IGNのインタビューの模様を以下に掲載します。
新拡張セットのリリース直後という異例の早さで昨年末のバランス調整が実施された理由は
ディーン・アヤラ
- ドルイドに関しては長期にわたって高い人気を誇っていたため、特に野生の繁茂と滋養の調整の必要性は以前から開発陣の間で認識されていた。
そして、その調整を実行できる条件が年末に整っていて、恒例どおりに「リリースから一月以上経過してから実施する」か「今すぐ実施する」かの選択に迫られると、私たちは「今すぐ実施する」方を選んだ。 - 「果たして変更を加えたらゲームは面白くなるだろうか」という問いに対して、私たちは「イエス」と答えたので、早めに調整を実施することを決断した。
実施する時期の判断基準に関しては普段とあまり変わらないし、それが適切なタイミングであったとも確信していた。 - いつも私たちは、メタに長期の活動期間を与えている。
多くのデッキが変遷するその最中には、何がどこで環境を振り回すのかを確定できないために、調整を実施する際には数か月ほどの間隔を置くことが慣例となっている。
しかし、今回のドルイドについては来月以降の挙動を明確に予測できたので、ドルイドに関する新たなアーキタイプの実験が行われていないことを確認すると、即座の調整が妥当であると判断された。
ドルイド・カードの弱体化が拡張セットに与えた影響について
ディーン・アヤラ
- このドルイドの弱体化は、次の拡張セットのバランス作業と、次の拡張セットでドルイドができることに対して、多大な影響を及ぼしていると断言する。
今週から次のセットのバランス作業を仕上げる段階に入る訳だが、そこでドルイド・クラスに関する作業といえば、弱体化後の今の対戦環境を分析することになるのは間違いない。 - カード・デザインの多くは開発初期の段階でロックされるが、例えばシャダウォックが強いときにはシャダウォックを強化するカードのリリースを差し止めるなどして、デザインを再び調整するケースは確かにある。
それは必要に応じて適宜(てきぎ)行われることなのだが、4月の新拡張セットのデザインには多くの再調整がすでに施されていて、そのほとんどがゲーム・バランスに関連する事項である。 - 新セットのカードの発行直後は、誰もが何をどうすればよいのか定かではないし、環境が一変した直後に適切なデッキを確定させることは困難だろう。
しかしながら、野生の繁茂と滋養というドルイドのコア・ピースの排除に関して言えば、プレイヤーが理解すべき事項――このクラスは「マナ加速」というたった1つの戦術に長く頼ってきたという認識――にたどり着くには、それほど時間がかからなかった。
2018年度のカードセットは意図的に全体的なパワー・レベルを落としたのか
ディーン・アヤラ
- ゲーム・バランスについては、ほとんどの人々は「カードセットの影響力」に関する話題を判断の基準としているように思える。
そして彼らは「新しい拡張セットのカードは何パーセントほど使われているのか?」などと問う。
そのような判断は、必ずしもハースストーンの変化を的確に捉える方法であるとは限らない。 - 昨年に最も影響を及ぼしたアーキタイプである「奇数&偶数デッキ」の中で、例えば「奇数パラディン」における新カードの占有率は低かったのだが、これは斬新なストラテジーを持つデッキではなかっただろうか。
これまでのパラディンの挙動よりも少し異質で、新しいストラテジーであるとは感じられなかっただろうか。
プレイヤーたちが新要素を実験し続ければ新しいアーキタイプが誕生する――私たちはただ、そのような現象を起こすために努力しているのだ。 - 確かにデスナイトたちは極めて強力であったし、「コボルト」「騎士団」「ウンゴロ」の各セットに関しても多くの新要素が大変強力だったと思う。
それらのカードセットが「スタンダード」から一斉に退場すると、全体的なパワー・レベルの急落も観測されることだろう。 - 「新しいアーキタイプを提供したい」
「新しいストラテジーを提供したい」
「プレイヤーにログインしてもらい、ゲームの変化を感じ取ってほしい」
