前回はWoW Tokenの相場について解説した。
相場はゲーム内のオークション市場にも当然ながら存在する。
こちらの相場も大きな流れは単純で、鉄則をほぼ外さない。
WoWの経済が最も大きく変動するポイントは、新しいエンド・コンテンツが提供されるときだ。
この時期には様々な物価が一気に跳ね上がる。
特に攻略進度を競うようなギルドやプレイヤーたちは、それに必要な消耗品や装備品を調達するために、惜しげもなくゴールドを市場に投入する。
それらの品々は売り切れるごとに価格が上昇し続ける。
生産を活発化させる生産者たちが調達する素材アイテムもインフレを起こす。
新規コンテンツの到来時には、新しい上位版の消耗品や装備品が提供されることも多い。
もちろん、それらも登場直後には莫大な利益率となる値付けでも売れまくる。
さらには、人々がWoWに戻ってくる。
人口増加も市場の活性化に大きく寄与する。
一般的には、新Raidおよび新シーズンの幕開けとなる大型パッチの適用直後がその時期にあたる。
中でも、全ての要素を一新する新拡張セットの開幕直後が市場のピークになることは言うまでもない。
その新鮮な環境を目の前にして、一般プレイヤーとして新しいコンテンツをすぐにでも楽しみたい感情はよく理解できる。
ただ、金策を主眼とする立場においては、この時期に金策へ集中することが何よりも効率的であることは必ず認識しておくことだ。
1年間に毎日1時間の金策を黙々と繰り返すよりも、新規コンテンツの開幕直後の2ヶ月だけ毎日6時間の金策を繰り返す方が、同じ360時間の活動でも得られる収入は圧倒的に多くなる。
この金策ガイドの趣旨は「無理なく毎日続ける」であるが、この売り時に限っては少々無理する方が、トータルで稼げるゴールド量が大幅に増えることは伝えておきたい。
最盛期には生産が間に合わなくなるほどに売り切れが続発する。
ここでどれほど生産と出品を繰り返せるかが1つのシーズンの総利益に直結する。
売れ筋となる新規の生産レシピの習得にも全力を尽くそう。
競合相手が少ない段階でそれらを生産できれば、少数の生産者たちによる独占的な馬鹿げた高値でも売りつけることができるからだ。
最も稼げるこの時期でスムーズに活動するには予習が欠かせない。
次のパッチが適用されるまでに、新しいレシピの有無をWowheadのPTR版でチェックしておくことは必須の作業だ。
確実に売れると見込まれる新しい生産品を見つけたら、それを販売ラインに加えるための生産キャラと出品キャラの設定と態勢を準備しておく。
使用する既存の素材は安値のうちに仕入れておく。
そのレシピの習得に手間がかかるようであれば、実際にPTRで経験しておいて迅速にレシピを習得できるようにしておく。
新しいコンテンツの登場から1~2ヶ月が経過すると、市場はピークアウトして落ち着き始める。
全般的に物価はなだらかに下降していく。
中でも、新しいコンテンツに上位互換がある装備品のような類のアイテムは、突然に価格が暴落する可能性が高いことに注意しよう。
しばらくは利益率を高く保つ消耗品類に関しても、売れ行きが鈍ってきたと感づいたら素材の調達に配慮する。
過度な素材の買いだめは控えて、素材の在庫を大量に抱えたままデフレの時期に入って赤字生産とならないようにする。
この時期の素材の相場は乱高下しやすいので、買いだめすべきかを見極める判断が難しくなるだろう。
アイテムの生産の要不要も徐々に確定していくので、売れ行きに応じて生産および出品する量も適宜に増減していく。
次の新規コンテンツの情報が発表されたり、大型パッチのPTRが設けられると、シーズンは末期のマンネリ期間に入ったと認識される。
プレイヤーの一時的な離脱やPTRへの流入が続出するようになり、プレイ人口が加速度的に減り続けて市場が冷え切る。
結果として、ごく一部の限られたアイテムしか継続的に収益を上げないようになる。
一般的にオークションで取引が多くなる時間帯は、現地の昼過ぎから夜8時ほどまでだ。
USサーバーならば、日本時間の明け方から昼前までの時間帯となる。
市場の停滞期においては、その時間帯以外ではまともな収益を見込めなくなる。
この停滞期にしておくことは、前述したとおりに、売れそうな次期コンテンツの新生産品の予習だ。
売ると決めたら態勢と素材の準備もしておく。
シーズンを通した金策活動を省みて、出品、生産、その他の各設定に無駄がなかったかどうかを総点検する。
必要に応じて修正や除外をしておく。
何もかもが一新される新拡張セットの直前であるならば、新しい生産スキルの仕様にも目を通しておこう。
金策の極意は継続だ。
それを果たすために「無理なく毎日続ける」ことが原則的なスタンスになる。
無理なく続ける日々の中でも、金策活動の強弱を適切につけると効率が段違いによくなる。
その基準とすべき指標が市場と相場の動向だ。
WoWにおける市場の繁忙期の到来時期は明確なので、事前に予定を空けておくなどの工夫をして、その時期に金策活動に集中できるようにする。
停滞期に入ったら金策に割く時間を減らして、ゲームのプレイやWoW以外の用事に時間を費やすなどのメリハリをつける。
現に私も2022年10月1日現在、新拡張直前という収益性が最悪のこの超停滞期には、頑張っても無駄が多い金策をほぼ放置している。
出品は1日に1回、午前に10分程度で済ませておき、こうして記事を作成するなどの活動の方に時間を割り当てていたりする。
WoWを引退する予定でなければ新拡張の予習にも励んでいただろう。
1つのシーズン内で毎日きっちり同じ時間を金策へ費やすよりも、効率性に合わせて実働時間を増減させる方が、費やす合計時間が同じでも収益はグンと高まる。
高い効率で高い収益を得られたと自覚できると、金策を継続する意欲もまた高まっていくだろう。
金策を長続きさせるという点においては、自身の感情のコントロールも欠かせない要素だ。
次回は、せっかく築いた金策システムを自らぶち壊しかねない理性の管理について解説する。
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