未掲載であるヒントやアドバイスを書き尽くして最終回とする。
この金策においては定期的なオペレーションの見直しや点検は欠かせない。
その調整の手がかりとなるツールがTSMの「Ledger」タブだ。
「Revenue」の「Sales」では、これまでに売れたアイテムの個数と売上を参照できる。
「Failed Auction」の「Expired」と「Cancelled」では、これまでに売れ残ったアイテムの個数と出品回数を参照できる。
共に、各アイテムをクリックすれば個別の売上状況を把握できる。
これらの記録も参考にしながら、各アイテムの出品数と生産数の設定を、売れ行きに応じた過不足ない適切な値となるように見直していく。
売れないアイテムの登録解除や、売れそうなアイテムの登録の検討も進めて、無駄のない金策体制の整備を継続しよう。
限定的ではあるが、生産時間を短縮できる手段がいくつかある。
該当するアイテムを大量に生産する際には便利な存在だ。
その代表格がChef’s Hatだ。
どの拡張世代のCookingの生産レシピであっても、作成1回あたりのCastを爆速化する。
このToyを獲得するにはデイリー・クエストをしばらくの期間こなす必要があるが、Cookingを生産の柱の一つとするならぜひ所有を目指そう。
「Battle for Azeroth」世代のレシピを生産する際には、低レベルのGlovesに以下のEnchantを施して装備すると、やはり生産時間を短縮できる。
BFA世代のハーブのMass Millingや、BFA世代のインクを大量生産する際には今でも役立つ。
素材アイテム(ハーブ、鉱石、皮)を収集する際のCastスピードを早めるEnchantも紹介しておこう。
これらは拡張セット単位のエリアごとに使い分ける必要がある。
生産性を高めるテクニックの一つは、なるべく過疎地で生産することだ。
WoWでは生産行為に限らず、何をするにしても混雑した場所ではラグが生じやすい。
プレイヤーが密集するStormwindやOrgrimmarで生産するよりも、人の気配がないDarnassusやSilvermoon Cityで生産する方が、Castあたりのラグが少ない。
サーバーの人口密度にもよるだろうが、大抵は10~20%程度の時間差にもなる。
大量に生産するときには、このラグの積み重ねは馬鹿にできない時間のロスを生む。
オークションの出品を一度に大量にキャンセルすると遅延 (Throttle) が発生するようになる。
発生すると、1回の出品キャンセルにつき数秒から数十秒の時間がかかる。
この現象は時間の経過で収まるものの、作業効率を悪化させるので、なるべく回避したい。
体感では、おおよそ60前後の個数の出品を一気にキャンセルするあたりから発生する。
よって、全出品をキャンセルすることになる事態も想定して、出品キャラ1体あたりの出品種目を60種類程度までに限る方が無難である。
出品種目が多くて、出品と出品キャンセルのスキャンが長くなる場合は、サウンドを鳴らす設定の活用も検討しよう。
それぞれのスキャンの完了時にサウンドで通知してくれる。
さらには、WoWのプログラムを非アクティブ状態にしていても、スキャンの完了時にタスクバーを光らせて教えてくれるようになる。
PC上でスキマ時間を活用する際には便利な機能だ。
「/tsm」→「Settings」タブ →「Auctioning」→「Auction House Sounds」→「Scan complete sound」で設定できる。
WoWのオークションでは出品者に2種類の手数料が課される。
1つは出品手数料 (Deposit) だ。
12時間の設定で出品すると、アイテム1個ごとにVendor NPC売却価格の15%分が手数料として課される。
24時間の出品ではNPC売却価格の30%、48時間の出品ではNPC売却価格の60%が手数料率となる。
この出品手数料は、売却が成立した場合には売上とともに返金される。
しかしながら、キャンセルまたは売れ残りの場合には返金されずに徴収されてしまう。
だから、過度の出品は直接的な損益を計上させることになる。
もう1つは契約手数料 (Auction House Cut) だ。
こちらは売却が成立した際に、その売上の5%が手数料として徴収される。
売却の成立でも不成立でも、いずれかの手数料を取り立てられる訳だ。
特に転売行為などにおいては理解しておくべき初歩的な注意事項となる。
このガイドの初期に出品オペレーションと生産オペレーションで入力させた、利益率を基準とする数式は、厳密に言えば正確ではない。
