整も、スペシャリスト形式の改良の手段として検討される可能性がある。
- とにかくフィードバックが必要だ。
グランドマスターズの出場選手たちに対して、どのような準備をしてきたのかを尋ねるつもりである。
彼らと会話を重ね、皆と共に着席して一緒にマスターズツアーを観戦してみて、スペシャリスト形式の何が良くて何が悪いのかをはっきりとさせたい。
サム・ブレイスウェイト
(Sam Braithwaite)
(Sam Braithwaite)
※4月28日
- スペシャリスト形式は、3つのクラスのデッキを用意することを求めない。
ウォリアーで20,000勝を果たした「ウォリアーのスペシャリスト」Fibonacci選手に代表されるような、各クラスのスペシャリストが、お気に入りのクラスのデッキだけで参加できるようになる対戦フォーマットだ。
その特徴によって「スペシャリスト」と名付けられた。 - スペシャリスト形式は「スキル軽視」という批判を受けている。
確かに1つのクラスと1つのデッキだけを持ち込む制度は「取っつきやすさ」に大きく偏っているかも知れない。
だが、私たちはそこに5枚のサイドボード・カードを付け加えて、各プレイヤーにデッキ・ビルダーとしての能力を示せる機会を与えている。 - 「取っつきやすさ」と「スキル重視」の中間にあたる、程よい地点に位置する対戦フォーマットだ。
これまでにハースストーンというゲームが一度も体験したことがない、とても素晴らしい大会用のルールになると思っている。 - 柔軟な対応ももちろん可能だ!
私たちには対戦フォーマットのアイデアが複数あり、それらをテストすることも望んでいる。
しかし、これ(スペシャリスト形式)がうまくいくのであれば素晴らしいことだ。
うまくいくと思っているし、私たちなりの制定した理由もあるのだが、他のフォーマットを試す準備もできている。 - 誤解してほしくないことは、ローグのミラー・マッチだらけとなることや、ウォリアー同士の対戦が2時間に及ぶ問題は、必ずしもスペシャリスト形式の固有の問題ではないということだ。
それらの問題を解決する方法は他にあると思うのだが、スペシャリスト形式の対戦フォーマットの内容自体には自信を持っている。 - ラスベガスにおけるマスターズ・ツアーが、スペシャリスト形式の真のテストになることについて非常に興奮している。
350もの参加者たちが、一体どのようなデッキでそれぞれ挑んでくるのか、想像もつかないだろう?
大変面白いイベントとなるだろうし、グランドマスターズについても注目してほしい。 - 例えばFirebat選手とZalae選手が全く同じデッキで対戦すると仮定して――
その第2戦でサイドボード・デッキに交換されること自体がもうすでにクールなことなのだが、さらにその勝者に対してアナウンサーはデッキの調整を施した戦術的な意図を尋ねることができる。
このような現象は、Firebat選手が備えているデッキ構築能力や柔軟性について、本人自らが多くの視聴者に対して以下のようにアピールできる機会を生じさせる。
「ラダーで対戦し続けている間に特定の問題に遭遇した――そこで、何のカードを交換すれば改良できるのだろうか?と考えたんだ」 - この形式の制定は一つの実験であり、その目的をいまお伝えすることもできるが――グランドマスターズの閉幕後にプロ選手やコミュニティから「これは面白くなく、とてもうまくいくとは思えない」と断定されてしまうかも知れない。
とにかくグランドマスターズのシーズン1と、ラスベガスのマスターズツアーが終わるまで待ってほしい。
その時点で、スペシャリスト形式の成功度について、真の評価を話し合おう。
最終的に下される評価について、私たちは驚くことになるだろうと思っている。
ディーン・アヤラ
(Dean Ayala)
(Dean Ayala)
※4月9日
- (※スペシャリスト形式のルール新設がデザインに影響を及ぼしたか、という問いに対して) 特別な関わりはない――間接的には。
- e-Sportsの観戦を楽しくさせる要素とは、ゲームを熟知してスキルを披露できるプレイヤーたちがいて、対戦の質を徐々に向上させるためのカードやカード・パッケージを含める十分な余地が彼らに用意されている対戦環境である。
私たちは、自分たちのゲームをそのようにデザインしたい――物事をシンプルに保ちたいものの、深みも多分に含ませておきたい。
そうすることでプレイヤーたちは、他のデッキを打倒するためのアドバンテージを与える新カードが何であるのかを探し当て、そのカスタマイズ能力を大いに誇示することができるようになる。 - もしデスナイト・レクサーのような、犠牲をあまり伴わないカードがあったならば…――スペシャリスト形式におけるデッキの構築の議論は、さほどエキサイティングな方向に発展しないだろう。
一方で、多様なシナリオの中で段階的に向上できる個別のオプションがたくさん存在するならば、e-Sportsのケースに限らず全プレイヤーにとってデッキの構築がエキサイティングな作業となるだろう。
ディーン・アヤラ
(Dean Ayala)
(Dean Ayala)
※4月22日
- スペシャリスト形式に関しては、e-Sports担当チームと共に、どのようなフォーマットが観戦者と出場者の両方にとってベストであるのかを議論して制定した。
バン(デッキ使用禁止指定)を廃止して、一つのクラスだけを扱う対戦フォーマットの施行には、私たちは自信を持っている。
前のメタ環境では、長期間に渡って単一のクラスが極端に支配を広げるようなことがなかった。 - 何事かが起こることは明白であるので、ネガティブな経験がもたらされないかどうかを、私たちはしっかりと注視せねばならない。
- スペシャリスト形式の制定がカードのデザインに影響を及ぼしたということはない。
カウンター・カードは、通常のプレイ環境をより良くするために提供される対抗手段であり、それに伴ってスペシャリスト形式でも有効となるような存在である。