そうではない！
強く打て、そして速く打て！

……ウシ！
かかってこい…！

――ん、新規入隊者か？

ちょうどいい。
ここ「ホール・オブ・ザ・ブレイブ」では、今まさに初級戦士どもの訓練の真っ最中だ――

ついでにお前もみっちりシゴいてやろう！

…………。

ど～したんだい、カトーカ君？ ペタペタ

そんな眉間にシワを寄せていると、せっかくのベッピンな顔が台無しだぞ～。ペタペタ

……いえ、この入隊者と顔を合わせるのは初めてではないので…。

……それとリーダー。
あなたが上官でなければ、このようなセクハラに対しては、八つ裂きで仕返しするところであります。

どうかご自重（じちょう）を…。

そうか、そうかあ。
最近は実戦に呼ばれなくなって、私らと同様に、もっぱら訓練教官を任されることに苛立っているようだな！

フハハハハ！

まあまあまあ、しばらくは辛抱のときだ。

さあ、今日は新入り君に、こんな風に手取り足取り訓練してやるのだぞ～。 ペタペタペタペタ

フハハハハハハハハ。 モミ

…………（怒）。

さて…。
ガロッシュ様の近衛兵となるならば、戦士の基本となる装甲と武器の2点をまず習熟せねばならん！

おい、牛！
防御の指南はお前に任せたぞ。

……ウシ！

ヒーローパワーやシールドブロックで得られる装甲は、ヒーローがダメージを受けた際に、体力の低下の肩代わりとなる防御値だ…！

ヒーローの体力を上昇させるようなものだが、体力がフルの状態であっても、無限に蓄積できることが特徴だ…！

うむ。

よ～し、では武器の指南はカトーカ君に頼もうか。 ペタペタペタペタペタ

………………………。

……兵法の基本は勢力争いで先手を取ることよ。

ウォリアーには、烈火の戦斧を始めとした複数回攻撃できる武器がそろっているから、ヒーロー自らが敵対勢力のミニオンを複数処理できるわ。

武器は、敵軍側のミニオンを減らし、自軍側のミニオンの残存勢力を維持する手段と銘じておきなさい。

とどめを刺せない状況で敵のヒーローを武器で叩き、武器を浪費するなど、もってのほかよ。

それと、武器は、武器で攻撃するターンに装備することね。

特に初心者同士の戦いでは、ほぼ全てのデッキに酸性沼ウーズがいるから、装備するだけだと使用回数を一度も消費しないまま武器が壊されることになるわ。

装甲を5も高める防御用のカードだ…！
相手が速攻型ならば、時として命綱になることもある…ウシ！

装甲の残量と同じ値のダメージを与えるシールドスラムを入手したら、このシールドブロックとコンボで使える…ウシ！

傷つけさえすれば、コスト2でどんなミニオンでも破壊できる強力な技であるぞ！ ペタペタペタペタ

低コストで小さいダメージを与える旋風剣などと組み合わせるのも有効だ。 スリスリスリスリ

……………………。

……武器についてはコイツも詳しいから、コイツに説明させることにするわ…。

ヤダヤダヤダ！やだ！嫌だあ！帰るう！！！

またどうせ俺はバキィ！とかドゴォ！ってボコられる役

うるさい！！！
さっさとやる！

ひいいいぃぃぃーー！

て、て、敵の低コストのミニオンを2体倒せる斧でェ…。

えーと、じょ、序盤戦で、と、特に活躍する武器…ですぅ…。

はい次！！

へ、へイいぃー！

（な、なんで、いつにも増して不機嫌なの…！？）

えーとえーと、こちらは、た、たい、体力5までの中型ミニオンを…2体倒せる斧でしてェ…。

け、計10ダメージになるから…、敵のヒーローの…とどめ用にも…なりまァす……。

（この汚ったねえ賊が間にいるもんだから、さっきからカトーカ君に密着できんな…）

その武器で敵のミニオンの頭数を減らせるのが戦士の大きな強みであるぞ。

烈火の戦斧は弱体化を受けてコストが3に増加したものの、依然として序盤戦の勢力争いでは有効な排除手段であるから、最初の手札としてコスト2のミニオンと共に1枚だけ確保しておくことだ。

しっかし、この汚ったねえ賊は一体何なんでウシ…？
さっきからオロオロと、みっともないったらありゃしない…。

う、う、う、うるしゃいぃ！

お、オメーらはあ、上官がいないトコでえ、この姐さんがどんだけ凶暴で極悪で恐怖な女なのか知らねえだろお！

ペチ

…………………………。

……？

……お前、俺を殴った……。
俺…、激怒する！

グシャアァァ！！
（結局…、こうな…る……！）

（……！
コレは使えるわね…）

……ウォリアーには、旋風剣以外にも、味方を傷つけるカードが多くあるわ。

だから、そうしたカードと、ダメージを受けることで能力を発動するミニオンを同時に起用すれば、相互作用を狙えることを銘じておきなさい。

グルバシの狂戦士、苦痛の侍祭、鎧職人、泡を吹く狂戦士などのミニオンが有名よ。

それと、ダメージを受けることで強化される、いわゆる「激怒」系のミニオンも同様よ。

例えば――
見ていなさい…。

やっと、あの汚ったねえのがいなくなって、また二人で一緒に指導できるねえ？
カトーカ君～。

…スッ――

ペチペチペチペチ

やっぱり、レイドのチームワークは部下とのスキンシップから――
………ん？
ペチ？

……お前、俺を殴った……。
俺…、激怒する！

ヒ…！
じょ、上官の私に向かって何を グシャアァァ！！

……兵法の基本は、部下の適性を把握しておくことよ。