炎の王ラグナロスが取り仕切る「炎の祭り」が終わり、新たにアフーンによる「霜の祭り」が開催されています。
ラグナロスはおなじみの存在ですが、突然にハースストーンで初登場したアフーンとは一体何者なのだと、疑問を感じた方も少なくないと思われます。
ですので、今回はアフーンを取り上げる特別コラムを掲載します。
まず、アフーンについて知るには「炎の夏至祭」について知る必要があります。
ハースストーンにおいて、ラグナロスが出てきてクエスト報酬のゴールドを2倍にさせた、あの「炎の祭り」のことですね。
炎の夏至祭は、原作の「World of Warcraft」では「Midsummer Fire Festival」と呼ばれており、初代の「World of Warcraft」から毎年開催されてきた期間限定の季節イベントです。
おそらくはヨーロッパを中心に開催されている夏至祭(げしさい / Midsummer Festival)を由来にしているものと考えられ、それと同じく夏至(げし)の6月下旬からゲーム内イベントとして発生します。
「World of Warcraft」における夏至祭は、炎の点火をテーマとしています。
公式サイトの紹介文によると、火をたくことで人々の精神や情熱を奮い立たせ、邪悪な魔物を払いのける意味合いを持つ祭りであるとのことです。
炎の夏至祭の期間中は、アゼロス大陸のいたる所(ウンゴロやガジェッツァンまでも)に大型のたき火が設置され、火に関連した特別アイテムを購入することができ、固有のクエストを達成することで装備品の獲得やアチーブメントの達成などを果たすことができます。
そしてアフーンは、この炎の夏至祭の期間中だけに登場する、いわば季節限定となるボスです。
ビール祭りにおけるコレン(アドベンチャー・ブラックロックマウンテンの第1ボス)が季節限定のボスであり、ハロウィンにおけるヘッドレス・ホースマン(第7シーズンのテーマで登場)が季節限定のボスであるように、アフーンも炎の夏至祭の季節限定ボスとして出現します。
季節限定のボスたちは、攻略難度が高くない割には高品質な装備品をドロップするので、カジュアル層やサブキャラを育成するプレイヤーたちから毎日のように「狩られる」存在です。
アフーンの名前は覚えていなくとも、「Midsummer Fire Festivalの氷のボス」と言われれば、Warcraftのプレイヤーは毎日狩り続けた記憶を容易に思い出すことができます。
「氷の王」とも称されるアフーンは、水のエレメンタル・ロードであるネプチュロンの強大な配下であり、炎のエレメンタル・ロードであるラグナロスを討つためにアゼロスで召喚されました。
エレメンタル・ロードたちは、そもそも旧神配下となる前からいがみ合う間柄であり、その後も旧神へ忠誠を誓う側(ラグナロスとアラキア)と旧神と距離を置く側の間で深い溝が生じていました。
そんな関係の最中に、ネプチュロンの手下であるナーガ種族たちが、憎きラグナロスの軍勢へ奇襲を仕掛けるために、アゼロスで暮らす狂信者集団である黄昏の鎚の教団(トワイライト・ハンマー)の手を借りて、氷の王アフーンの召喚を実行したのです。
旧神の信奉者である黄昏の鎚の教団がアフーンの召喚に協力した目的は、氷の王と炎の王を盛大に争わせて、戦場となるアゼロス全土を荒廃させ、旧神が望むアゼロスの滅亡を手っ取り早く実現することにありました。
その企みを知覚した大地の円環のシャーマンたちは、結果としてラグナロスを助けてネプチュロンに仇(あだ)をなすことになろうとも、とにかくエレメンタル同士の戦争による大被害にアゼロスが巻き込まれないよう、先んじてアフーンを討伐することをプレイヤーに依頼したという訳なのです。
なぜ黄昏の鎚の教団たちが炎の夏至祭の季節に限定してアフーンを召喚したのかについては、詳しく調べても私には理由を探し当てることができませんでした(特別な理由などなく、たまたま夏至祭の時期と重なっただけかも知れません)。
もともとは、ラグナロスと炎の夏至祭の成り立ちには関連性がありません。
しかしながら、その炎の夏至祭の期間において、ラグナロスと争おうとするアフーンが召喚されたことによって、実際の物語には登場しないながらもラグナロスは炎の夏至祭と間接的なつながりを持つ存在として認識されるようになりました。
ハースストーンにおけるラグナロスと炎の祭り、およびラグナロスをライバル視するアフーンの登場は、過度なコミカルさが違和感を与えているものの、「World of Warcraft」の季節イベントを適正に再現しようとしています。