「Grimy Goons = 汚ねぇヤクザ」
この呼称でさえも「上品」だと評される「グライミー・グーンズ」は、ガジェッツァンの裏社会にはびこる犯罪組織の一つです。
いわゆるギャングの集団であり、血気盛んな連中が無計画に犯行に及んだり、抵抗勢力を力ずくで制圧しています。
ガジェッツァンで最もタフである、武闘派組織として知られています。
「グライミー・グーンズ」の代表的な資金源は軽犯罪です。
ゆすりや脅しによって、あるいは占有地における商店から「ショバ代」「ケツ持ち代」などを巻き上げて、裏社会における影響力を誇示しながら現金を搾取しています。
非合法である賭博を開くことなども、日本の暴力団に通じるところがあります。
ときには無鉄砲に、銀行や宝石店を襲撃して強盗するなどの、重大な犯罪を巻き起こすこともあります。
中でも「グライミー・グーンズ」が得意としている犯罪が武器の密売です。
保証も合法性もない、ありとあらゆる武器を、世界中から集めては売りさばいています。
この監視が行き届かないガジェッツァンにおいて、取引が禁止されている銃火器の流通が急増した要因は、「グライミー・グーンズ」の爆発的な台頭であると目されています。
「グライミー・グーンズ」のボスは、双頭のオーガであるドン・ハン=チョーです。
双頭のオーガは、ウォーロックのグルダンによって生体改造された生物であるために、大抵は黒魔術を扱う妖術師として活動しています。
ところが、双頭となっても腕っぷししか取り柄(とりえ)がなかったハン=チョーは、底辺からのし上がるために、独自の手法で裏社会を駆け抜けてきました。
「仁義なきガジェッツァン」のコンセプト・アートを担当するJomaro Kindred氏は、ハン=チョーの類まれなる合理性がひと目でわかるように、ハン=チョーのイラストをデザインしたことを説明しました。
ネクタイを締め、ヒゲを生やして威厳をまとうハン=チョーの右半身は、裏社会におけるビジネスマンとしての一面を表しています。
裏社会の大物たちと取引したり、必要な物資や用地を表社会から調達する役割に適しています。
服がボロボロであり、体のいたる所に傷があるハン=チョーの左半身は、強権的な暴力性を表しています。
従わぬ者を恫喝したり、力ずくで物事を解決する役割に適しています。
ハン=チョーが半身ごとに異なる武器を携帯しているのも特徴的であると解説されています。
右半身ではスマートに敵の集団を処理する機関銃が扱われ、左半身では1対1でも負けない腕力を誇示するメリケンサックが扱われています。
粗暴な性格なりにハン=チョーが導き出した「二頭体制」は、普遍的な武闘派組織における独裁体制よりも優れていることが、現在の「グライミー・グーンズ」の拡大によって証明されています。
考えるよりもまず実行に移してしまうような、血気盛んな不良の連中にとっては、惹きつけられるようなカリスマ性がある存在でもあります。
「犯罪王」とまで称されるようになっても、グライム・ストリートの周辺を全て支配しても、野心家であるハン=チョーは依然として先を見据えています。
ガジェッツァンの第一銀行を買収して不正取引の実行に取り掛かり、盗品の売買をする百貨店から多額の手数料を搾取する態勢を整えました。
隠し武器庫には密輸入した大量の火器が収められていて、続々と入隊を希望する若い不良集団で構成された兵力は増加の一途をたどっています。
ハン=チョーの最終目的は、世界を牛耳る(ぎゅうじる)裏社会のギャングの首領(ドン)になることです。
彼にとっては、現状はおろか、ガジェッツァンの独占すらも、野望の前段階に過ぎないのでしょう。