直近のメジャーパッチでは、過去最多となる10枚のカードが修正されました。
その直後にHearthstoneのリードデザイナーのEric Dodds氏が、カードの修正がどのような方針のもとで行われているのかを説明しています。
(※以下引用)
皆さま、こんにちは!
Hearthstoneのカード修正は軽々しく行われているのではないことをご理解ください。
バランスを正すために、私たちは膨大な量のデータを集めて考慮しています。
その中で、どのような方針と理由のもとでカードが修正されるのかを説明します。
そして、正式リリースに至るまで、カードの進化はその方針に基づく一貫としたものであることを知っていただきたいのです。
また、この場を借りて、チームの新しいメンバーであるMike Donaisを紹介します。
Mikeは10年以上カードゲームのデザインを担当した経歴を持ち、その豊富な知識でもって、すでに多くのHearthstoneのカード修正作業に携わってきました。
その彼が、これから述べるカードの修正方針の内容が確実なものであることを保証しています。
では、Hearthstoneのカードがどのようなアプローチから調整されていくのかを説明していきます。
カードは様々な理由から修正の対象となります。
Hearthstoneでは、ターンごとに与えられるパズルを解く作業が楽しさの大部分を占めています。
双方のMinionと手札のカードは、それぞれパズルのピースに例えることができます。
このパズルのピースを排除する要素は、ゲームプレイの楽しさを損なわせます。
Freezeスペル(相手のMinionを次のターンまで行動不能にさせる)は、この理由から修正されました。
Freezeスペルを多用し、Minionを出すことなく相手を倒すプレイスタイルは、相手からすると面白くありません。
なぜなら、解決すべきMinionが一向に場へ出てこないからです。
場にMinionを一切出さない状態から、相手Heroを即死させてしまうカードの組み合わせがありました。
これもゲームの相互作用を排除する要素です。
私たちがChargeとWarsong Commanderを修正した理由です。
カードの効果は、時として対戦相手にストレスを与え、プレイする楽しさを奪ってしまうことがあります。
私たちが、以前Mind ControlのManaコストを増やしたのはこの理由からです。
召喚した高コストのMinionを即座に奪われないよう修正しました。
Pyroblastは相手にストレスを与えるだけでなく、前述したゲームの相互作用を失わせる存在でした。
相手にストレスを与える要素は、同時にゲームの相互作用を失わせる要素にもなる場合があります。
Frostwolf Warlordは、だいぶ前にこの理由から修正されました。
このMinionのAttackとHealthは、場に出ている自分のMinionの数によって変わるものでした。
Frostwolf Warlordがダメージを受けるとなると、そのHealth値の変化についての解釈は理解しづらいものになっていました。
私たちは、それをBattlecryで発動する効果に修正し、以降は変化しない効果にすることでわかりやすくしました。
誰もが同じカードを選ぶことになると、カードの多様性は失われてしまいます。
私たちは、デッキ構築時にカードの選択肢を限定させたくはありません。
対戦相手が用いるカードやHeroがバラエティに富むものであれば、ゲームはより興味深く、ダイナミックな内容になるでしょう。
Shattered Sun Clericの修正は、まさにこの理由からです。
ほとんどのデッキがこのカードを使用していたため、多様性が失われ、対戦時に相手方から出てくることが予測されていました。
Sylvanas、Novice Engineer、そしてDefender of Argusも同じ理由から修正されました。
プレイヤーたちは、これらと同じコストの他のMinionを選択しづらい状況にあったからです。
この理由のために、私たちはこれまでカードの修正を数多くして「きません」でした。
プレイヤーは常に多種多様なデッキを楽しみながら創造し、対戦をエンジョイできるというのが私たちのHearthstoneにおける基本理念です。
カードを次々に下方修正すると、全クラスが平均化してしまいます。
多様性のあるデッキの一つが、相手の戦術のカウンターになってほしいと思っています。
将来のセットの中には、数々の戦略に対して効果的で、これまで進化してきたメタ・ゲームをさらに多様化させるカードがあるかもしれません。
この2~3ヶ月内に上位陣の間で流行したクラスとデッキは相当数にのぼり、それらが目まぐるしく変遷された様子を私たちは見てきました。
今後新しいカードを作るたびにプレイヤーたちが新しく創造するであろうデッキ、プレイスタイル、カウンター、戦術理論の数々を、とても楽しみにしています。
私たちは、この理由による修正の優先度を極端に下げています。
いざオープン・ベータテストに入ったら、緊急の場合を除き、カードの修正はほぼ取り止める予定です。
少しでも速くバランスのとれた内容に仕上げたいため、修正するのは修正リスクの低い事項に限られます。
カードの大規模な変更は、ベータテストに費やす時間を延長させる可能性があります。
わずかな修正でさえ、カードを無名な状態から大衆的なものへ変貌させる場合があります。
このように、バランスを図るという行為は非常に繊細な作業なのです。
どのような決定でもってカードが修正されるのかをお伝えした今、皆さまに知っていただきたいことがあります。
それは、オープン・ベータテスト(すぐにやって来ます!)に入ったら、私たちはカードの修正をほとんど行わない予定であることです。
プレイヤーの皆さまには、新たなデッキを作り上げる「創造的な解決」によって、各カードへの対策をしていただきたいと願っております。
今後は対策の難しいカードが立ちはだかっても、私たちによる弱体化修正を期待しないでください。
皆さまから所有カードとプレイ環境に対する信頼を得るのは、私たちにとって重要な課題です。
頻繁なカードの修正は、その信頼を損なう可能性があるのです。
仮に強くて優秀なデッキが発見されたとしたら、私たちはその構成カードを直接弱体化させるのではなく、そのデッキに対してカウンターとなり得るような拡張セットをお届けすることで対応していきたいと思っています。
直近のカード修正の数々は、正式リリース直前の最終段階にある修正です。
ベータテストにおいて、皆さまが作り上げる予測不能の、創造的な、そして冷酷無比なデッキの数々は、Hearthstoneを素晴らしいものへと形づくる大きな手助けになっています。
Hearthstoneチームを代表してお礼を申し上げます!
主張を一言で表すと、「もうそんなにカードの修正はしません」ということでしょうか。
だから、さらなる弱体化や強化の修正をすべきだという多くの意見に対して、このような明確な理由でもって返答する必要があったのだと思います。
基本無料のゲームひとつを制作するのにも、このようなプレイヤーとの対話を重ねながら慎重に作り上げる姿勢に感嘆します。
Hearthstone 公式サイト – Hearthstone’s Card Balance Philosophy