生産オペレーションの「Min profit amount」=「利益率がこの値以上である場合に限り生産する」の数式を「15%crafting」=「作成コストの15%」と修正させたが、これは前述した2種類の手数料を勘定に入れていない。
初期段階における解説をより煩雑にさせたくなかったからだ。
この利益率の算出をより正確にさせるためには 10%crafting / 0.95 + 15%first(vendorsell, 1s) の数式に変更する。
詳細な解説は省くが、「0.95」で5%の契約手数料を、「15%vendorsell」で出品手数料をそれぞれカバーしている。
後半部分の 15%first(vendorsell, 1s) は12時間の出品設定で使用し、24時間の出品設定では 30%first(vendorsell, 1s) 、48時間の出品設定では 60%first(vendorsell, 1s) とする。
同様に、出品オペレーションの「Minimum price」も以下のように変更する。
max(first(115%crafting,25%avg(dbmarket,dbregionmarketavg)),1.5*vendorsell)
↓
(変更後)
max(first(110%crafting/0.95+15%first(vendorsell,1s),25%avg(dbmarket,dbregionmarketavg)),1.5*vendorsell)
TSMの金策は、原則的に最高レベルのキャラクターの所有が前提となる。
売れ筋の8割方にあたる、最新レシピの生産品を作成するためだ。
素材を調達するための元手となる、最低限の貯金も必要となる。
それらを持たないプレイヤーに向けた入門用の金策はHerbalismとInscriptionだ。
いずれも低レベルのまま、低レベルのエリアにおける活動だけで、十分にゴールドを稼がせてくれる生産スキルだ。
2022年10月時点の現在まで、Moonglow Inkは最低ランクのインクであるにもかかわらず、他のインクと比べては割高である。
大人気商品のGlyph of Starsの素材アイテムであるからだ。
Moonglow Inkは、最初のレベル1向けの冒険エリアに生えているハーブを摘むことで生産できる。
作成したばかりのキャラクターでも、元手を稼げるほどの生産ラインを確立できてしまうのだ。
一から金策を始めるなら「Herbalism+Mining」の収集キャラと「Inscription+Alchemy」の生産キャラの2体を用意するといいだろう。
Herbalismで素材となるハーブを収集し、それらを街で待機している生産キャラに流してInscriptionの出品用アイテムの作成を一括で任せる。
ついでにMiningで収集した鉱石はそのまま売って資金の足しにしてもよい。
Inscriptionと同じくハーブを素材とするAlchemyは、低レベル帯の生産品は売れないが、最高レベルに達したときにはどの世代の拡張においても鉄板の金策手段になる。
海外では、WoWの金策についてはそれなりに活発な議論が行われている。
有用な情報源も数多い。
少なくとも以下の3つのサイトは継続的に訪れて、最新の経済情報を仕入れる習慣を身につけよう。
この金策ガイドはあくまで入門編である。
作者自身も、研究不足を自覚する、金策の中級者に過ぎない。
全く解説していないSnipingを含めた転売活動や、Transmogのハンティング、複数アカウントによる金策活動の倍速化、サーバー間取引等々、TSMを活用する商売の規模はまだまだ拡張できる。
目的であるプレイ無料化を果たすには十分だと思われるが、完璧な金策ガイドからは程遠いはずだ。
WoWから離れる作者のこの書き置きは、より洗練された金策を追求するための足がかりとしても活用されたら幸いだ。
この金策ガイドは入門編で完璧ではない分、お手軽でカジュアル向けだ。
ちょっとした努力だけで完全無料化を実現できると、都度に何千円も何万円も支払う行為が実にもったいなく感じられるようになるだろう。
ちょっとした努力だけのカジュアル金策でも、その無駄な費用を一切排除できることを、少しでも多くの人に気付いてもらいたい。
私は長年にわたるブリザードとWarcraftの信者であったからこそ、当然のように気付いて即実践に移せた事実だ。
洗脳が解けて支援する意志も枯れ果て離れようとする今だからこそ、遠慮なくこうして打ち明けられる。
ブリザード・ゲームは全て完全に無料でプレイできる。
ブリザードのアカウントとWoWを起動できるPCを所有するプレイヤー全員に、その資格がある。
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