事前に知っておくとストーリーが理解しやすくなる、「ウォークラフト」特有の単語を解説します。
解説が不要な方や、一部でも事前に内容を知りたくない方は、閲覧しないようご注意ください。
(Fel)
Warcraftの世界には様々な種類の魔法が存在します。
プリーストが扱う神聖魔法、シャーマンが扱う精霊魔法、ドルイドが扱う自然界の魔法などです。
フェルも魔法の一種です。
その中でも力量が格段に高い、恐るべき魔法です。
フェルを強力たらしめるのは、力の源となるエネルギーが、生物の生命力そのものであることです。
神聖魔法は信仰している神々から、精霊魔法は精霊から、それぞれ力を借りることで発動されます。
それらに対してフェル魔法は、生物の生命力を犠牲にして、吸収したそれを直接魔力へ変換することで発動されます。
結果として高い純度のエネルギーが生成されることになり、その高純度のエネルギーが効率よい破壊をもたらすのです。
また、他の魔法と異なり、生物が死滅するまで際限なく魔力の源を吸収できるため、一度に莫大なエネルギーを発生させることもできます。
フェルは、全種族の最大の敵である、魔界の軍団「バーニング・リージョン」が扱う悪魔の魔法です。
そのために、悪魔以外の種族がフェルを用いると、その程度によって容姿や体格が悪魔のように変貌していきます。
フェルの使用者と対象は、悪魔の血液の色である黄緑色の発光体で包まれます。映画では、オークのグルダンがフェル魔法を扱います。
力の渇望と野心を抱くグルダンは、魔界の軍団の手下となる代わりに、強大なフェル魔法を授かっていたのです。
誰も逆らえないほどの力を備えたグルダンは、オークの実質的な統率者となり、他の種族の支配に走りました。
フェルの乱用で自然が荒廃し、悪魔の指示も受理したことから、グルダンは他の惑星への侵略をオーク全軍に呼びかけます。
自分たちが住む惑星と、全く接点がなかった人間たちが住む惑星とを、フェル魔法によって生成したテレポート用のポータルで結び、人間界への侵攻を開始します。
グルダンは、自分が従えるオークにもフェルを授けます。
邪悪で強力なフェルに染まった、未知なる破滅的なオーク軍の猛威に、人間界はさらされることになるのです。
(Azeroth / Dark Portal)
アゼロスは惑星の名前です。
私たち人間が住む星が地球であり、Warcraftの世界の人間が住む星がアゼロスです。
かつてアゼロスは、絶賛発売中である「ハースストーン: 旧神のささやき」の主役となる、旧神という邪悪な神々によって支配されていました。
全ての惑星に繁栄と文化をもたらすことを目的としているタイタン種族が、アゼロスに降り立ったときに、繁栄を阻む存在である旧神たちを封印しました。
するとアゼロスは、長い年月をかけて、多様な文化が育まれる世界となりました。
アゼロスの世界では、人間の他にも、エルフやドワーフなどの様々な種族が共存しています。
そのアゼロス惑星の遥か遠方に、ドラエナという別の惑星がありました。
ドラエナの世界では、オーク、オーガ、ドラエナイなどの種族が共存していました。
あるとき、悪魔の力を得たグルダンというオークが、ドラエナに生息する、あらゆるオーク以外の種族を征服しました。
そして、グルダンの侵略の矛先は、ドラエナ以外の世界へ向けられます。
その侵略先がアゼロス大陸です。
宇宙の彼方に位置するアゼロスへ移動するために、グルダンは魔法のポータルを開きました。
これに入ると、アゼロスへテレポートによる移動ができるのです。
このポータルは、ダーク・ポータルと呼ばれるようになりました。
ダーク・ポータルを通じて異世界のオークがアゼロスに侵攻する模様を描いた作品が、映画「ウォークラフト」の原作であるゲーム「Warcraft 1」です。
(Stormwind)
アゼロス大陸では、様々な文化が育まれています。
鍛冶の能力に長けるドワーフ種族は、山中にアイアンフォージという大都市を築き、武具や兵器の製造を産業としました。
ハイ・エルフ種族は、クエル=サラスという森林都市に魔力の泉を設け、アーケイン魔法を伝承して他種族にも指南しました。
ストームウィンドは、人間種族が築いた王国の一つです。
経済、文化、軍事などのあらゆる国力が大きく強化されていて、支配地域も広大である、アゼロスを代表する大帝国です。
異世界からアゼロスにテレポートしてきたオーク軍は、このストームウィンド王国を含めた、ストームウィンドの支配地域一帯へ攻め込んだのです。
人間種族のリン家の者が、ストームウィンドの国王となって代々統治しています。
オークが襲来したときに国王であったのが、映画でも登場するレイン・リンです。
ハースストーンやWarcraftシリーズでおなじみのヴァリアン・リン現国王の父親であり、アンドゥイン・リンの祖父にあたる人物です。
映画では、幼少の頃のヴァリアンが登場することが、Warcraftファンの楽しみの一つとなっています。
ストームウィンドは軍事力も高い強国です。
特に、神聖魔法を扱う聖職者や、王国への忠誠と誇りを抱く騎士団は、同国を象徴する軍の構成員です。
その後者の騎士団を束ねる司令官が、後にも先にも人間界における最高の戦士と評された、アンドゥイン・ローサー卿(きょう)です。
