「World of Warcraft」における世界樹の小枝は、レベル58~63のモンスター全般がまれにドロップする、レア・アイテムの両手武器です。
装備前ならばトレードが可能である一般的なアイテムで、特別なバック・ストーリーが用意されている武器ではありません。
以前はStrength(力 = 戦士向け)とSpirit(精神 = 僧侶向け)のステータス値をそれぞれ上昇させるという、少し変わった性能だったために、どのクラスが扱っても有用になりづらい半端な武器でした。
しかし最近では、Spirit上昇の効果が、全クラスにとって有用なHaste(攻撃速度)の上昇に置き換わったので、晴れて近接攻撃クラス向けの武器として見なされるようになりました。
Warcraftの世界の舞台であるアゼロス大陸には、ナイト・エルフ種族のドルイドたちが育てた世界樹(World Trees)が5つあります。
それぞれの役割や存在意義は異なるものの、アゼロス大陸を保護する目的で植えられ育成されたことは共通しています。
かつてドルイドの長であったファンドラル・スタッグヘルムは、アゼロスの各所で点在し始めたサロナイト――旧神ヨグ=サロンの邪悪な力が込められた鉱石――がはびこる地表に、世界樹から採取してきた小枝を植えて、それを世界樹の影響を受け継ぐ大樹(Great Tree)に育てることでサロナイトの拡散を抑制しました。
しかしながら、エメラルド・ドリーム――自然の摂理を正しく導く役割を果たす精神世界――と密接に結びつく世界樹の性質を受け継いだこの大樹は、いずれもエメラルド・ドリームとの往来を可能にするポータルを形成したことによって、やがては旧神がエメラルド・ドリームの内部に影響を及ぼす手段となりました。
そして、ファンドラルと共にエメラルド・ドリームが旧神に汚染される直接的な要因となったのです。
ハースストーンにおけるレジェンド・カードとしての世界樹の小枝は、上記のファンドラルが植えた世界樹の枝というよりも、その上の世代である、世界樹の起源となった母なる木(Mother Tree)の枝と捉える方が、その特別感にふさわしいと感じられます。
母なる木は、エメラルド・ドリームの内部において半神アヴィアナと精神的な結び付きがあった、アゼロス大陸の生命体に癒やしと秩序をもたらした聖木です。
悪魔が襲来した古代戦争(War of the Ancients)でアヴィアナが死亡すると、それに呼応するように、母なる木も枯れ果てました。
それ以降も母なる木の神秘な力を保持していた、母なる木を形成していた枝々は、イセラ率いるグリーン・ドラゴンによってアゼロス大陸の各所へ運ばれ、母なる木とアヴィアナの意志を受け継ぐ世界樹として新たに芽吹きました。
母なる木の枝は、大変強力な古代のアーティファクトの一つであったと広く認識されています。
「World of Warcraft: Legion」においては、ドルイド・クラスのアーティファクト武器――悪魔の焦熱の軍団に対抗し得るとされる武具の総称――のG’Hanir, the Mother Treeとして、母なる木の枝が登場しています。