ドイル教授とエディ・マローンを、文字通りに衝撃的な雷雨が襲いました。
激しい雷が放った目もくらむような白光が、ジャングルに踏み入ったドイル教授と弟子のマローンを覆うと、二人は視界がゆがむような感覚を抱きながら倒れ込みました。
――気絶した二人は目覚めると、まず自分たちが泥だらけであること、装備がめちゃくちゃな有り様になっていること、周囲の景色が元いた場所と全く異なること、そして何より探検隊から完全にはぐれたことを悟りました。
キャンプを設けて休息はできたものの、帰り道がサッパリわからず、連絡手段もない――
――そんな絶望的な状況にあっても、ドイル教授は目の前に広がる超自然に対する探究心を抑えられません。
「エディ、心配無用だ!幸いカメラは無事だ!」
マローンに撮影を続けさせた彼は、「ドイルの大発見・第1号」と称してカメラに収めた植物から無数の毒針を浴び、顔がサボテンとそっくりになりました。
「なんてこった、エディ…痛みが……私の血管を大暴走――」
「でも…心配は無用だ――こういう危険こそ…が…、…チャンス」
そこまで言い残して、毒が体中に回ったドイル教授は、昏倒してしまいました。
(さっきから教授はワケのわからないことばっかり話しているけど、彼は前からそういう人間だったから、これはきっと治ったってことだ!よかった!)
ようやく歩けるようになったドイル教授をサポートしているマローンは、確証もなく安堵(あんど)感を抱いていました。
(コンパスはバカみたいに周り続けて機能しないし、ウンゴロの植物と動物は皆バカみたいに大きいし、なぜだか花が鋭い花びらをバカみたいに撃って襲ってくる――!)
一方で、このジャングルの奥地は危険過ぎると恐れ始めていて、とにかく抜け出てエリーズ・スターシーカーが率いる探検隊へ合流することを急ぎました。
追ってくる植物たちから逃げおおせた二人は、いつしか迷い込んだ湿地帯において、凶暴そうなトカゲの半獣人種族――リザード・マン――たちと出くわしました。
(スターシーカーさんは確かに言ってた!――危険だから原住民に対しては親切に接しろって…!)
そう思いだしたマローンは、友好の意として、彼らにコンパスをプレゼントしました。
リザードたちは感激したようでしたが、かと言ってマローンたちと友好的になる訳ではなく、何と二人を縛り上げ、彼らが携帯していた食料を食べ尽くしてしまいました。
(…奴らは何だか僕らを見ながら、ヨダレをたらしているぞ――)
(――!まさか、次に食べるものって…!?)
そう震え上がったマローンたちに、リザードたちが手を伸ばした、そのときのことでした。
同じくウンゴロの原住民であるカメ人間――トートラン種族――が、リザードたちを蹴散らして、二人を助け出したのです。
(助かった!初めて僕らを食べようとしない生物に出会えた!)
(こりゃ凄い!また未知なる生物の生態が明らかになる!)
意味合いは違えど、マローンとドイル教授は共に大きく喜びました。
トートランのリーダーであるウンブラに向かって、マローンはこれまでの経緯を説明し、「離れ離れとなった探検隊を探す手伝いをしてほしい」とお願いしてみました。
それに対してウンブラは、ただニッコリ微笑んで、一言だけ答えました。
「忍耐こそ最高の美徳――」
(…このカメさんは何を言ってんだろう? ――いや、カメだからこその言葉なのか?)
マローンは彼女たちに恩を感じながらも、どこまで言うことを信じていいのだろうかと思い悩みました。
<目次>
中立 | 霊の歌い手ウンブラ |
中立 | ヴォラックス |
中立 | 先遣隊長エリーズ |
中立 | ジャングルハンター・ヒーメット |
ヒーメット・ネッシングウェアリー――狩猟道を極めんとするアゼロス至高のハンター | |
中立 | オズラック |
ドルイド | ティランタス |
ドルイド | ジャングルの巨獣たち / 圧踏のバーナバス |
ハンター | 沼の王ドレッド |
ハンター | 沼地の女王 / クイーンカルナッサ |
メイジ | パイロス |
メイジ | ウェイゲートの開門 / 時間湾曲 |
パラディン | 太陽の番人タリム |
パラディン | 最後のカレイドサウルス / ガルヴァドン |
プリースト | 太陽の砕片ライラ |
プリースト | 目覚めよ創造主 / 希望の番人アマラ |
ローグ | 死体花シェラジン |
ローグ | 地底の大洞窟 / クリスタルコア |
シャーマン | 原始の王カリモス |
シャーマン | マーロック大連合 / メガフィン |
ウォーロック | クラッチマザー・ザヴァス |
ウォーロック | ラッカリの生贄 / 冥界のポータル |
ウォリアー | キングモッシュ |
ウォリアー | ファイアプルームの中心で / サルファラス |
特別編 | ジョージ・ハーバート・ドイルIV世 |