「World of Warcraft」におけるベネディクトゥス大司教は、ストームウィンド王国の教会の主任司祭を務めていた、人間種族のプリーストです。
国王のヴァリアン・リンと摂政(せっしょう)のボルヴァー・フォードラゴンが不在のときには、臨時的にストームウィンドのリーダーとなるほどの存在でした。
教会を訪れたプレイヤーたちには、失踪したヴァリアン国王を捜索するべく、スコージが巣食うダンジョンを攻略するクエストを依頼していました。
ベネディクトゥスは若い頃に、ローデロン帝国の偉大な大司教であるアロンサス・ファオル(Alonsus Faol)に師事して、聖職者としての知識を勤勉に学びました。
第2次大戦後には、師のファオルと共にストームウィンドの再建に参加し、ファオルが先導する教会の建設に協力することで、多大な貢献を果たしました。
ファオルの死後も、彼は師の教えと規範を忠実に守り、ローデロン崩壊後に最大の王国となったストームウィンドに滞在し続け、救いを求める人々に光の加護を授けました。
時は流れて、旧神の最強の配下であるデスウィングがストームウィンドを急襲し、世界中に陰鬱な雰囲気がただよい始めると、世界の終末は近いと主張する自暴自棄な民衆が、伝説の存在である旧神の狂信者となって世界中に害を与え始めました。
その狂信者の最大派閥である「黄昏の鎚 = Twilight Hammer」のカルト教団において、「黄昏の父 = Twilight Father」と呼ばれる男が、多大な人脈と資金と知恵を武器にして教団の内部で存在感を強め、「黄昏の鎚」の発展のために暗躍していることが噂され始めました。
「黄昏の鎚」の教団のリーダーであるチョ=ガルがプレイヤーたち冒険者によって討伐されると、いよいよ「黄昏の父」の影響力は他を圧倒することになりました。
「黄昏の父」は、デスウィングの子ネファリアンが生前に残していた、最後にして最強のクロマティック・ドラゴン――混血のドラゴン――の実験体を確保すると、ブルードラゴンの妊婦を拉致しては実験を再始動させ、未完成であったクロマティック・ドラゴンをクロマトゥス(Chromatus)と名付けて誕生まで導きました。
ここまで目覚ましい活躍を見せ続けていた「黄昏の父」は、しかしながら実験に明け暮れる最中に、デスウィングの討伐を掲げるスロールの侵攻を許しっ放しにしていたために、デスウィングの厳しい叱責(しっせき)を受けてしまいました。
すぐさま「黄昏の父」はスロールの活動を阻むべく、最近に旧神の配下となって炎の王ラグナロスの筆頭家老(Majordomo)の位に就いたファンドラル・スタッグヘルムを派遣すると、ファンドラルはスロールの魂を4つに分断して、火、水、風、地の精霊の世界へそれぞれ送り飛ばすことに成功しました。
その一方で、ストームウィンドを留守がちにしていたベネディクトゥス大司教は、久々に教会へ戻ったと思えば「重要な任務が生じた」と言い残して、最北の地ノースレンド大陸のワームレスト寺院(Wyrmrest Temple)まで遠征しに出発しました。
奇しくも、復活を遂げていたスロールも、同じワームレスト寺院へ向かっていました。
スロールが所有する、デスウィング攻略の最後の鍵となるアーティファクトのドラゴン・ソウルを完成させるには、ワームレスト寺院においてドラゴンたちの協力を得る必要があったからです。
ドラゴン・ソウルが完成する間近となって、スロールと冒険者たちはワームレスト寺院において、大勢の「黄昏の鎚」の信者たちに囲まれました。
旧神を復活できる唯一の存在であるデスウィングを破壊してしまうほどの力を持つドラゴン・ソウルを、スロールから奪うことが、「黄昏の鎚」の教団全体に至上命令として下されていたのです。
この「黄昏の鎚」の大勢力を率いている「黄昏の父」が歩み出て、スロールに対して語りかけました。
「さあ、シャーマン――そのドラゴン・ソウルを私に渡すんだ」
「それは出来ません、大司教――」
何としてでもドラゴン・ソウルの完成を阻もうとする「黄昏の父」の正体は、ベネディクトゥス大司教その人であったことが判明します。
「ベネディクトゥス――あなたはライトを代表するお方であったのに、なぜこのような裏切りを?」
「この世に正義も、悪も…、そしてライトもない――力こそが全てだ!」
「いま私たちは本当の世界の支配者に仕えているのだ!――私はあの方の眼で睨まれたときに…、絶望したのだ…」
そしてベネディクトゥス大司教は、ヒロイック・ダンジョン「黄昏の時 = Hour of Twilight」の最終ボスとして、プレイヤーたちを襲ってきます。
ベネディクトゥスが「黄昏の鎚」の信者に堕ちたタイミングときっかけは、公式には明かされていません。
「デスウィングの眼に睨まれたときに絶望した」というセリフを発していることから、デスウィングがストームウィンドを襲ったときに、ベネディクトゥスは彼と対面して過去に体験したことがないほどの恐怖と絶望を感じたために、旧神およびデスウィングを崇め(あがめ)始めたのではないかと推測されています。
「凍てつく玉座の騎士団」のレジェンド
<目次>
中立 | ダークフォールンとブラッドプリンス評議会 |
ケレセス公爵 | |
タルダラム公爵 | |
ヴァラナール公爵 | |
中立 | アーファス |
ドルイド | ハドロノックス |
ハンター | ピュートリサイド教授 |
メイジ | シンドラゴサ ―― マリゴスに寵愛された青竜と死竜の女王 |
パラディン | ボルヴァー・フォードラゴン ―― 不屈と犠牲の精神で身を捧げた黒変の聖騎士 |
ボルヴァー・ドラゴンフレイム | |
プリースト | ベネディクトゥス大司教 |
ローグ | リリアン・ヴォス |
シャーマン | ムウラビ |
ウォーロック | ブラッドクイーン・ラナセル |
ウォリアー | ドグサレガオ |
中立 | リッチキング ―― 氷牢より腐敗を司る死霊の総帥 |
アーサス・メネシル ―― 暗黒騎士の王へいざなわれた聖騎士の王子 | |
特別編 | エボンブレードの騎士団 |
デスロード・ナズグリム | |
トーラス・トロルベイン | |
審問官ホワイトメイン | |
ダリオン・モグレイン ―― 死をも厭わぬ大胆不敵の聖剣の担い手 |
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