真っ先に感じられた要改善ポイントは、初心者、ならびにカード資産が少ないアカウント向けのパフォーマンスです。
本来、このようなツールを誰よりも必要としているユーザー層は彼らであるはずです。
コレクションを有しているほど満足に利用できるツールである一方で、何のアーキタイプも確定できないほどに乏しい資産状況においては、使用感は以前までとそれほど変わりがありません。
「アーキタイプを確定できない場合は、マナ・カーブに沿って最強のカードを組み入れる」と発表されているのですが、その「最強のカード」の定義がよくわかっていません。
同じ2/2/3でもアマニの狂戦士の代わりにリバー・クロコリスクが採用されたり、偶数デッキではないのにゲン・グレイメインがボルダーフィストのオーガを差し置いて採用されるなどのケースが、初級アカウントにおけるテストでは頻発していました。
明らかに強度が高いと思われるカードであっても、そのクラスで対戦環境内の使用実績が少ない場合は、優先的に選ばれないような感じでもありました(※例: テーマなしのパラディンで常に回廊漁り蟲 > 銀の剣)。
カードの選定の際には闘技場の強度バケットを基準にしたり、カード同士のシナジー効果を少しでも多く取り入れるようにするなどして、ランダム・デッキの構築時においても高い勝率を追求していただきたいと思います。
新生ビルダーは依然として、各カードの能力が実際にどのように活用されているのかまでは把握していません。
「メックトゥーン・ドルイド」の不足カードを補おうとして巨大アナコンダと暴走の咆哮を代用品とする柔軟性も見せますが、それらを採用するビルドが実在してデータベースに記録されているからこその挙動であり、なぜにそれらが代用品となり得るのかという理由までは理解していません。
そのような理解の欠如が問題となっている代表的な事例が、ケレセス公爵を所有していないのにケレセス型のアーキタイプが採用されて、2マナのカードが一切組み入れられないというケースです。
そのアーキタイプはケレセスの能力を発動させるために2マナのカードを全排除しているのですが、AIは能力の仕組みを把握しておらず、ケレセス以外の2マナが一切採用されていないというデータベースにそのまま従ってデッキを作成してしまっているのです。
躯の駆り手を所有していないのに疾風のハーピィが組み入れられるのは、その両者を結びつけているシナジー効果の知識がデータベースには記録されておらず、疾風のハーピィが特定のアーキタイプのコア・カードであることだけが認識されているためです。
カードの能力がもたらすデッキ構築の特殊性の理解や、各アーキタイプの鍵となるカードの特定化、各シナジーに属するカード群のグループ化などが果たされると、精度がより向上したと評価されると思います。
前述したとおりに、新生ビルダーはメタ・デッキの作成補助のツールであり、メタ外(Off-meta)のデッキやファン・デッキの作成はサポートしません。
それでもコミュニティは、ダ・アンダテイカの組み入れからの断末魔デッキや、ウィンドシア・ストームコーラーの発動を目指したトーテム・デッキなどの、勝率を度外視したテーマ・デッキも自動作成してみてほしいのです。
メタ外デッキの提供は開発サイドの意図から外れていて、そもそもの使用目的に相違があることは間違いないのですが、これだけメタ外デッキに関する意見が噴出しているということは、そのような機能にも需要があるはずなのです。
優先度が低いと感じられる課題でありながらも、プレイヤーたちのプレイ意欲を十分にかきたてることができる改善ポイントだと思います。