様々なコミュニティが反応を示す中で、とりわけ大きな反響を呼んだ皮肉のメッセージを放った人物が、ブライアン・キブラー(Brian Kibler)氏でした。
キブラー氏は、ハースストーンが初めて「スタンダード・フォーマット」を導入する際に、「基本」と「クラシック」の各セットが固定化されることに異を唱えていた一人でした。
プロ・ツアー殿堂入りも果たしているマジック・ザ・ギャザリングの世界的な名選手であった同氏は、その自身の経験も踏まえて、「少なくとも固定化セットもローテーションさせる方がよい」と当時からアドバイスを繰り返していました。
MTGプレイヤーはハースストーンの「スタンダード・フォーマット」をどう捉えたか
このツイートを発端(ほったん)としてツイッターで持論を展開するブライアン・キブラー氏に対して、開発陣のディーン・アヤラ氏が応酬し、両氏の支持者も巻き込んだ大激論がツイッター上で繰り広げられたのです。
お互いに簡単には言い分を譲らない、両氏の舌戦(ぜっせん)の模様をご覧いただきます。
今回の変更は、現在のハースストーンの大問題であると私が主張している「ワン・ターン・キル」と「ゲン&バク」を解消しない。
アグロの弱体化によってメックトゥーンやOTKパラディンのようなデッキ群が躍進すると、対戦は毎回同じような内容ばかりになってしまう。
そして、平等の弱体化が3マナ化ではなく4マナ化となったのは、バクの存在による弊害であることも注目に値する。
大型ミニオンを簡単に処理する手段を奇数パラディンに与えてしまうと、災いがもたらされるのだから。
- 私たちは、長期的な運用にダメージを与え得る、短期的で突発な修正を施すことはないし、しようともしない。
「今後の平等がほとんどのパラディン・デッキで採用され続ける恐れがある」という問題を解決するには、3マナ化の修正だけでは十分だとは思わない。
以前にベン・ブロード氏は、カジュアル・プレイヤーが戻ってきやすいようにコア・セットを残すのだと言及していたような。
そのコア・セットの最高のカードたちを悪化させても問題はないのか?
- 私たちの目標は強いカードを悪化させることではなく、全体の100%に近いアーキタイプに採用されているようなカードを、常識的な範囲までのアーキタイプに採用されるようにすること。
- 「基本」と「クラシック」の中には、むしろ変更したくない強力なカードがたくさんある。
それらは修正対象のリストには含まれていない。
カードが永遠に全てのデッキで採用される事案については、様々な手法であなたたちは解決できるはずだが。
- まったくその通り。
プレイヤーが最も痛手を被る(こうむる)瞬間の一例は、ゲームが「組み込み済みのカードはもう使えない」と宣言して、彼らがプレイしているデッキが壊れるときだ。
私たちは、そうならないような解決手段を模索し続けているが、それを毎回に見いだすことは難しい。 - あなたが提案する『コア・セットのローテーション』は、多くのプレイヤーに影響するだけででなく、コア・セットだけを用いてローテーション・セットを一切使わないという大量のカジュアル層の損失に直結する。
『コア・セットのローテーション』の是非(ぜひ)については言及しないが、それを私たちが採用しない理由は、カジュアルと競技向け、およびその中間にあるほとんどのデッキを理論的に無効化させないためである。
拡張セットが全てローテーションするタイミングにおける、『コア・セットのローテーション』がある場合とない場合の違いがよくわからない。
デッキの構成カードが全てコア・セットである少数のプレイヤーにとっては大きな違いになるのだろうが。
- 実際には(デッキの構成カードが全てコア・セットであるプレイヤーは)少数ではなく、とても大きな割合を占めている。
参加や支出に積極的なベテラン・プレイヤーたちに影響を与えるような決定に対して、あまり参加や支出をしないカジュアル・プレイヤーたちがどれほどの影響力を持つべきであるのか。
- ベテラン・プレイヤーの考え方とは「両方のプレイヤーたちにとって有益となる何かを、私たちは達成できる」ということ。
- 同意できるかどうかに関わらず、永続的にゲームに存在してクラスのフレーバーを伝えるカードセットは、どちらのグループのプレイヤーに対しても素晴らしい要素であると私は個人的に思っている。
そのようなカードセットが、拡張セットがもたらす新しい対戦環境の新鮮さを損なう場合は、それはベテランたちにとってのマイナス要因となる。 - コア・セットが各メタの隙間に出入りするような存在であれば、新規プレイヤーにとって素晴らしいツールであり続けると同時に、拡張セットが大きな影響をもたらすことができる。
私たちはそのような地点にたどり着きたい。 - そして元々の質問に答えると、それは私たちの決定の方にいくらか影響を与えるはず。
全てのプレイヤーが幸せになれるようなシステムが構築されることが理想だが、ベテランとカジュアルなプレイヤーが同じシステムに存在する場合は、難しい決定を迫られることになる。
これを(マジックに深く携わった)あなたが知らないとは思えないが。
「基本」と「クラシック」を徐々に弱体化していくことは、結局は同じように大多数のプレイヤーたちのデッキを無効化させるのではないか?
- カードの弱体化は、決してデッキを無効化させる訳ではない。
それらの強度を弱めることは確かであるが、時間の経過とともに、新しい戦略が創造される余地を生じさせる。
他の変更も伴わなければゲームへの参戦を難しくする要因となるが、他の解決手段に比べて健全的であると思う。
ワタリガラス年は多分にカジュアル層向けだったと感じているので、私たちベテラン勢にもプレイ意欲を高めるような何かを用意してほしい。
- ほぼ全てのデッキにで採用されるような「基本」と「クラシック」のカードの変更は、ベテラン勢の方にとっての利点になると思う。
現時点におけるパラディンのクラス・フレーバーとは何か?
明確に定義されていない事項の一つである。
- 一般的には「小型ミニオンの軍団」「回復能力」「強化能力」が挙げられる。
これらは、超攻撃的なフェイス・ダメージや、盤面をクリアにする全体攻撃などに弱い。 - ミニオンたちと、それに対する強化、そして回復による勢力の維持で勝利を目指すこと。
火力や除去はそれほど関係していない。
うん、自分はあなたを信じるよ。
完全に信じられる。
- ありがとう。
私は、みんなが自分を信じていないものと信じ始めていたよ!
- キブラー氏は私たち全員と良好な関係を築いていると、私は考えている。
デザインの意思決定に異を唱えられることが、両者の相性の悪さを示す訳ではない。 - 日常的に共に働く同僚にも私は反対意見を出している。
ただただ、全ての種類の意見を聞き集めて、既知(きち)の情報にもとづいて最適な解決法を考え出すだけ。
時として、誰かが不満に思うような決定が下されることもあるが、大丈夫。 - キブラー、あなたはこのコメントを読むだろうから、あなたがとても素晴らしい人物だと思っていることをここに残しておきたい :)
君も素晴らしい人物だよ、ディーン――