ジョージ・ハーバート・ドイルIV世教授（以下ドイル教授）は、Warcraftの世界には登場しない、ハースストーンのオリジナル・キャラクターです。

未知なる生物の生態を明らかにすることを求めて活動する、人間種族の冒険家および教授です。

「大魔境ウンゴロ」のストーリーをリードする主役級の人物として描かれており、ハースストーンのゲーム内で登場しないことがコミュニティからは非常に残念がられました。

ドラマ「コミ･カレ!!」のアベッド役として広く知られる俳優のダニー・プディ氏が、このドイル教授役としてショート・ムービー「ウンゴロの秘密」に出演したことが話題を呼びました。

また、ドイル教授のウンゴロ探検に同行した、弟子のエディ・マローンが記した探検日誌は、公式サイトにおいて5回に渡って掲載され、「大魔境ウンゴロ」のリリース前の予告キャンペーンとして扱われました。

彼らの体験がつづられた探検記は、そのまま「大魔境ウンゴロ」の舞台設定の全貌（ぜんぼう）を語ります。

「君たちは伝説の巨獣ガルヴァドンを知っているか！」

ストームウィンド王国の出身であるドイル教授は、そのストームウィンドの酒場において周囲の客へ熱弁を振るっていました。

「このアゼロス大陸に残された、最後のカレイドサウルスだ！」

「太古の恐竜種族の検体が、まだ存在している――この驚くべき一報に、君たちも興奮を抑えきれないだろう？！」

酔っているのかシラフであるのか判別できない、異様にテンションが高い生物学者を迷惑がる客の中で、ただ一人エディ・マローンだけがその探究心に心を動かされ、彼の言葉を真剣に聞き入っていました。

その場で意気投合したマローンとドイル教授は、興奮冷めやらぬ内に、ガルヴァドンの生息地だと目されているジャングルのウンゴロ・クレーターへ赴くことになりました。

到着の前日に近隣のガジェッツァンで一泊した彼らは、小さな海賊たちに襲われ、強盗の被害に遭い、カザ・コーラを飲んで「プチ洗脳」されて、カバール陣営の首領のカザカスに何らかの投票をするハメになりました。

そんなトラブルの連発に見舞われても、ドイル教授は一向に動じません。

「エディ、いいかい？――危険こそが最大のチャンスなんだ！」

どんな危険が待ち構えていようとも、向こう見ずに突き進まんばかりのドイル教授たちは、ともあれ、危険に満ちあふれたジャングルの大魔境ウンゴロに到着しました。

ウンゴロ地帯の青空を見上げながら、探検隊を率いるエリーズ・スターシーカーが、空飛ぶコンゴウインコを指差しました。

「あの鳥だって凶獣を呼び寄せる危険な存在よ――十分に気をつけて」

隊長の忠告を全く聞いていないエディ・マローンは、コンゴウインコの色鮮やかさに目を奪われていて、「一羽捕まえられないかな？！」と捕獲を試みては返り討ちに遭いながら、参加したウンゴロ探検隊における一日目を迎えました。

エリーズはキャンプを設営しながら、ウンゴロがいかに危険なジャングルであるのかを説明し続けました。

「空模様が怪しいわね…、雨宿りができる場所へ移動しましょうか」

そうした彼女の指示や説明を全く聞いていない、もう一人の人物が、巨大な蝶の生態系に興味をひかれている真っ最中であったドイル教授です。

「エディ！ここは何もかもが、とにかくデカイ――学者としては信じられない光景だ！」
「ちょっと、ここら辺りの撮影に付き合ってくれないかね？」

このエキゾチックなジャングルを観光気分で見て周ることを望んでいたエディ・マローンは、彼の申し出に快く応じました。

「まだスターシーカーさんの準備が終わっていないようだし、彼女の監視がゆるい今のうちに行ってしまいましょう！」
「――こないだも行方不明者が2名出たとか言ってたけど、年少のメンバーのお守りをするために、彼女はああやって大げさに忠告を続けているんですよ」

ついに無断行動に出た彼らは、いつの間にか日差しを失って一層と薄暗くなったジャングルの内部へ踏み入りました。

ウンゴロ上空の雲行きは、まるで二人の行く末を示しているかのように、怪しさを加速度的に増していました。