私たちの目標は常に変わらない。 - 少数の新カードだけで新しいアーキタイプが誕生したとしても、それはそれで構わないし、もし全てのデッキに新カードが15種類ほども採用されるならば、それは大変素晴らしいことだ。
いずれにせよ究極の目標は、新拡張セットのリリース時期においてプレイヤーにゲームの変化を感じてもらい、エキサイティングな感情をもってログインしてもらうこと。
私たちはそれを達成することができる。
バランス調整後の環境の大ざっぱな満足度は
ディーン・アヤラ
- 大変満足だと言える。
ハンターの人気度とパワー・レベルはとても高いので、これは注意して監視する対象となっている。 - 私たちは毎日メタ・レポートを分析していて、メタのどこに注視すべき事象やトレンドがあるのだろうかと観察している。
それだけでなく、1~2か月の間に起こり得る事象や、次の拡張セットに通じる事象に関しても注目している。 - その結果として、環境がポジティブな方向に向かうと感じられた場合は、私たちは何も手を加えようとしない。
ただし、影響力が高い事象に対して私たちに何かできることがあると感じられた場合は、私たちはそれを実行するだろう。
4つの主流アーキタイプを持つハンター・クラスについて
ディーン・アヤラ
- 今のハンターの各アーキタイプはそれぞれユニークであり、大変エキサイティングなプレイ体験をもたらしている。
しかし、楽しくプレイできている状況であっても、もし対戦相手が単一のクラスばかりであったら――たとえ同じクラスの異なるアーキタイプとの連戦であったとしても――「他のクラスとも対戦できれば」という感情が芽生え始めることになる。 - 実際にハンターのデッキ群はプレイしていて大変面白いのだが、「最高人気」や「最強」の要素は常に私たちの監視対象となる。
そして、3か月後も相変わらず楽しさを提供し続ける存在であるのか、調整が施されるべきであるのかが見定められることになる。
コミュニティの間で常にやり玉に挙がる「ワイルド」のビッグ・プリーストに関する感想は
ディーン・アヤラ
- 「ワイルド」の環境は今面白く、その中でビッグ・プリーストの使用率は確かに高いが、実際には高すぎるというほどではない。
そして、その使用率の高さには見合わない程度に勝率が低いことから、プレイヤーたちがこのデッキに「勝利」よりも「楽しさ」を求めているのだと判断できる。 - 大型ミニオンの群衆を引き出し、それらを何度も復活させるという戦術ベースとコンセプト自体には魅力がある。
ただ、その戦術が第4ターンの時点から発生してしまうことが、対戦相手に「対抗するために一体自分には何ができたのだろう」と感じさせるのだろう。 - 実のところ、「ワイルド」環境におけるバーンズに関してはたくさんの議論が交わされてきて、最終的な結論までには至っていない。
今なお毎週のように議題として挙がるが、ただちに手を加えるべき事項ではないと判断される。
※「バーンズ抜きでもビッグ・プリーストは存続できるだろうから、バーンズの弱体化は全員を喜ばせる結果になるのではないか」という問いに対して
このインタビューの中で、とりわけ要注目だと思われるハイライトは以下の3点です。
- 次の拡張セットはゲーム・バランスに関連する再調整が普段よりも多く実施されている
- マンモス年の3セットのパワー・レベルが極めて高かったことに関して言及された
- 人気と勝率が突出するハンターが監視対象となるも、年末バランス調整後の現環境については大変満足されている
図らずも、主題ではない「ワイルドのビッグ・プリースト」にもコミュニティが食いついています。
「勝つためではなく楽しまれているために使用率が高いという指摘には同意」
「プレイする側が楽しくても相手をする側は楽しくない」
「第4ターンに決まりきったことをするだけの頭を使わない戦術の開始方法に問題あり」
などと言及されています。
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