PvEでは準備と予測がHealerの仕事の8割方をカバーする。
予測できないランダム対象の攻撃や味方のミスなどはリアクションを要するが、予測できる大部分のイベントは対処するための行為を事前に把握できる。
事前に対処法を的確に組み立てておいて、そのアウトプットを確実に完遂するだけでも、Pug級のカジュアルHealerとは一線を画すほどの戦力になれる。
事前に把握と準備ができるイベントに対して、それが起こってから初めて事態を認識するような、完全事後的な対処療法は二流以下のHeal Workである。
エンカウンターの戦闘内容を予習する方法は他の役職のそれと変わりはない。
ガイドや配信動画やDiscordなどを参考にして、全ての敵の能力を理解し、全てのイベントの仕組みと様相を把握する。
DPSなどと異なる点は、敵の特定の攻撃やイベントごとに発動すべきスペルの種類が都度に定められるケースが多いことだ。
ダメージの規模に応じた回復スペルにCooldown、除去されるべきDebuffのDispelなど、大抵のイベントに対しては対処法を事前に確定できる。
もう一つ異なる点は、その対処の瞬時の遅れがグループ全体に致命的な結果をもたらしやすいことだ。
DPSによる攻撃の遅れはその者のダメージのロスにとどまるが、Healerによるケアの遅れは時として全滅にまで発展する。
だから準備も予測もないリアクション100%のHeal Workなど成り立たない。
大半のHeal Workは、DPSのように一つのスペル・ローテーションを延々と繰り返すのではなく、エンカウンターごとにイベント単位で発動スペルを定めて組み立てていく。
タイマーを常に注視し、混乱することなく、定められた対処を順番通りに確実に迅速に施行できるよう頭に叩き込んでおく。
実戦で得た感覚をもとにした、戦闘後の復習と調整も欠かせない。
特にダメージ回復のHealは、グループごとに被ダメージ量やミスの確率も異なるので、Healの強度やリソースの分配については実際に体感してみなければ定めきれない。
できればトライごとに録画してプレイの記録を残し、何度も見返しながらそのグループにとってベストなHeal Workを追求する。
体力回復についても、場面ごとに過足や不足がなかったかどうかを逐一点検する。
地道な予習と準備の積み重ねの有無が、二流のHealerと一流のHealerを隔てる。
積み重ねた準備から得られる予測が、実戦において余裕をもたらし、Healerとしての活躍や自信につながると銘じておく。
軽視されがちなHeal Workの準備事項はポジショニングだ。
最初に位置するポジションを適当に定めてはいけない。
自分のHealの範囲内に、自分がHealを担当する味方全員を収めるように位置するのは言うまでもない鉄則だ。
その上で、エンカウンターの展開を視野に入れて最適なポジションを見定める。
可能な限り移動時間を短縮したいからだ。
Heal WorkのほとんどがInstant CastであるDruidクラスを除き、Healは立ち止まるCastを要することが大半である。
トータルの移動時間が長くなるほど、Healのアウトプットの最大量は減少する。
だから、次に移動する場所から近いところを最初から陣取ってしまうのだ。
Instant Castのスペルは移動しながらでも発動できる。
移動時にはInstant CastによるHealやBuffの更新を行う、あるいは逆にInsant Castと同時に少しでもベストなポジションに移動する、などの習慣を身につけておく。
事前に予測できる自分や味方の移動シーンも考慮しておく。
ダメージ・ゾーンを戦場の端まで置きに行ったり、敵からの視線を切りに行ったりするなどの場面だ。
そうした強制移動に対して、事後的に大きく移動しながら着いて行くのは、準備不足とみなされるべきHeal Workのロスにつながる。
事前に予測できる移動があるならば、その行き先に向かって最短距離で移動できるようなポジションをとっておくこともHealerの重要な準備事項である。
Healの対象者の位置と、イベントが発生する位置を考え合わせ、どこにいれば自分の移動距離が短くなるのかを追求する。
その際に散開が必要であるなら、HealerのポジショニングはDPSよりも優先されるので、ベストなHeal Workの位置取りは強く主張して確保しよう。
Healerガイド一覧
「World of Warcraft」Healer列伝 #4
(Talanji)
ザンダラリ帝国の国王ラスタカンの娘であるタランジの生涯は、思想の対立が激しいトロル種族の内紛に巻き込まれ続ける過酷に満ちている。
帝国の参謀長の裏切りによって帝国の精霊長を殺され、旧神配下に堕ちた同胞の襲撃を契機に国王が殺され、若くして女王に就いた彼女自身もまた反対派の反乱に直面する。
タランジは精霊と交信する能力に長けたプリーストであり、クラッグヮやハイリークなどの動物の精霊の神である「ロア」の助力を得ることができる。
活動を共にする新しい精霊長の「死のロア」ブワンサムディーが、Hordeとフォーセイクンの総大将シルヴァナスと死霊を奪い合うようになると、タランジは所属先のHorde内でも暗殺の対象にされてしまう。