「カバール」は、魔法使いの集団というよりも、最高峰の化学者の集団として知られています。
多種多様な薬草、物質、生物から、極めて純度が高い――効能や威力が安全基準をはるかに超える――薬品類および魔法化合物を産出することができます。
中でも、ポーション類の精製を最も得意としてます。
彼らが醸造するポーションはまさに強力無比であるため、認可された商店では購入できないようなポーションを求める者が、ガジェッツァンの裏路地で「カバール」と接触しています。
効能を確定できない「カバール」のポーションを、むやみに服用することは大変危険です。
服用後に、全身からフサフサの羊毛が生える別の生物に変身してしまったり、殺人的な頭痛に見舞われることになるからです。
また、「カバール」の構成員が勧めてくるポーションに、おいそれと手を出すことも禁物です。
彼らは人をだますことに長けているので、効能を偽って説明し、あなたをポーションの実験体にしようとしているのかも知れません。
「カバール」を象徴するもう一つの要素が赤マナです。
通常の青マナよりも強力なリソースです。
「カバール」の構成員たちが、使用する魔術を強化するために用いています。
また、他では得られない効能を持つポーション類を、この赤マナを配合することで精製可能としています。
ただし、青マナと異なり不安定なリソースであるため、量によっては暴走しかねません。
そのために、多量に赤マナを含んだポーションは、魔法の鎖で封印されることもあります。
赤マナは、汚染されたマナです。
汚染されているがゆえに強力なのです。
そのために、これを多用する「カバール」の構成員たちは、徐々にどこかしら悪魔的な様相を呈するようになります。
強力で謎めいた赤マナは、クリスタルに注入されることで、リソースの備蓄品にもなります。
赤マナの販売も「カバール」の主要取引の一つです。
「カバール」の構成員で赤マナを好んで用いる者は、そのほとんどが体に赤色のタトゥーを施しています。
このタトゥーには赤マナを備蓄することができ、赤マナが注入されることで赤く発光します。
赤マナを体の表面で携帯することによって、いつでも赤マナを臨時的に用いることができるようになるのです。
また、タトゥー自体がルーン文字となっているために、その文字に対応した魔法が強化されます。
タトゥーの質の高さは、彫師(ほりし)の腕によるところが大きくなります。
ガジェッツァン随一の彫師と呼ばれるソリアのもとには、「カバール」の上級メンバーが連日訪れているようです。