流行中の、それも実際に成功してるアーキタイプの構成内容をなぞらえることに関しては、素晴らしいツールであると実感しました。
そうしたアーキタイプの様々なビルド・パターンもデータベースに取り入れていて、次点の候補となる代用カードの選定も実用的なレベルでこなしてくれます。
以前までのテーマが皆無の自動構築に比べると、大幅に改良が果たされているという印象です。
この改良版デッキ・ビルダーの特色ならびに持ち味は、とにかく「流行するアーキタイプありき」であることです。
完成させようとしてるデッキを、勝率が高いアーキタイプの構成へ導くことについて特化しています。
よって、実際に活躍しているアーキタイプの構成カードを多く所有しているほどに、この新メカニズムの精度が高くなり、デッキ・ビルダーの改良の恩恵を受けやすくなるのです。
そのような新生ビルダーの特徴を明確に認識できるテストが、ほとんど活躍していないカードを組み入れてからデッキの完成を任せてみることです。
あらかじめデッキにラッカリの生贄が含まれているとしても、コンピューターAIは、それを活用する「破棄ウォーロック」を組み上げようとはしません。
ラッカリの生贄および「破棄ウォーロック」の勝率と強度が極めて低いと捉えているからです。
デッキ内でラッカリの生贄1枚を無益にする結果になるとしても、なおも「ズー・ウォーロック」を組み上げる方が成功を見込める――新生ビルダーは、収集したデータからそのように判断するのです。
大逆の刃キングスベインおよび「キングスベイン・ローグ」や、ケンゴーの無限軍団および「メック・パラディン」に関しても同様に認識して、それらを無理に活用しようとはせずに放置して、やはり勝率が高い流行中のアーキタイプが引き出されることになります。
そして、そのような新生ビルダーの特徴が生じさせている問題の一つが、コミュニティが期待していた側面とのギャップです。
コミュニティは、勝てるデッキの作成能力だけでなく、ラッカリの生贄から「破棄ウォーロック」を組むようなテーマ・デッキの作成能力も望んでいたのです。
流行するアーキタイプに寄せて勝率が高いデッキを作成することが新生ビルダーの大前提であったのですが、そのことを十分に知らされていないプレイヤーたちは、以下のような不満を数多くぶつけたのでした。
「魂の鍛冶場や物騒な武装から武器多用のウォリアー・デッキを組んでもらおうとしたら、ブラッドレイザーだけしか武器を組み入れてくれない」
(※テストしてみたら急襲ウォリアーが組まれた)「最後のカレイドサウルスとリネッサ・サンソロウを入れているのに、強化呪文を力の祝福2枚だけしか組み入れない無能のツール」
(※テストしてみたら奇数パラディンが組まれた)使用率が低いカードが事前に組み込まれている場合は、それらを無視した「ベスト・デッキ」が完成されるケースが多くなります。
あくまでデッキの勝率を高めようとする新生ビルダーの仕様による結果なのですが、組み込み済みのカードと無関係のアーキタイプの採用は「動作エラー」であると人々から評されてしまうのです。
新生ビルダーは「○○というカードを活用したい」というリクエストに応えることを得意としていません。
現在に結果を出しているデッキの作成補助のツールとして捉えられるべきであり、そのことはもっと周知されてほしいと思いました。