伝説的な英雄であり、アライアンス陣営の創設者でもあるストームウィンドのローサー卿が、映画「ウォークラフト」の主人公となります。
(Dalaran / Kirin Tor)
ダラランも、ストームウィンドと同様に、人間種族が築いた王国の一つです。
かつて大陸の東北部に、アーケイン魔法を伝承するハイ・エルフ種族が住んでいました。
トロル種族との抗争で苦戦していた彼らに協力したのが、人間のアラサー一族でした。
ハイ・エルフがアラサー一族にアーケイン魔法を教え、それを取得したアラサー一族も魔法で応戦するようになったために、トロルは撃退されました。
魔法を教わったアラサー一族は、人間種族で初となる魔法使いのメイジを率いることになりました。
メイジとしての師であるハイ・エルフは、人間のメイジたちに対し、活動が制限されるアラサーを出てメイジ専用の都市を築くことを提言します。
それに従った人間のメイジたちは、魔法の学習と探求をする大いなる自由を求めて、魔法都市国家のダラランを建設しました。
その魔法都市ダラランで設立された評議会がキリン・トアです。
キリン・トアは、ダラランの存在理由でもある魔法の探求を主導している組織です。
エリート中のエリートであるメイジの集団です。
後にキリン・トアの頂点に立つカドガーも、登場時はキリン・トアの一般的なメンバーでした。
キリン・トアのメンバーであることを示す、「キリン・トアの眼」と呼ばれるシンボルが腕に刻まれています。
映画のカドガーは、原作とは異なり「ならず者」という設定で、自分が一人前を自覚するとキリン・トアから抜けて独立してしまいました。
勝手に出て行ったカドガーがキリン・トアを再び訪れたシーンでは、お叱りを受けることになります。
アントニダス、ローニン、ケルスザード、ジェイナ・プラウドムーア、ジェイナの弟子であるキンディ・スパークシャインなど、ハースストーンでもおなじみのメイジたちもキリン・トアのメンバーです。
(Guardian)
アゼロスには、世間一般に知られることがない、ティリスファル評議会という秘密組織がありました。
組織の目的は、悪魔の軍団「バーニング・リージョン」の襲来に対抗することです。
大昔に悪魔と実際に交戦したことがあるエルフ種族は、他種族の高位のメイジたちに悪魔の再襲来があることを伝えました。
その脅威からアゼロスをどう守るかについて協議したことが、ティリスファル評議会の結成のきっかけとなりました。
結成後は、ダラランのキリン・トアに所属する最高位のメイジを含めた、各種族のトップ・クラスのメイジたちによって構成されていました。
そのティリスファル評議会が備えていた悪魔襲来の対抗策の一つが、「アゼロスの守護者」の養成です。
各種族を代表するメイジたちが、一人の選ばれし者に対し、外界の敵を撃退できるだけの魔力を有するよう、集中的に育成したのです。
母親が「アゼロスの守護者」であった魔導師のメディヴは、生まれながらにして守護者となる運命にありました。
外界から襲来したオークが、悪魔の軍団の武器であるフェル魔法を使用していることから、守護者のメディヴには役目を果たす必要が生じました。
映画で登場するアロダイという謎のキャラクターは、初代の「アゼロスの守護者」であることを知っておくと、そのシーンの理解度が深まると思います。
(Mak’gora)
これは、ハースストーンの経験者であっても解説を要するほど、聞き慣れない単語であると思われます。
マッガラーは、オークの言語で「名誉の決闘」を意味する単語です。
個人の物理的な強さが尊ばれるオークの社会では、高い地位にいる者は他よりも戦闘力が強い存在である必要があります。
そのために、長となることを望む者が現れた場合は、現在の長との1対1の戦いで、交代するか否かを決めるしきたりがあります。
全てのオークは、この伝統的な1対1の決闘を重要視しています。
勝利して力量を示した者は敬意を表されますが、敗者は死を覚悟せねばなりません。
一つまでの武器の装備が許可されることと、いかなる防具の装備が許可されないことが、マッガラーのルールとなっています。
マッガラーにおける魔法の使用は卑怯な行為だとみなされています。
映画でも、長の座をめぐるマッガラーが行われます。
体の損傷を受けたオークが、その復讐という個人的な思惑のために、損傷を与えた相手とマッガラーを行うシーンもあります。
(Blizzard)
アメリカに実在するゲーム製作会社です。
正式名称は「ブリザード・エンターテイメント」です。
映画「ウォークラフト」の原作となるゲームのWarcraftシリーズを開発しました。
10年以上稼働されているブリザード社の「World of Warcraft」は、史上最高の多人数参加型のネットゲームと評されています。
他にも「Diablo」シリーズや「StarCraft」シリーズなどの大ヒット作をリリースしてきました。
そのために海外では英語圏を中心に高い知名度を誇るのですが、日本では日本語ローカライズ版が皆無であったために、コアなゲーマー以外には広く認知されていませんでした。
最近では「ハースストーン」「オーバーウォッチ」などの最新タイトルや、映画「ウォークラフト」、公式サイトなどの日本語版を手がけ、日本市場にも本格的に進出しています。
http://warcraft-movie.jp/