【07/06 ~ 8/11】
拡張セット第6弾「凍てつく玉座の騎士団」の発表とリリース
7月初旬に上海で開催された春季選手権において、開発陣のBen Brode氏とJason Chayes氏が出演した特別ビデオの配信で、新拡張セット「凍てつく玉座の騎士団」が発表されました。
大人気キャラクター「リッチキング」と、そのしもべであるアンデッド軍団を主役とするカードセットです。
新しいカードタイプのヒーローカード、「生命奪取」の能力、1人用のミッション・モードの付録が主要な要素となりました。
海外のコミュニティを中心に、その発表がセンセーショナルに伝達された理由は主に2つです。
まず、「World of Warcraft」史上で最もプレイ人口が多かった頃の拡張セット「Wrath of the Lich King」の主役であるリッチキングと、その彼が拠点とする大型ダンジョン「アイスクラウン城砦」が舞台になったことです。
ギネス記録にも登録された伝説的な作品である「WotLK」のハースストーンへの導入は、必然的にハースストーンのコミュニティの内外を問わずに大きな期待と注目を集めました。
そして、「Wrath of the Lich King」とは切り離せない要素である、デスナイト・クラスの追加です。
「WoW」と同じようにハースストーンでも第10の新クラスとして新設されるものと予想されていましたが、ヒーローをデスナイトに置き換えるヒーローカードというユニークなアイデアが発表され、こちらも話題を呼びました。
リッチキングとなる前のアーサスが、ミッションのクリア報酬として獲得できるパラディンの新ヒーローになることも、リリース前後におけるコミュニティを盛り上げました。
過剰なコミカル化を考慮しても、世界観と舞台設定が最高級である拡張セットだったのですが、ゲーム・デザインの面ではお世辞にも成功したとは言えません。
究極の侵蝕、拡がりゆく虫害、魔蝕の病霜マルフュリオンを得た翡翠ドルイドが他のデッキを圧倒してしまい、長く続いたドルイド一強時代が、加熱したファンのプレイ意欲を急速に冷ますことになったのです。
練気の弱体化によってドルイドが失墜した後には、影刈アンドゥインを採用したハイランダー・プリーストやケレセス公爵入りのテンポ・デッキが台頭し、「鍵となるカードを先に引いた者勝ち」という、やや理不尽さがはびこる対戦環境が展開されるようになりました。
・拡張セット #6: 凍てつく玉座の騎士団(Knights of the Frozen Throne)
・リッチキング ―― 氷牢より腐敗を司る死霊の総帥
・アーサス・メネシル ―― 暗黒騎士の王へいざなわれた聖騎士の王子
・スコージとデスナイトについて
・凍てつく玉座とアイスクラウン城砦について
・カードリスト – 拡張セット #6: 凍てつく玉座の騎士団
・ニュース – パラディンの新ヒーロー・スキン「アーサス王子」ほか、デイブ・コザック氏の「炉辺談話」のまとめ
・ニュース – 「凍てつく玉座の騎士団」で8種のデスナイト・カードの存在が判明
・パッチ「9.0.0.20457」の詳細内容
・「凍てつく玉座の騎士団」フレーバー・テキスト一覧
【03/01 & 07/31】The Rap God ―― Ben Brode氏のラップ配信
今年のハースストーン界の「事件」の中で、これを上回る出来事は存在しません。
ハースストーンの開発陣を代表するゲーム・ディレクターのBen Brode氏が、自身のYoutubeチャンネルにおいて、自作のラップを自分で歌う様子を突如として配信したのです。
その経緯は、「大魔境ウンゴロ」の公式トレーラー(予告)動画が発端となりました。
「ウンゴロ」のトレーラーに、他のカードセットのトレーラーには収録されていたミュージカル調の歌が含まれていないことについて、コミュニティの一人が不満を述べ、「こうなったらベンさんにでも歌ってほしい」と批判したのです。
それならばと、Ben Brode氏はリクエストに応じ、まさかのラップで「ウンゴロ」の宣伝文句を歌い上げるに至りました。
視聴したコミュニティの反響が凄まじかったことは、ご存知のとおりです。
このラップを真似たり替え歌を披露したり、ラップ動画を素材にするいわゆる「MADムービー」が制作されたり、「1.5倍速ならベター」という多数の意見を採用した1.5倍速版のラップ動画を配信するなどの、二次創作の映像が乱発するまでに騒動は発展しました。
後にBen Brode氏はこのラップに関して、「収録は誰の手も借りずに1人で行った」「作詞作曲に要した時間は約90分」「18年ほど前から時々ラップを歌唱していた」などの説明を補足しました。
続く拡張セット「凍てつく玉座の騎士団」においても、トレーラー動画に歌が含まれていなかったためか、Ben Brode氏がその舞台背景をラップの歌唱で説明するパフォーマンスを再び披露したのです。
主役のアーサス王子のストーリーを、コミカルながらもしっかりと解説していて、その陰惨(いんさん)な物語の暗い雰囲気を緩和して伝えた内容に、笑いながらも感嘆したという意見が多数見受けられました。
「BlizzCon 2017」の「Stay Awhile and Listen | True Stories Live」というコーナーに出演し、そこでもラップを生で歌ったBen Brode氏は、入社前の学生時代の自分を語った際に、ラップとの出会いを明かしました。
当時は取り柄がなかった自分を変えたくて入ったダンス・チームで、強烈な個性を持つリーダーから、「明日からラップとヒップホップ以外を口ずさんだら即退部」と命じられたのだそうです。
「コボルトと秘宝の迷宮」では新作ラップが発表されませんでしたが、同作品のトレーラー動画においてはミュージカル調の歌が久々に収録されています。
トレーラーに歌が含まれないカードセットがリリースされるときに、再び彼のラップが登場することになるのかも知れません。
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