Heal Workを瞬時に反応よく進めるためにはインターフェースの整備も欠かせない。
特にRaidフレーム(およびPartyフレーム)はAddonに切り替えるべきだ。
デフォルトのままでは味方のステータスの表示量があまりに少ない。
体力だけではなく、注視すべき要素を認識できるように準備しておくこともHealerの重要な仕事だ。
重要なDebuff、DispelできるDebuff、CooldownのBuff、距離、マーカー、Aggro、HoTとIncoming Healなどは最低限表示させたい。
フレームのAddonの選択とカスタマイズは、完全に個々のプレイヤーのスタイルや好みによる。
したがって万人向けの理想の様式などを追求するのは無意味であるが、全てのHealerが抑えておくべきフレームの要点はいくつか定義されている。
Healerの初心者が最も陥りやすい悪癖が、フレームだけを凝視して戦場の様相を一切見ない「トンネル・ヴィジョン」だ。
自身や味方の周囲の変容にもすぐ気づけるように、視界の中央を大きく覆うほどにフレームを展開するデザインは避ける。
特別に注意すべきDebuffは、個別に登録してでも目立つように――大きく表示させたり、フレーム内の色を変えさせたりして――表示形式を差別化する。
HealerにとってDebuffへの対応力は必須のスキルだ。
一軍のHealerに選抜されるようなプレイヤーたちは総じてDebuffに対する即応も鮮やかである。
フレームに表示させるBuffおよびDebuffの全てに、それらの持続時間のタイマーを表記させる。
タイマーを表示させないHoTの運用などは論外であるし、Debuffが切れた瞬間にケアしなければならないシーンも少なくない。
敵が特定の味方に対してスペルをCastした際に、その対象の味方のフレーム上に「敵からスペルをCastされている」という警告を表示させる。
その認識によって、ランダム対象の攻撃に対して素早くカバーできるようになる。
以前は「Banzai Alert」と呼称されていた警告だが、今はこれが何と呼ばれているのかは私は知らない。
「エンカウンターのタイマー」「Cooldownのタイマー」「Mana残量」なども注視せねばならない情報である。
Raidフレームの付近に表示させるのが望ましい。
これらの情報とRaidフレームの情報と戦場の様相は、視線をこまめに何度も移しながら毎秒ごとに確認し続ける。
要点さえ抑えておけば、どのAddonを利用してどんなスタイルのフレームに仕立てようが自由だ。
自分が最も扱いやすい形状が正解であり、配信する訳でもないなら見栄えなども気にする必要はまったくない。
他のプレイヤーのデザインを参考にしたり、テンプレを丸ごと採用するにしても、自分自身による最終的な調整は不可欠である。
さらに反応よくHeal Workを行うための手段がマウスオーバー (Mouseover) のCastだ。
フレームやキャラクターにマウスを合わせて、割り当てられたクリックやキーを押すだけで、その対象にスペルをCastできるシステムだ。
いちいち対象をターゲットする一手間が省けるのと、攻撃対象をターゲットから外さぬままHealingを継続できる利点がある。
利用者が少なかった15年前では他のHealerたちを容易に出し抜ける手段であったが、今ではほとんどのHealerが利用している。
自分が味方にCastできる全てのスペルを、マウスオーバーでも発動できるように準備しておくことが理想だ。
少なくとも体力を回復するHeal、Dispel、使用頻度が高いBuffはマウスオーバーに登録しておく。
マウスオーバーを設定する主な手段は、WoWのキー・バインドの「Click Casting」、mouseoverマクロ、Clique等のAddonの3つだ。
マウスオーバーで最も扱いやすい「左クリック」「右クリック」だけでも、「Shift」「Ctrl」「Alt」「Shift+Ctrl」「Shift+Alt」「Ctrl+Alt」「Shift+Ctrl+Alt」を組み合わせれば14種類のスペルを網羅できる。
クリックではなくキーで発動する場合には/cast [@mouseover,exists,nodead,help][exists,nodead,help][@player] スペル名のマクロ(あるいはそれと同等の設定)を用意することによって、1つのキーで「1. マウスオーバーの対象」「2. ターゲットしている味方」「3. 自分」と3種類の対象をカバーできる。
マウスオーバー利用の欠点は、マウス・カーソルの操作が不自由になりやすくて移動や周囲の確認がしづらくなることだ。
マウスオーバーのCastを繰り返しつつも、移動、方向転換、視点の切り替えをスムーズに行えるよう練習を重ねておく。
Healerガイド一覧
「World of Warcraft」Healer列伝 #3
(Tyrande Whisperwind)
後に伴侶となるマルフュリオンと、彼の弟イリダンの3人で平穏に暮らしていた若かりし頃のティランダは、いつも故郷に点在するエルーンの寺院でひとときの安息を享受していた。
その習慣が定着していた彼女にとって、成長した3人が進路を決める際に、エルーンの修道士を行き先に定めるのはごく自然な成り行きであった。
悪魔の軍団が襲来した古代戦争において彼女は、故郷スラマールの難民をエルーンの寺院へ避難させ、女神エルーンすら認めるほどの驚異の力でもって負傷者たちを治療し続けた。
修道士の長である大祭司デジャーナが戦死する間際に、その後継者に大抜擢されたティランダは、長期に苦悩を極めることになるエルフの指導者としての役割をこの時点より担い始める。