Warcraftの世界における呪術司マラクラスは、アマニ帝国の参謀を務めるウィッチ・ドクター(Witch Doctor)です。
ウィッチ・ドクターはトロルの呪術使いの呼称であり、マラクラスはその中でも格段に強力な闇の力を扱う存在でした。
彼は、アマニの長年の抗争相手であるブラッド・エルフの軍団を研究し続けていました。
すると、ブラッド・エルフたちは捕獲したナール――聖なる光の結晶体である種族――の一体から光のエネルギーを抽出して、それを体内に取り込むことで強化を果たしていた事実が判明したのです。
すでにロアの精霊についても十分に研究をしてきたマラクラスは、ブラッド・エルフ軍と同じような強化策――すなわち、ロアの精霊たちの力をトロルのチャンピオンたちの体内に直接注入させて、アマニ帝国史上最強の戦士を育成する計画を考案しました。
提案を受けたズルジンはただちに承認して、マラクラスにその計画を実行するよう命じました。
マラクラスは実験に没頭し、ついにはオオヤマネコ、ドラゴンホーク、クマ、ワシの4体のロアを、4人のトロルの精鋭それぞれに直接取り込ませることに成功しました。
さらには、自分自身にも強化を施すために、マラクラスは同じ手法によって何らかの闇のロアのエッセンスを自らの体内に注入しています。
その闇のロアの正体は明らかにされていませんが、彼がロアと勘違いした地底の旧神(Old Gods)の将軍か、あるいは悪魔の焦熱の軍団(Burning Legion)が召喚した魔物ではないかと予想されています。
プレイヤーたち冒険者が、アマニ帝国の本拠地であるダンジョンのズルアマン(Zul’Aman)の攻略へ臨んだ際には、最終ボスのズルジンの他に5体のボスたちに挑むことになっていました。
その内の4体こそが、マラクラスがロアの精霊を注入したトロルのチャンピオンたちだったのです。
そして、その4体を倒すと、副ボスのマラクラスと最終ボスのズルジンが控えるズルアマンの深部への道が開かれます。
ダンジョンのボスとしてのマラクラスは、多数の手下を召喚し、徐々に威力が高まる継続ダメージをばらまく難敵でした。
最大の特徴は、プレイヤー1人のクラスの能力を抽出して体内に取り込む――例えばローグなら物理攻撃力を高め、プリーストなら回復や精神支配による寝返りを繰り出す―――ことであり、マラクラスが抽出したクラスの能力ごとに対応した挙動をとることがグループ全員に求められました。
ハースストーンにおけるマラクラスはドラゴンホークのロア・ジャナライと契約して炎の力を得ていますが、これはハースストーン独自の設定であり、実際には前述したとおりに闇属性の何者かのエネルギーを取り入れています。
Warcraftの世界におけるハラッジは、オオヤマネコのロアです。
鋭い牙と爪で獲物を切り裂く、自然界のハンターの代表格であるオオヤマネコたちを司る(つかさどる)獣神です。
アマニ帝国の参謀である呪術司マラクラスは、この獣神のハラッジの力を1人のトロルのチャンピオンに取り込ませて、強大な獣の戦士を仕立て上げています。
その「ハラッジ・トロル」は、中型ダンジョンのズルアマン(Zul’Aman)におけるボスの1体として登場しました。
高い物理攻撃力を誇るために、タンク(盾役)の耐久度とヒーラー(回復役)の回復力が大いに試される――逆に言えば大いに腕の見せ所となる――エンカウンターでした。
「ハラッジ・トロル」がいる部屋では、アマニ帝国によって捕らえられた若い女ノームが処刑されようとしています。
この女ノームは、一人前の冒険家になろうとして魔法の練習をしている内に、アマニ帝国の財宝を盗み取ることを企む(たくらむ)人間の冒険者に遭遇――彼にだまされてアマニ帝国の首都ズルアマンまで導かれて、ここで練習を続けて同帝国にそれなりの損害を与えたために捕獲されてしまったのです。
ダンジョンのズルアマンには、彼女を含めた人質たちを救出するというタイム・トライアルのイベントが存在していて、侵入した時点から制限時間以内に「ハラッジ・トロル」を撃破すると、処刑される前に彼女を救出することができました。
達成にはそれなりの装備と熟練が必要となりますが、もちろん相応の報酬が用意されました。
彼女を含めた人質の全員を救出すると、陸上用の乗り物であるAmani Battle Bear(アマニの戦熊)を獲得できることが目玉となっていました。
なおハラッジは、アマニ帝国の長であるズルジンにも使役(しえき)されていて、ズルジンの撃破後には解放されて自然界に戻っています。
「天下一ヴドゥ祭」のレジェンド
<目次>
※以下のレジェンドは、ハースストーンのオリジナルの創作であり、Warcraftの世界には登場しないキャラクターです。
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