改善が施行されたこと自体は、全体的に好評ならびに歓迎の意が示されています。
本来の使用目的――流行デッキの作成――に準じた使用感についてもポジティブに反応されることが多く、早期の「ワイルド」への搭載や改良の継続を望む声も目立っています。
コミュニティの間でよく議論に発展していたトピックは「ゲーム内のデッキ自動構築ツールはネットデッキングの完全な代用となり得るか」についてでした。
ネットデッキング(Netdecking)とは、主にインターネットを介して他者が公開しているデッキの内容を探し当て、それをそのままコピーして組み上げたり使用したりする行為のことです。
そして、構築ツール自体があらゆる情報を集約してネットデッキングの手段そのものにならない限りは、ネットデッキングはなくならないと私は考えています。
今までと変わりなく、自力でデッキと戦術を調べ尽くせる上級者ほど、AIなどに頼ることなく多種多様な公開ビルドを取り込んで、納得がいくまでビルドの構成内容を細かく追求し続けるでしょう。
ネットデッキングによるデッキ構築とAIツールによるデッキ構築の大きな相違点の一つは、構成カードの全種類の完全なコレクションが、デッキの完成に必要であるか否かです。
改良版デッキ・ビルダーの最大の存在意義は、流行するデッキを組もうとする際に、不足しているカードを自分のコレクション状況に応じて気軽に補完させられることです。
時間をかけて代用カードを探したり尋ねたり、完璧を求めてカードを作成しようかなどと悩む手間が省かれ(はぶかれ)ると、そうした行為を面倒と感じていたカジュアル勢のプレイ意欲は大幅に向上するはずです。
「どうせ資産が足りないから」と、多様なデッキをそろえることに消極的だった初心者も、カードの資産状況に応じてデッキの構築をある程度までは丸投げできるようになったことから、デッキを工面する楽しみを体感しやすくなったはずです。
例によってベテラン勢ばかりが声高になりやすい議論の中において、数少ないカジュアル勢のフィードバックの声を拾い集めると、彼らは総じて新生デッキ・ビルダーに対してポジティブな感想を抱いていることがわかります。
そして彼らは、「能力やシナジーを完全に把握していない」「メタ外のテーマ・デッキも作成してほしい」「不完全なネットデッキングの代行である」等々の、カード資産が豊富なベテラン視点からの指摘についてはあまり関心を示していません。
今回のデッキ・ビルダーの改良は、過半数以上もの割合で存在しているはずのカジュアル勢に対して、とにかくもプレイのモチベーションを向上させる大きな役割を果たしたのだと個人的には推測しています。
「低ランク帯におけるデッキの多様性や独自性が薄まりそうである」という指摘については賛同せざるを得ませんが、それでも低ランク帯におけるプレイ意欲や参加率を高めることの方が断然有益であると信じています。
このせっかくのデッキ・ビルダーの改良がもっと周知され、カジュアルにプレイする人たちにもっと試してみてほしい、もっと気軽にデッキを組んでみてほしいと望んでいます。
最後に、コミュニティから複数挙げられていた、デッキ・ビルダーの実際の利用に関するインターフェース面での改善要望をご紹介します。
- デッキ・ビルダーが採用することに決めたアーキタイプの、最高の構成内容を知ることができるオプションを設けてほしい。
理想的なビルドを組むために必要である不足分のカードが何であるのかを参考にしたいため。 - デッキの自動構築の結果をキャンセルするオプションを設けてほしい。
気に入らないデッキが組み上がった場合には、それを削除するなどして、最初から組み入れカードをもう一度指定し直す手間がかかるため。 - デッキ・コードやデッキ・レシピをインポートした後の、不足カードをクリックした際に出現する代用カードの推奨が、一括で自動完成させた場合に組み入れられる代用カードと大きく異なるというズレを解消してほしい。 ※03/29 追記: 現在は、この個別のカード推奨機能には新型ビルダーの改良アルゴリズムが搭載されていないと公式に明かされました。