イリダンとマイエヴが降り立った地はアウトランドでした。
オーク種族とドラナイ種族の故郷である、ドラエナ大陸が崩壊した後の世界です。
映画「ウォークラフト」鑑賞ガイド #1: ホードとアライアンス
マイエヴは長い時間をかけて、ここアウトランドでもイリダンの悪行に耐えかねていた同志を見つけ、その者たちを引き入れて新生のウォッチャーズを結成し、ゲリラ的にイリダンの軍勢を叩いていました。
そして、イリダンの動向を近場で監視しているという、ドラナイ種族のアカマという人物を味方につけました。
どうやらイリダンに不満を抱いているらしいアカマは、実際にイリダンの居場所を的確にマイエヴへ伝え続けていました。
強力な諜報員を得たと確信したマイエヴは、機が熟したと判断し、イリダンの護衛が手薄であるタイミングを見計らって総攻撃を仕掛けました。
ついに、ついにイリダンとの追走劇に決着をつけることができると勇んだマイエヴは、大量に待ち伏せしていたイリダン軍の奇襲に遭い、彼女とその仲間たちは捕獲されてしまいした。
――イリダンと通じていたアカマの罠だったのです。
囚人の監視者でありながら囚人と成り果てたマイエヴは、当然のことながら自分を騙していたアカマに対して激怒していました。
マイエヴの監視者を任されたアカマは、マイエヴと出会うずっと前から、自分の一族を襲っていたオークを撃破してくれたイリダン軍に仕えていたのだと弁明しました。
しかしながらイリダン軍はドラナイ種族の一族など元から気にかけておらず、ここアウトランドを支配する際に障害となるからオークを排除しただけに過ぎませんでした。
やがてアカマは、オークよりも恐ろしい悪魔の力を備えた野心家であるイリダンもまた、一族や故郷にとって災厄になる存在だと認識するようになり、危機感を日増しに募らせていました。
アカマは密かに何年もかけて、ダーク・ポータルで通じているアゼロス大陸に向けて、イリダンの蛮行の報告と援軍の要請を続け、イリダンの暗殺計画に着手していました。
アカマの努力が実り、ようやくアゼロスから精鋭部隊――プレイヤーたち冒険者――が派遣されると、とうとうアカマはイリダン討伐を決断し、それを果たすための最後の切り札としてマイエヴを解放しました。
自分を罠にかけたアカマを信用しきれないマイエヴは、解放されるとすぐに姿を消して単独行動を始めましたが、本当にアカマとアゼロスの部隊がイリダンを追い詰めている模様を目撃し、イリダンとの戦闘中に彼らに加勢したのです。
戦闘中におけるイリダンとマイエヴの会話(※クリックで開く)
イリダン「こんなものか?下等種族どもよ――貴様ら全員の憤激とはこの程度のものなのか?」
マイエヴ「彼らの怒りは、私のそれと比べては大したことがないわね、イリダン。私たちの間には、決着していない運命があるのだから――」
イリダン「マイエヴか…、貴様に一体何ができるというのだ?」
マイエヴ「ああ、私の長い追跡の旅は、ようやく終わりを告げる――今日こそが、正義が果たされる時!」
※10分38秒~
マイエヴ「―終わったわ。あなたは、敗れたのよ」
イリダン「貴様の勝ちだ…、マイエヴ。だが、狩人は…、獲物がいてこその存在なのだ」
イリダン「貴様の存在価値は…、私の存在なくしては…、ない――」
マイエヴ「彼の言う通り――私はもう何も感じられない…。私がいる意義も…、なくなったわ」
マイエヴ「さようなら、アゼロスの英雄たち――」
そして、イリダンにとどめを刺したマイエヴは、狩人や監視者としての目標が不在となった喪失感を認めながらも、イリダンの遺体を自軍の基地内で固く封印し、これまで犠牲となったウォッチャーズを弔う(とむらう)ことで任務を完結させました。
やがてマイエヴは、ダーク・ポータルを渡ってアゼロスに戻り、やはりゲリラ組織を結成して、新たな復讐対象であるマルフュリオン・ストームレイジの命を狙う反政府活動家となりました。
事情を知らない同族のエルフたちは、そんなマイエヴを反逆者どころか狂人であると見なしています。
彼女は、確かに自分の運命を大きく狂わされましたが、悪魔の反逆者を強行解放して逃走を黙認したマルフュリオンたちこそ狂気に満ちているのだと非難しています。
ナイト・エルフの統率者と監視者の主張にはそれぞれ正当性があり、どちらの考えが正しく、どちらがエルフ族に背いているのかについては、誰にも結論を下せていません。
「World of Warcraft」の最新作「Legion」では、再びイリダンが主役になったこともあり、彼とは切っても切れない間柄であるマイエヴが久々に作中で登場しています。
封印したイリダンの遺体をグルダンに奪われた場面までが描かれており、今後のマイエヴの動向にも注目が集まっています。